Tsびや〜ん・ないとより

壷の魔人

これは、アラビアの昔々の物語です。

ある朝、若者が海岸の砂浜を歩いていると、砂に埋まった壷を見つけました。若者はその壷を掘り起こしました。

その壷は大層古い壷で、蝋でしっかりと蓋がしてありました。若者は、腰に刺していた刃物で、その蝋をはがすと、壷の蓋を開けました。すると、壷の中から「儂は自由だ!自由だぞ〜〜」という大きな声と共に黒い煙が噴出してきました。若者は驚いて壷を放り出してしまいました。

砂浜に落ちた壷から噴出した黒い煙は、見る見る巨人に、その姿を変えたのでした。

「わっははは・・・300年ぶりの外の世界だ。儂は自由だ!」

目の前に現れた見上げるばかりの大男に、若者は、その恐ろしさに腰を抜かし、その場に座り込んでしまいました。

「うむっ?そこな若者よ。お前だな、儂を外に出してくれたのは」

若者は、ただ頷くことしか出来ませんでした。

「礼を言うぞ。儂を外に出してくれた礼に、お前を一口で喰ってやるから、安心しろ!」

「そ、そんなぁ」

「この壷に封じ込まれた最初の100年は、ここから出してくれた者には、いつまでも従おうと思った。だが、出してくれるものはなかった。次の100年は、どんな願いでも三つだけは叶えてやろうと思ったが、壷の封を開けるものはいなかった。さらに100年の間、儂を出してくれた者には、いかなる望みも全力を尽くして叶えてやろうと思った。だが、その思いも、一昨日の300年目に潰えた。そこで、昨日からは、300年も儂を待たせた罰として、壷の封を開けた者を喰らってやる事にしたのだ。さあ、諦めて儂に喰われろ!」

魔法使いの巨人は、その大木のように太い親指と中指で若者をつまみあげると、大きく開けた口の上へと運びました。

「ま、待ってください。それは勝手すぎませんか?300年も間、封じ込まれた貴方を助けてあげた者に礼も尽くさずに食べるなんて」

「だからさっき礼を言っただろう。諦めて、儂に喰われろ」

「そ、そんな・・・さ、最後の願いを聞いてください。それくらい聞いてくれてもいいでしょ」

「最後の願いか?いいだろう。だが、命乞いなどはだめだぞ」

「わかっています。アラーの神に誓って、そんなことは願いません」

「よかろう。じゃあ、望みは何だ!」

摘み上げられたままで、魔人に聞かれた若者は口ごもってしまいました。

「どうした。さあ、願いを言え!」

「こ、こんなところでは思いつきません。どうか降ろしてくださいませんか」

「よかろう」

そういうと、魔人は、若者を砂浜に降ろしました。砂浜に降りた若者は、魔人を何とか壷に戻そうと、辺りを見回しました。ですが、壷は見つかりませんでした。

「な、ない。波にさらわれてしまったのだろう」

若者はがっくりと首をしなだれてしまいました。

「どうした。願いは決まったか。早く言え!」

「い、いえ、もう少し待ってください。お願いします」

若者は、頭を抱えてしまいました。

「このままでは、こいつに喰われてしまう。どうにかして、この魔物を封じ込めるものはないだろうか」

見渡す限り、魔人を封じ込めそうなものは何もありませんでした。ついに若者は、あきらめて言いました。

「女」

「おんな?」

魔人は若者に聞き返しました。

「女を味わったことがありません。最後に女を味わって見たいのです」

「女を味わう?お前は女になりたいというのか?」

魔人は、若者の言葉を勘違いしました。

「女になる?そんなことは・・・」と言いかけて、はたっとひざを打ちました。

「はい、女になりたいです。それも若くて魅力的なおン何してください」

「女になりたいのか。変わった奴だ。よかろう、その願いをかなえてやろう」

魔人が、若者の願いをかなえようとすると、若者があわてて言いました。

「ちょっと待ってください。子供がほしいので・・・子壷を忘れずに作ってください」

「ほうほう、よかろう。それでは行くぞ」

魔人が何か唱えて、右手の人差し指で若者を指差しました。すると、魔人の指先から放たれたイカヅチが、若者に落ちました。

「うわわわわっ・・・・」

若者の着ていたものは、イカヅチのために粉々になって吹き飛び、丸裸になってしまいました。すると、若者の身体に異変が起こりました。

背が縮み、顔や身体が丸みを帯び、胸が膨らみ、腰が細くなり、お尻が引き締まり、陽に焼けて黒かった肌が、象牙のように白くすべすべになり、若者の男の印は、小さくなり、やがて身体の中に引っ込んでしまいました。さらに身体の中にのめり込んで行き、乙女にある花園のような形になってしまいました。

