変装怪談噺・メイクなしだと

 

「そこまでいったら、私は友達を、あなたはフィアンセを裏切ることになるわよ」

「いまさら、堅いこと言わないで・・いいじゃないか、美華が知らなきゃ問題ないさ」

「美華さんだって心配してるのよ、あなたの知人で、あなたが浮気するという人が多いんですって」

「あなた、美華さんになにか不満でもあるの?」

「いいや、お金持ちのお嬢様、ルックスも頭もいい、性格も。もちろん好きに変わりわないさ」

「でもなんか、こどもっぽい顔だろ?ロリコン気味の男ならたまらんだろけど、僕は大人のセクシーさが好みで、物足りないんだよ。君のような、フェロモンいっぱいの顔がたまらないんだよ」

「そうなの・・じゃあおあいにくさまね。それはメイクのおかげだわ」

「メイクなしだと・・美華さんそっくりの顔なのよ、私・・」

「そりゃあ、すごい特殊メイクだね、ハリウッドで仕事できるよ」

「冗談じゃないのよ。髪をあげるから、耳のあたりに目をよせてよく見て」

「筋が見えない?それは素肌とゴムの肌の境目よ。この顔は精巧なゴムのお面なのよ」

「嘘だろ・・気味の悪い嘘をつかないでくれよ・・」

「本当よ。本当の顔を見たくない?私も今夜はお酒のせいでゴムが暑苦しくてたまらないわ」

「あなたにこのお面を剥がしてほしいわ。ねえ、お面を剥がしてちょうだい」

「お面を剥がしたら、フィアンセの美華さんそっくりの顔があらわれるのよ・・」

「あら、どうしたの急に汗をたくさんかいて・・ちょっとふるえてるんじゃない?」

「私の本当の顔を見るのが怖いの・・さあ早くお面を、お面を剥がしてよ・・」