あなたは、だあれ?

原案・yuki

作・よしおか

 

すこしだけ、未来のお話

20××年。日本を未曾有の災害が襲った。未知の病原体が、日本を襲ったのだ。その病原体に感染した人の体毛は、抜け落ち、手のひら、足の裏の指紋は消え、顔の凹凸はなくなり、のっぺりとなり、性器は、萎縮し、割れ目があるだけに成った。病気の完治した人は、すべての外的容姿を失い、個人の記憶まで、あやふやになってしまっていた。そのうえ、作業の効率化と、情報の分散を止める為の個人情報の中央管理システム反対を唱える過激グループが、患者の医療データを破壊してしまった。何とか残っていた医療データをもとに、患者の個人確認を進めたが、まだ、かなりの人の確認が、未確認だった。そこで、政府は、厚生省、自治省、地方自治体等関係各省と協議して、患者の個人確認を行なうプロジェクトを発足させる事にした。それは、実用可能になっていた人工皮膚を使って、外見を整え、まだ、未確認の人たちに、該当と思われる人物になってもらう「リアル・ライフ テスト」(身長などから、その人物だろうと思われる人物を、選択し、その人物の姿になって、その人物として、半年暮らし、記憶が戻るかどうかを、テストするシステム)通称「あなたは、だれ?」プロジェクトが、開始された。そして、この試みは、最初は、成果を出しつつあった。だが・・・

 

俺が、仕事から戻ると、部屋のドアに取り付けてある郵便受けに、一通の郵便が入っていた。俺は、それを取り出すと、封を開け、中身を取り出した。それは、市役所からのお知らせメールだった。

『戸田慶介様。来る○月×日。R−区役所生活指導課まで、午前10時までにお越しください。参考までに、事後をご連絡しておきます。

【M−区K−町3−21−9 F−18 沙宮 明日美(さみや あすみ)】

                      生活指導課 担当・朝宮 恵子』

とだけ書かれていた。期日は、一週間後だ。俺は、その手紙をテーブルの上に投げ出すと、バスルームへと向かった。

 

翌日、俺は、上司に、市役所からの手紙のことを告げ、その前日と、翌日の二日間の休日をもらった。

「今の君に、居なくなられると困るのだがねぇ。」

と、愚痴をこぼしながらも、了承した。あの手紙に関しては、だれも、逆らえないのだから仕方がない。それに、今度は、自分が迷惑を掛けるかもしれないのだから、なおさらだ。俺は、その日までに、何とか、今やりかけの仕事を終わらせることにした。そうしないと、休み明けに、みんなに迷惑を掛けることになるからだ。その日から、3日ほど、残業が続き、何とか終わらせることができた。

そして、翌々日、俺は、会社を休んだ。朝起きると、朝飯を簡単に済ませ、久しぶりに部屋の片付けをして、きれいにすると、いつのまにか、昼を、かなりすぎていた。腹も減ってきたし、片付けも大方済んだので、俺は、食事に出ることにした。休みのときにいつも行くファースト・フードで、昼飯を済ませると、俺は、腹ごなしに、明日行くことになっているM−区まで、散歩してみることにした。M−区までは、歩いて20分ほどだった。そこは、物静かな住宅地で、今住んでいるところよりは、環境がよかった。

「あしたからは、ここに・・・」

などと思うと、妙に心が締め付けられもした。そんな思いをしながら、ぶらぶらとそこらあたりを歩いていると、いつの間にか、K−町3丁目に来ていた。ふと、見ると、前のほうから、若い女性が、3人こちらのほうに歩いてきていた。連なって、楽しそうにやって来ていたが、どことなく、浮いた感じがした。

右端の子は、ショートカットで、ボーイッシュだったが、かなりの美人で、真ん中は、おとなしそうなロングヘアの端正な顔立ちをした美少女だった。そして、左端は、おしゃべりなチャ―ミングな女の子だった。