「どうだ。女にしてやったぞ。これで、満足だろう」

元・若者は、裸を恥じて、両腕で胸を隠し、しゃがみこんでしまいました。

「裸のままでは恥ずかしいです。何か着るものをください」

「どうせ儂に食われてしまうのだから裸でもいいではないか・・・と、そう言う訳にもいかぬか」

恐ろしいほどの目つきで魔人を睨みつける元・若者にたじろいだ魔人は、あわてて元・若者に衣装を着せました。

「こ、これは・・・踊り子の衣装ではないですか」

元・若者は、ベールで隠れた顔を赤らめました。

「は、恥ずかしいです。ほかのものに・・・」

「うるさいなぁ、儂は、もう待てんのじゃ。似合うておるからいいじゃろう」

「で、でも・・・」

まだ何か言いたそうな元・若者を、魔人は睨みつけました。

「・・・・」

元・若者はまだ何か言いたそうな顔をしましたが黙り込んでしまった。そして、着ていた服を脱ぎだしました。

「脱ぐのなら、服など着る必要などないではないか」

不満そうな間人の言葉を気にもせずに、元・若者は、自分の体を触り始めました。白く長い指が、ふくよかな胸をつかみ、美しく茂った秘密の草むらをやさしく触りました。

「あ、ああん」

元・青年は顔を赤らめ、体をのけぞらしました。

「う、ああ〜ん、お、おぅぅ〜〜んん」

自らの体を触りまくり、歓喜に悶える元・青年をただじっと見つめていた魔人が、我慢できなくなって叫びましだ。

「もういいじゃろう。十分女を味わったではないか。さあ、儂に食われるのだ」

魔人の叫びに、元・青年は、冷静に答えました。

「まだでございます。まだ、ここを味わっておりません」

そういうと、元・若者は、長い指先で秘密の草むらを、指し示しました。

「どうすれば味わえるのじゃ」

「ここにはおのこのものを差し入れるのですが、ここにはございません」

「いやある。儂が差し入れてやろう」

「でも、山のように大きな魔人様のものでは、私が張り裂けてしまいます」

「大丈夫じゃ、見ておれ」

そういうと、魔人はぶるっと身震いをしました。するとどうでしょう。魔人はみるみる小さくなり、元・青年と変わらなくなりました。

「これならどうじゃ」

元・青年は頭を横に振りました。

「私は、さっきまで男だったものです。いくら今は女の身とは言え、男の肩に抱かれるのはいやでございます」

「何、男のものを受け入れてみたいといったのは、お前のほうだぞ。う〜ん、それならば、これならどうじゃ」

また、魔人がぶるっと身震いをすると、そこには振るいつきたくなるような妖艶な美女が全裸で立っていました。でも、彼女のあそこには、しっかりと男のあれがビンビンとしていました。

