ヤング・マスターの気まぐれ逃亡記
予告編
わたしは逃亡者。名は、まあ、ヤング・マスターとでも呼んでくれ。
私は、無実の罪でいつ果てるともない逃亡生活を余儀なくされたのだ。私のこの生活が終わりを告げるのは、いつのことなのだろうか。
なぜ、私が、逃亡生活を余儀なくされたのかを語らずばなるまい。
え、そんなことはど〜〜でもいい。そう言わんとき〜とりゃすか。わしがの、腹へって腹へってど〜にもなりゃ〜せんで、近くにあったアンパンをよ。一個齧ったのよ。そしたらそれが、綾奴の隠しおやつで、あのこが泣き出すものだから、姉やが追っかけてきたのよ。
そりゃ〜どえりゃあ血相で来るもんだから、おどりぃゃ〜て、逃げ出したんだわ。
それが、この逃亡生活のはじまりだわ。
アレから行く清掃。道を掃きながら、「お出かけレスかレレレのレ〜〜〜」と言いながら?違う、幾星霜、一日として、休まることもなく逃亡生活を続けているです。
さて、あたしの「ヤング・マスターの勝手気まぐれ逃亡生活記」次回から始めようかと思いますが、勝手気まぐれなものなので、いつ始まるか、それとも始まるのか(題名だけで終わったりして)。そして、いつ終わるのかは、神様もわからない。
ということで、ここは、おしらせまで。(でも、アイデアが出なければ、ハイそれま〜でえよ。)
かなり、平均調ですなあ〜。(つまりいいかげん)
たとえば「ジャンバルジャン」とか、日本の戦後復興の記録 |
第一回
俺の名は・・・ 仮に、ヤング・マスターとでもしておいてくれ。アンパンを一口齧ったために俺は、逃亡生活をする羽目になってしまった。逃亡に必要な資金が乏しくなってきた俺は、とある町の喫茶店に住み込みで働くことにした。
その街の名は、聖林(せいりん。間違っても、ハリウッドとは読まないこと。特に姉や、わかった。)。そこの、駅前通りにある喫茶店に俺が勤めだしたとこだ。
駅前通の名前は、『夕暮れ通り』この通りの77番地には、元警察官と新聞記者の探偵が、向かい同士で探偵事務所を出している。そして、そこの事務所には、蕎麦屋の出前持ちの少年が、用もないのに入り浸っていた。(この設定、姉や以上の年齢の人ならわかるでしょう。ただ探偵の名前は忘れたので、勝手につけます)
近くに劇場や、映画の撮影所がある関係か、この街では、タレントに出会うのは日常茶飯事で誰も、彼らを見ても驚かなくなっていた。この街は、これで成り立っていた。
そして、いろんな奴がこの街に来ては、去っていくので、誰も、新参者を物珍しく見るものはいなかった。そして、そんな関係で、職にありつくのも、他のとこよりは容易だった。
俺も、最初は、映画やテレビでしか見ない人たちが目の前にいる物珍しさから彼らをちらちらと見たりしていたが、今ではなれて、何の思いも持たなくなっていた。
彼らもただの人間だ。俺が、注文を取りに行くと、尻を触ったり、エッチなことを言ったりする。一応、反応はしてやるが、かれらと同じ男なのだから、面白くもないのが本当の事だ。
俺の尻を触るなんて、彼らは、ゲイか。と思われる人もいるかもしれないが、ここでの俺の姿は、19歳の美少女なのだ。なぜ、そんな姿をしているかと言うと、姉やの手が回る前に、京の若さまに変装用のスキンを借りて、化けたからだ。スキンと言えば、ここには、「WAVE−2」があるが、アレは、精巧に出来ている分、一度来たら脱ぐ事が不可能だからだ。(というよりも、姉やしか脱がせられないし、姉やのとこしかないからだ。綾奴のところにもあるらしいが、原因が、綾奴では借りられない。)
こうして、俺のこの町での生活が始まった。そして、彼らにまつわる事件にも、遭遇する羽目になった。
それは、また次回にお話することとしよう。それでは、また。
きゃあ、ヤングマスターさま!! |
第二回
俺の勤めている喫茶店は、「順の山小屋」という喫茶店で、マスターは、俳優の井上順にそっくりで、名前は伊上潤一郎といった。いつもニコニコとして、決して怒る事にない人なのだが、人が良く、先走りしすぎるとこがあった。そして、今回もその事で、俺は困った立場にたたされることとなった。
それは、俺が、女優になりたくて、この街にきたのと勘違いして、この街の芸能プロダクション主催の美人コンテストに、勝手に俺の写真を送って、コンテストに、応募してしまったのだ。
