LATE SPOT AT SCOTTS
TUBBY HAYES
FONTANA

TUBY HAYES-ts,vib JIMMY DEUCHAR-tp GORDON BECK-p FREDDY LOGAN-b ALAN GANLEY-ds
May 17-,18 1962
FONTANA
SIDE 1
1.HALF A SAWBUCK 2.ANGEL EYES 3.THE SAUSAGE SCRAPER
SIDE 2
1.MY MAN'S GONE NOW 2..YEA ! 3.QUINTET THEME

 


  英国発ハードバップ・シーンへの招待

 年越しの夕食を頂きながら家族水入らずで、今年(去年となるが)一番可笑しかった話をしあった。
 次男が最初に話し出したのだが、札幌の専門学校の面接の為地下鉄に乗った時のことで、向かいのシートに凄く太った女性が座ったのだが、彼女は始終ふーふー息づかい荒く額に汗を滲ませていたのだそうだ。その様子を見ていた次男の目に彼女の身につけていた服のブランドを示すロゴが目に入った。ロゴにはこう書いてあった。
 ”MAX BODY"。
 
 次に長男が話し出したのは、つき合っている彼女とデパートの催しを訪れた時の事だった。「恐山フェア」なるもので、何人かの霊媒師がいてそのひとりが長男の彼女に声をかけ「あなたは最近おじいさんを亡くされましたね」と言う。戸惑っていた彼女を肘で合図して「そうだと言え」と長男が促した。途端にその霊媒師がガタガタ震えだし、霊が降りて来た様子が怖かったようだが、声音も変わった霊媒師に長男は亡くなったのは癌に罹ったからで、あの時の痛みはどうだったのでしょう」と聞くと霊媒師に降りた霊が答えるには「酷い痛みだった」と。
 それからあれこれ問答があった末、もとに戻った霊媒師に長男はこう告げた。「彼女のおじいさん、まだ生きてるんですけど」。
 途端に逆ぎれした霊媒師が怒り出したので、あわてふためいて長男と彼女は逃げ出した・・・というコワイ話。

 まあ世の中色んな人がいるってことでを若い二人は体験したわけであるが、新生活を迎える僕にとっても、色んな場面でウォッチングしたり出逢ったりする、そういうことがやはり楽しみだなと思う。
 去年僕はある出逢いから今年から始める店を使わせて貰うことになったのだが、その元オーナーとあれこれ喋っているなかで、やはり今の人は色んな意味で守りに入っている。そういう意味では経営は厳しいだろうが、店には例えばライブをやったり個展をやったりするには良い雰囲気の空間があって、そこから発する「気」のようなものを活かすと守りに入っている人のバリアが解ける切っ掛けが出来るような気がしたのだ。絶対どこかで接点を持ちたいという気持ちがあるに違いない。そういう潜在するニードをどう掴むかは僕らのアイデアにかかっていると思った。
 お聞かせジャズ喫茶だけをしようなどとは毛頭考えていない。あの空間が僕に色んな事をやらせ、モチベーションを高めてくれる。そこに任せていくだけだと考えている。

 さて、年もあらたまって元旦の朝は晴れ晴れしくも朝陽がさしている。
 去年一年はとにかくアナログ一本やりで、CDなど殆ど入手しなかった。今年から始める店も決まり、店の棚にはある程度あった方が見栄えも良いという胸算用もあってだったからだが、LP時代は約100年。比べてCDはせいぜい20年余り。ジャズの相貌の変遷の大方が詰まっているだけに、スタイルのバリエーションやローカリティの違いを楽しむことが出来る。
 そして音源は出来るだけオリジナリティを重んじたいということだ。
 
 本作タビー・ヘイズは60年代の英国のジャズシーンを物語るもので、英国発ハードバップの現場への招待状を渡されたような気がした。
 ともかくは最近出た復刻アナログ盤にどれだけ気を入れて選び作られているかに注目しよう。
 ロニー・スコット・クラブでのライブ録音で、白熱のハードバップ、センスの良いモダンジャズが演奏されている。ヘイズ自身はテナーとヴァイブを使い分け、トランペッタージミー・デューカーとのフロントを演じる。
 ヘイズのテナーを聴くとはデクスター・ゴードンあたりが思い浮かぶが、正攻法の男性的トーンとうねるフレージングからはかなりの熟達と、経験の長さを感じさせる。
 音質も申し分なく(盤も重量盤)この時の音のデティールを正確に写し取っていて、ライブ会場にいる雰囲気が吾が書斎に発散される。

 英国でのジャズというとクラブ・ジャズを思い描いてしまうが、それは最近のことで、60年代当初にはこういう凄腕のミュージシャンが観客を堪能させていたのだとすれば、アメリカ産ハードバップと弱冠の時期のずれこそあれ、近似したものが展開されていたようである。
 

    


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