大作戦シリーズ
Nigo!提供
連続ラジオドラマ
先輩とボク!
構成・EAST
第一話「バレンタイン大作戦」
ナレーション(かわいい男の子の声で)「ボクの名前は、本城かおる。男の子だよ。小柄で、女の子みたいにかわいい顔をしているから、よく間違われるけど、れっきとした男の子。これでも県立西高の一年生。声変わりもしたんだけど、声のキーが高いから、かわいい服なんて着たら女の子と間違われてしまうんだ。あ、それとボクは、西高の科学部部員。これは、ボクと(自称)超天才児の先輩のお話なの」
(カシャカシャカシャ)
先輩「あ、ここでまた、あの不確定因子が出てくるのか。この因子をだなぁ・・・」
(ギィ〜〜〜〜バタン)
ボク「せんぱ〜い。おはようございます・・・・ん?なにやっているのですか」
(カシャカシャカシャ)
先輩「ん・・・・ここでだなぁ」
ボク「せんぱい!」
先輩「おわっ。脅かすな、かおるか。計算をミスるではないか」
ボク「何の計算です?世界の終焉?」
先輩「それは、5歳の時に終わった。」
ボク「それじゃあ、砂を砂金に換えるとか?」
先輩「それは、4歳のときに、おまえ、さっきからくだらないことばかり聞いてくるな。おとなしくしていろ。」
(カシャカシャカシャカシャシャカシャカ釈迦?)
ボク「は〜い。何々、これが、ああなって、あれが、ここにこう関係して・・・あれ、先輩。ここの数値がおかしいですよ」
先輩「なに?どこどこ・・・・て、後ろからモニターをのぞきこむなぁ。気が散るだろうが」
ボク「は〜い」
(カシャカシャ貨車)
ボク「・・・・・」
(カシャカシャカシャ滑車)
ボク「・・・・・」
(カシャカシャ・・・・飽きてきたなぁ)
ボク「・・・・・」
(カシャカシャカシャカカカカシャシャシャ)
先輩「何か話せよ。音声事故と思われるだろうが」
(シュッタ、シュシュシュ)
先輩「口を抑えて、わたしを指差し・・・なになに、先輩が、黙っていろと言ったので、黙っているだけです・・・ジェスチャーで話すな。聞いている人にわからないだろうが」
(シュシュシュシュシュタ)
先輩「下から指差して、一、二、三?ちがう?なに、タクトを振る真似をして・・・1、2、3?123,123・・・う〜ん、ドレミ?ああ、どれみ。どれみ。うんうん、蚊が飛んできて、ア、吸われて痒い。違う。何か出てきて・・・血か。血が出て来る。ふんふん、どれみち。耳を押さえて聞こえない?どれみち、聞こえない?『どのみち聞こえない紙上ラジオだから』どのみち聞こえない・・・・て、もうつかれるなぁ。もうしゃべってよし。許す、許可する、しゃべってくれ〜」
ボク「は〜い。で、先輩、お昼にしません?」
先輩「そうだな・・・て、違うだろう。なにをしているのか聞かないのか」
ボク「だって、聞いても教えてくれそうもないし、面白そうじゃないもの」
先輩「おまえが聞かないと視聴者の方にわからないだろうが」
ボク「かまわないもん」
先輩「お話が進まないの。ね、だから、聞いて。おねがい」
ボク「いやだけど・・・(棒読みで)先輩、なにやっていたんですか。」
先輩「聞きたいか」
ボク「いいえ」
先輩「聞きたいのなら、仕方がない。話してやろう」
ボク「どうでもいいけど・・・はい」
先輩「実は、大事な計算をしていたのだ」
ボク「大事な計算?」
先輩「そう、日本の、いや、世界の将来を左右するほどの大事な計算をだ」
ボク「ふ〜ん。さ、先輩。お昼にしましょう」
先輩「て、こら、最後まで話を聞け」
ボク「だって、長くなりそうなんだもの」
先輩「手短に話すからさぁ。聞いて」
ボク「手短にね。ボク、おなかがすいているんだから、手短にね」
先輩「はい。この計算はだな。この我輩、超天才の神宮一樹が、この学校内で、バレンタインのチョコをもらえる数を計算していたのだ」
ボク「ゼロでしょ。もらえる確立」
先輩「なぜわかった。典型的凡才美少年キャラのおまえに・・・」
ボク「誰にだってわかるよ。だって、ここは、教師はおろか、校内をうろついている犬さえオスの男子校だよ。チョコをくれるような女の子はいないもの。男の子は別だけど・・・」
先輩「そうか、さっきから出てきていた不確定要素は、それだったのか・・・気づかなかった」
ボク「はう・・・普通、最初に気づくよ。まったく」
先輩「まてよ。それならば、こう変えたらどうなるんだ。」
(カシャシャ・・・・・・・・・シャ)
先輩「どうだ、やったぞ。確立が、5%になった。これ以上、確立を上げる要素は・・・ないか。よし、この作戦を決行だ」
ボク「なになに・・・全世界野郎美少女化計画?」
先輩「そうだ。わたし以外の全世界の野郎を美少女化すれば・・・バレンタインのチョコなんて」
ボク「でも、どうやって?」
先輩「超天才のわたしには、不可能はない」
ボク「先輩。この数値。この学校の教員や全校生徒の数に変えてもあんまり変わんないよ」
先輩「なに?あ、本当だ。世界中は、厄介だなぁと思っていたが、それなら計画を縮小して西高だけに狭めよう」
ボク「ボクも女の子になるの?」
先輩「おまえは、もともと女の子のようなものだから変えてもつまらん。だから、おまえは外す。さあ、計画を練らねば」
ボク「ふ〜ん。」
先輩「忙しくなるぞ。バレンタインまであと4日だからな。わはは・・・・」
(パタパタパタ ギィ〜〜〜バタン)
ボク「あ〜ぁ、行っちゃった。さて、ボクがもらえる確立は・・・こうすれば99%か。うふふ・・・」
ナレーション「それから3日後」
(コポコポコポ)
先輩「これに、あれを入れれば完成だ。さぁ〜〜〜て」
(ピチョ〜〜〜〜ン ボン!)