いくら外見が、美少女だとしても、男の俺が、美人コンテストに出るなんて、俺は、面食らったが、この、人のいいマスターのおせっかいを無碍にもできず、困ってしまった。俺が、どうするか迷っているうちに、写真による第一次審査を通ってしまった。さすが、若さまの変装用ボディマスクと言うべきか、今回だけは、若さまの変装用ボディマスクのできのよさに困ってしまった。
こうして、俺は、美人コンテストに出る事となってしまった。そして、それは、ある事件へ巻き込まれる、プロローグでもあった。
果たして、どうなるのだろうか。
第三回
さて、あれから一月がたった。コンテストもいよいよ一週間後に迫った。ここにいるにはコンテストに出なければならない。マスターが店の宣伝にもなると張り切っているからだ。
男がコンテストに出る。これだけでも問題なのに、両隣の探偵事務所のへボ探偵どもが、関わってくるから話がさらにややっこしい。何でも、このコンテストを主催しているタレント事務所は、この街でも有数の事務所で、この世界にはかなりの影響力を持っていた。そして、このコンテストの裏には人身売買の噂すらあった。それを調べるために、あの唐沢にそっくりの餓鬼を女に化けさせコンテストに送り込むらしいが、それだけでは心配なので、俺にも協力を求めてきたって訳だ。
俺は、厄介事は嫌いだが、女を食い物にしようとする奴らはもっと嫌いだ。奴らの程度もわからないので、俺は、協力を断り、自力で、コンテストの裏にあるという秘密を探る事にした。
あと一週間。おれは、女に磨きをかけることにした。
はやいもので、あれから、1ヶ月が過ぎようとしている。これならば、姉やの記録を抜く日も近いぞ。 |
第四回
あの探偵事務所の二人は、かっこはいいが、かっこばかり気にして頼りにならないので、俺は一人でやることに決めたのはいいが、コンテストまで、あまり時間がなかった。コンテストの裏を探るには、第一次審査でおわりでは、お話にならない。最低でも最終審査までは行かないと無理だろう。そのためには、今の俺のままではむずかしかった。
外見は女でも、中身は男。いや、女のきぐるみを着た男では、話にならないだろう。どんなに男っぽい女でも、そのまま男では、審査員の興味を引きそうにはない。どんなに、男っぽくても、その中に女の恥じらいがなければ、女の形をしたただの男になってしまう。
短期間で、女らしくなる方法を考えた。そして、極力避けていた方法を取る事にした。それは・・・・
あまりに単純な方法なので、ブーイングが聞こえてきそうだが、これが以外にも効果があるのだ。その方法とは、2階の俺の部屋中に、できるだけ、俺の姿が映るように鏡を、あとらこちらに置いた。そして、寝るときは、かならず脱ぐようにしていたボディマスクを着たままでいることにした。いつも、女としての自分を自覚する事になる環境を作る事から始めたのだ。
若さまから借りたこのマスクは、着っぱなしでも、3ヶ月は、持つものだった。これが、姉やの奴だと、決してボディマスクとはばれない代わりに、脱げなくなる危険性があったから、避けたという理由もあった。あくまでも、俺は、綾奴たちから逃げるために女装しているのだから。
そして、鏡に映った自分に声をかけるようにした。それも、優しく、女言葉で、視覚と聴覚、触覚、皮膚感覚などの、感覚に訴えた女性化洗脳教育は、以外にも速く効果が現れだした。
ただ、わたしには不安があったの。このコンテストが、終わったときに、わたしは元の自分に戻れるのかしらという不安なの。最近、女としての自分に違和感を感じず、男の人の視線が気になりだした自分に、一抹の心配を感じながら、コンテストは、明日へと近づいてきていた。わたし、がんばる。と健気にも思う、近頃のわたしでした。
ところがどっこい。もう、4までいってるもんね。 |
第五回
あの、はじめまして、わたし、綾波 綾香と申します。
いま、喫茶店で働いている18歳の女の子です。あの、わたし・・・
すみません突然お邪魔して、なにを言っていいのかわからなくて。
こんなところに来るのは初めてなもので。今度わたしあるコンテストに出ることになって、それで、マスターが、女らしくするならここがいいと紹介してくれて。
でも、初めてなものでどうしたらいいかわからなくて、あの、これ、御土産のアンパンなのですけど、木村屋じゃないですけどおいしいですよ。
(綾奴の奴、まったく気づいてないな。これならいける。)
コンテストに向けての特訓の成果を確信するあたしであった。