ただ、真ん中の子だけは、ほかの二人と違って、すこし、沈んだ感じがした。

「どうしたの。マキ。これで最後みたいな顔をして。」

「そうだぞ。ボクや由佳は、居なくなるのじゃないのだから。そんな顔をするなよな。」

二人は、少し暗い顔をした美少女を、はげますように言った。

「だって、二人ともだなんて・・・由佳や、明日美と別れたくないよ。」

そういうと、マキと呼ばれたロングへアの少女は、その場で泣き出してしまった。

「なに言っているのよ。私たちが消えるわけでもなし。あしたも、また、一緒にいこう。ね、由佳。」

「そうよ。明日も一緒にね。マキ。」

その言葉を聞くと、いっそう、マキは、泣き出し、明日美にしがみついて、泣きじゃくった。

俺は、その場を小走りに走って、立ち去った。

俺は、部屋に帰る途中で、夕食を済ませると、部屋に戻って、こまごまとした片付けを終わらせると、ベッドにもぐった。だが、昼間見た、マキの姿が、瞼に浮かんでなかなか寝付けなかった。だが、夜明け前には、眠ってしまっていた。

翌朝、起きると、時計の針は、9時を回っていた。俺は飛び起きると、手早く顔を荒い、ジーパンとTシャツに着替えると、部屋の戸締りと、ガス、水道の栓を確認すると、部屋のカギと、あのメールを持つと部屋を出た。初めてではないが、何か物寂しさを感じた。俺は、区役所へと急いだ。

なんとか、10時前には、区役所の玄関をくぐった。そして、生活指導課の窓口についたのは、10時をちょっとだけ過ぎていた。受付の女は、ぶつくさと言いながら、手続きを済ませると、俺に担当者を紹介した。担当者は、20代の結構美人だった。

「戸田慶介さんですか。」

「はい。」

俺は、初めてのときのように緊張した。

「さて、時間がありませんので、こちらのほうにどうぞ。」

彼女は、俺を、区役所の奥にある部屋へと案内した。そこは見慣れた光景の部屋だが、なぜか、いまだ慣れなかった。その部屋の中は、六畳ほどの広さで、中央に、円筒形の台があり、その上には、同じような円板形のものがぶら下がっていた。その部屋の壁際には、脱衣用の籠があるだけだった。彼女は、俺に、台の横に置いてある籠に、服を脱ぐように言った。俺は、言われるままに、下着まで脱ぎ、その籠の中に入れた。そして、俺は、その円筒形の台の中に立った。俺が入ると、台の周りから、透明の筒がせり出し、上部の円板と台をつなげた。俺は、そのカプセルの中に閉じ込められた。完全に密閉されると、円板から、何かの液体が、シャワーのように、俺に降り注いできた。それは、すこし暖かく、温水シャワーのようだった。

そのシャワーを浴びた俺の肩の皮膚は、ふやけたようになり、肩と腕の間に、裂け目ができて、ズルッと、ずり落ちた。まるで、ぶかぶかの手袋が、抜け落ちるように足元に、腕の皮が抜け落ちた。それは、腕ばかりではなかった。足も、腰も胸さえも、剥がれ落ちた。シャワーで、顔を擦ると、顔の皮も剥がれた。その剥がれた顔の皮は、まるで、お面のようだった。だが、降り注ぐシャワーに、手に持っていたお面も、溶けて指の間を落ちていった。髪の毛も、ほかの体毛も抜けて、足元に溜まっていったが、それらも、どろどろに溶けると、台の中央にある排水溝から、流れていった。さすがに、股にあったペニスが、落ちたときには、初めてではないといっても、ショックだった。こうして、身体中の皮膚が、すべて剥がれ落ちると、シャワーは止まった。そして、今度は、本当の温水シャワーが出てきた。

俺は、そのシャワーで、身体についた皮膚の残りカスを洗い流した。頭の髪の毛は、すっかりなくなり、きれいなスキンヘッドになっていた。顔も、眉もなくなり、腋毛や、脛毛もなくなっていた。身体中を擦って、すっかり流し終えると、温風が吹き込んで来て、濡れた俺の身体を乾かした。ふと、頭を下げると、股間には、申し訳なさそうな割れ目があった。