先輩「完成したぞ。これで、明日のバレンタインは・・・わははは」
ボク「せ〜〜んぱい。これは、なんですか?」
先輩「それはだな・・・あ、おまえいつの間に、人の背後に。それに、その手に持っているのは。わたしのフラスコを返せ」
ボク「あ、いい香り。これ、ミルクチョコの香りがする。これは、なんですか?」
先輩「それは言えん。秘密だ」
ボク「そうなんだ。じゃあ、こぼしちゃお」
先輩「あ、ま、待て。早まるな。それは、【誰でも美少女になっちゃうよ薬】だ」
ボク「あ〜、この間の美少女化の薬。でも、変なネーミング。センスうたがっちゃうナァ」
先輩「うるさい。さ、教えたのだから返せ」
ボク「でも、先輩。これをどう使うか、まだ考えていないんでしょう?」
先輩「ギクッ。それはだなぁ〜」
ボク「あ、そうだ。立花先生が、先輩を探していましたよ」
先輩「科学部顧問の立花先生が」
ボク「説明的なせりふ」
先輩「うるさい。あの先生、遅れると五月蝿いからな。それにさわるなよ。ちょっと行って来るから」
ボク「先輩。立花先生は、県立子供科学センターで待っているそうです」
先輩「何でそんなところで?」
ボク「さあ、何ででしょうね。ボク、しらない」
先輩「ま、いいか。絶対にそれにさわるなよ」
ボク「いってらっしゃ〜い。あ、先輩行っちゃった。これで、40分は帰ってこないぞ。クフフ。その間に・・・」
ナレーション「1時間後」
(ギ~~~バタン!!!)
先輩「こら。どこ行った。立花先生は、いないじゃないか。すれ違いにあったら、科学センターには行かないって言うし・・・ん?」
(甘いメロディーがどこからともなく流れてくる)
先輩「君は?君のような可憐でおしとやかで、野に咲く花のようにかげりをおびた美少女が、なぜこのようなところに・・・説明口調は、ラジオだから御勘弁を頂くとして。お、その白く細い腕で差し出されたものは、わたしへのプレゼント?」
(甘い音楽のボリュームが上がる)
先輩「おお、その愛らしい顔を、縦に振るということは、イエスの証拠。それにそれは、バレンタイン限定のチョコアイス雪見大福。わたしの大好物だ。ありがとう。君からの愛を感じるよ」
(音楽はなおも続く)
先輩「しつこいまでも、歯にまとわりつく餅の感触。甘く冷たい中にも苦く粉っぽいチョコアイスの舌触り。あ~しあわせだァ」
(ぷく〜ん)
先輩「幸せで、胸が膨らんできたようだ・・・え?胸が膨らむ。それに、股間の感触が・・・尻も、妙に窮屈に・・・な、ない!あれが・・ない!!
それに、胸が膨らんでいる。な、なぜだ・・・」
ボク「効いてきたみたいですね。さすが、先輩の薬だ。でも、量が少なかったのかな?女の子じゃなくて、ナイスバディのお姉さんになってしまった。でも、いいか。僕の好みだから。もう、カツラとってもいいか」
先輩「(甲高い女の声で)お、お前は・・・なんでこんなことをするんだ。元に戻せ」
ボク「よかったじゃないですか。バレンタインのプレゼントもらえたんだから。でも、一日早かったけどね。かわいかったでしょ、ボク。今度は、ボクが、プレゼントをもらう番ですよ。きれいなお姉さん」
先輩「や、やめろ、近寄るな」
ボク「あ、そんなこと言ってもいいんですか。先輩がこっそり作っていた媚薬も入っていたんですよ。そろそろ効いてきたのじゃないかな」
先輩「あ、ああ、身体が、熱い。あそこがジンジンする。う、う、う、あ、だめ、耳元に息を吹きかけないで、あ、あ、あだ、だめ〜〜〜」
ボク「うふふふ・・・・・」
先輩「ア、アア~~~~~ン」
ボク「先輩からのプレゼント。げっと!」