「これでいいでしょ?」

とろけるような甘い声で、元・魔人の美女が言いました。

「でも、あそこは男のままじゃないですか。いくら姿かたちは女性でも・・・いやです」

「じゃあどうしろというのだ!」

恐ろしい姿になって魔人は怒ってしまいました。

「魔人様は、まだ小さくなれるのですか?」

「ん?なれるぞ」

そういうと、魔人はさっきの麗人の姿に戻り、体をぶるっと震わせて、半分ほどの大きさになりました。

「それで終わりですか?」

「まだまだ」

魔人はさらに体を震わせて小さくなりました。

「それで終わりですか?この中に入れるほど小さくはなれないのですか?」

そういうと、元・青年は秘密の草むらを示しました。

「何だそれくらいの小ささか。それならそうと先に言え」

そう言うと、魔人はさらに小さくなり、親指のほどの大きさになりました。

「これでいいのか?」

「はい、それで、あの・・・」

「なんだ、早く言え」

「ハイ、私のここに入っていただきたいのでございます」

そう言うと、元・若者は、秘密の草むらを、自分の細く長い指で、押し広げた。ピンクのカーテンを広げた先には、湿った洞窟がありました。

「そんなことか。よかろう」

魔人は、その洞窟の中に入っていきました。

「あ、う、お、え、あ〜。ま、魔人さま、そ、そんなところをつかんじゃぁ、あぁ〜〜」

魔人は、元・青年の洞窟を奥へ奥へと歩いていました。

「ぬめぬめして歩きにくいのう」

あたりの壁はやわらかくぬめっているので歩きにくいのです。

「もうこのあたりでいいじゃろう」

魔人は、元・青年に言いました。

『い、いえ、もっと奥へ』

魔人は言われるままに奥へと進みました。

「ふう、まだまだ油断はできないぞ。今のうちに準備をしておかなくては」

元・若者は、さっき脱いだ服を手に取り、何かを探し始めました。

「ないわねぇ、ぴったりのものが・・・どうしよう」

考え込んでいると、お腹のほうから声がしました。

『もう、奥に行き着いたぞ。戻ってもよいじゃろう』

「も、もうちょっと待っていて」

『ん?お前何かたくらんでおるじゃろう。もどるぞ』

「だめぇ〜」

元・若者は、あわてて手に持っていたものを秘密の草むらの奥にある、洞窟に押し込んでしまいました。

『うわぁ何じゃこれは。出れぬではないか。こうなれば、元の大きさに戻って・・・、な、なぜじゃ大きくなれん』

魔人は、元・若者のお腹から外に出れなくなってしまいました。魔人は、元・若者の子壷に閉じ込められてしまったのです。そして、元・若者が、あわてて押し込んだのは、顔にかかっていた薄いベールで、子壷の入り口を塞いでしまったのです。

『この膜が、この膜が破れれば外に出られるのに・・・見ておれ、この膜が破れた時、儂は、再び外界へと出て、お前に復讐をしてやるぞ』

「この膜が破れる事はないのです。これは男のアレでしか破られる事はないのですから・・・」

こうして魔人は、元・若者の子壷の中に封じ込まれてしまったのです。

やがて魔人は、温かく心地よい子壷の中で眠ってしまいました。元。若者は、恐ろしい魔人を封じ込める事ができたのですが、元の姿に戻る事はできませんでした。

 

それから幾年月がたち、元・若者は、優しく美しい女性へと変わりました。その美しさから幾多の男たちに言い寄られたのですが、誰のもとにも嫁ごうとはしませんでした。それは、あの魔人を自らの身体の中に封じ込めているからです。

ですが、長い年月の間に、元・若者は身も心も女人に変じてしまい、ついに、ある男のもとへと嫁いでしまったのです。そして、その男のもので、あの膜は破られてしまいました。

ですが、心地のよい子壷の中で、魔人はすぐには目覚めませんでしたが、やがて目覚めると、元・若者のお腹の中で、暴れるようになりました。魔人は、元・若者の子壷の中にいる間に魔力を失ってしまっていたのです。でも、徐々に魔力が戻ってくると、少しずつ身体を大きくしながら、お腹の中で暴れました。

「いたいいたい、そんなに蹴らないで、そんなに暴れないで」

元・若者は、お腹の中の魔人にお願いしましたが、魔人は聞いてはくれず、さらに暴れました。やがて、魔人が、元・若者のお腹の中から、外へと出て着ました。でも、身体は、小さく、自分では何もできません。そこで、いつも泣き喚いて、元・若者を困らせることにしました。

お腹が空いたと言っては、泣き叫び、おしっこやウンチをしたと言っては、大声で泣き、四六時中、泣き出すので、元・若者は、いつもくたくたでした。でも、あの魔人を完全に復活させるわけには行きません。元・若者は、ガマンして、魔人の世話をしました。そのうち、魔人は、元・若者の優しさに触れ、大人しくなっていきました。

そして、一人でオシッコやウンチが出来るようになる頃には、すっかり元・若者の言う事を聞くようになりました。こうして、元・若者は、魔人を治めたということです。 インシャ・アッラー