俺の身体が、乾くと、透明な筒は下がり、俺は、台を降りた。素っ裸になった俺に、朝宮さんは、ガウンを掛けてくれた。俺が、ガウンを羽織ると、彼女は、俺を、別の部屋へと案内した。そこには、中央にプレス台みたいなベッドがおいてあり、壁には、姿見があった。その姿見に、一瞬、俺の姿が映った。それは、髪も、眉もなく。鼻や耳、唇さえもない、のっぺらぼうだった。身体は、肌色のタイツで身を包んだ、そう、マンガに出てくるのっぺりとした蛇人間そっくりだった。

俺は、朝宮さんに言われるままに、そのベッドの上に横たわった。その台には、人型のくぼみがあって、俺は、そこに仰向けに横たわった。天井には、同じように人型の板があった。まるで、鯛焼きの鉄板だ。俺をきれいにその型にはめると、天井の板が、ゆっくりと降りてきた。俺は、目をつぶって、そのまま、闇の中に横たわった。その闇の中で、俺の身体の上に、何か冷たいものが、広がっていった。それは、俺の身体中を覆った。何かを身体に貼り付けたような違和感は、徐々に消え、身体が引き締まっていくような感じがした。

 

どれくらい経ったのだろう。朝宮さんの声に、俺は目を覚ました。

「起きてください。終わりましたよ。」

俺にかぶさっていた板は、上に上がっていた。俺は、身体を起こすと、身体が、前のめりになるのを感じた。

ふと、胸のあたりを触ると、そこには、やわらかく、重いふくらみがあった。

「鏡をご覧になります?」

朝宮さんの問いかけに、俺は、ベッドを降りて、壁の姿身の前に立った。そこには、昨日見たショートカットの少女が、全裸で恥ずかしそうに立っていた。小さな整った顔立ち、大きく膨らんだ胸、引き締まった腰、少し茂ってきた股間、少し大きく張ったお尻、長く細く伸びた腕と足。

「これが、オレ?」

「そうです。今日からのあなたです。さあ、着替えて、M−区役所に行かなければ。これに着替えてくださいね。あちらで、ほかのものは、準備していますから。それと、今日から、あなたは女の子ですから、言葉遣いには、気をつけてね。」

俺は、朝宮さんの指導で、ブラや、パンティを身に付け、女性の服に着替えると、R−区役所を後にした。

こうして、俺の、いや、ボクの新しい人生が始まった。

『今度は、女子高生か。いままで、男性ばかりだったから、なんだか勝手が違うな。でも、今度は、恥ずかしいけど、不思議な体験ができそうだ。異性になるなんて・・・』

俺は、このシステムで、いろんな人間になってきたが、このごろでは、元の自分に戻ることをあきらめ、いろんな人生を、楽しむことにしていた。そして、こういう考えの人が、増えつつあった。

「今度は、どんな体験ができるかな?女子高生。それも美人だからなぁ。」

そうつぶやきながら、服の上から、胸のふくらみを触ってみた。男の時にはなかった感触が、脳天を直撃した。

「ああ・・・ん、感じる〜。」

思わずでた俺の声も、かわいい女の子の物に変っていた。運転していたドライバーが、ルームミラーを見ながら、ニヤついていた。俺は、顔を赤らめ、それに向かって、イ〜〜っと口を広げて、睨んだ。

R−区を離れていく度に、俺は、過去との決別を感じていた。俺を乗せたタクシーの運転席の左上にあるルームミラーは、不安の中に期待を秘めた表情の美少女を写し出していた。そして、クルマは、静かにM−区へと入っていった。

 

あとがき

 

yukiさんのアイデアを元にして書いてみました。

元は「ボディスーツ着用が、義務付けられた世界」です。こちらのほうは、さいふぁ〜さんが、そのうち書かれると思います。かなり期待大。

わたしは、このアイデアの「ボディスーツ着用をしなくてはいけない環境」というほうに、興味を覚え、書いています。出来のほうは、いかがでしょう?

この世界に興味を、覚えた方、いらっしゃいましたら、書いて見ませんか?別に私への連絡はいりませんから・・・

(でも、原案・yukiとだけは、どこかに入れてくださいね。お願いします。)