浮気

挿絵・◎◎◎氏

 

シティホテルの一室で、私は由美子と愛し合っていた。

「あ、あ、ん、ん、ああ、ああ〜ん」

由美子は、全裸で膝をついて私の腰のまたがり、腰を上下に動かしながら声を上げていた。

「う、う、んぉん〜んん」

私は、由美子に包まれた息子への刺激に思わず声を上げていた。

「ま、まさひこさん、いい?」

「ん、ん、ん」

由美子の問いかけに、私は声を出すことが出来なかった。声を出したら、ガマンしている息子が爆発しそうだったからだ。

『じかにあなたを感じていたいの。だから、あなたとの間を裂かれるのはイヤ!何もつけないで』

その由美子の願いを聞き入れて、私は、息子に何も被せていなかった。だから、息子を爆発させるわけには行かない。

「ま、まさひこさ〜ん」

由美子が、再び私の名を呼んだ時、部屋のドアを激しく叩く音がした。

『ドンドンドン!そこにいることはわかっているのよ。ここを開けなさい!!』

その声に私の身体はビクンと強張った。その時、ちょっと気が緩み、少し息子が吐き出した。

「カオルだ。どうしてここがわかったのだろう?」

ドアを壊さんばかりに叩き、ヒステリックに叫ぶ女の声に、私の顔から血の気が引いていくのを感じた。

「どうなさったの?まさひこさん」

由美子は、私の股にまたがったまま、私を見下ろしながら聞いてきた。

「つ、妻だ。君と一緒にいるのに気付いたんだ。ど、どうしよう、どうしたらいいんだ?!」

カオルは、私の妻だった。今、私と愛し合っている由美子に勝ると劣らないほどの美人なのだが、嫉妬深かった。普段とはちょっとでも違った様子を見せたら、すぐに浮気を疑い、私が偽りの白状でも浮気を求めない限り、その詮索は続き、眠らせてもらえない夜が続くのだ。そのために、仕事以上にわたしのストレスは溜まり、胃潰瘍はおろか、どれだけ心と体がボロボロになったことか・・・・

それまで、私は本当に一度も浮気などしたことがなかった。だが、カオルのあまりの嫉妬深さに疲れきった私は、偶然入ったスナックで知り合った由美子とこういう関係になるまでには、それほどの時間はかからなかった。

『あなた、開けなさい!判っているのよ。そこに女と一緒に居るのでしょう。さっさとここを開けなさい!!』

カオルのヒステリーは頂点に近づいていた。

『あの、お客様。この部屋をご利用のお客様や、他の部屋のお客様にご迷惑になりますので、お静かに・・ウグッ!』

カオルを鎮めに来たホテルの従業員が彼女に締め上げられたのだろう。こうなっては誰もカオルを鎮めることはできない。

『さあ、ここを開けなさい!開けないつもりね。あなた!ここのカギを持ってきなさい!!さっさと行きなさい』

何かが突き飛ばされて、倒れる音がした。そして、誰かその場を走り去る足音がした。従業員がカギを取りにいったのだろう。もうおしまいだ。私は、いや、由美子も嫉妬に狂ったカオルに殺されてしまう!私は、まだ、またがったまま腰を動かす由美子をどかすとベッドから起き上がり、この部屋から気付かれずに逃げ出せる場所を探した。だが、それらしきものは見つからなかった。

私に残された最後の隠れ場所はバスルームしかなかった。だが、そこに逃げ込んだとしても、妻に捕まるのは時間の問題だ。私はまさに袋小路に追いつめられたネズミ状態だった。

「まさひこさん、そんなに奥様がこわいの?」

「こわいって、君は妻のことを知らないからそんなにのんきなことが言えるんだ。彼女は、嫉妬に駆られると何をするか予想がつかない。殺人すらも平気で起しかねないんだよ」

「まあ、こわいわね」

私の切羽詰った行動も、気にならないのか由美子は、わたわたと戸惑う私のあわてぶりを見ながら可笑しそうに微笑んでいた。

「ここに、まさひこさんがここに居なければ問題ないんでしょう?」

「ああ、もしくは君がね」

「でもそれだけでは、問題解決にはならないわね。それよりも、両方ともいなくなれば完璧!」

由美子は、セクシーな裸体をくねらせてその美しい唇に妖しい笑みを浮かべながら、その豊満な胸を掴んだ。

「フフフ、お楽しみはこれからよ」

由美子は、両手で左右の胸の膨らみを掴むと左右にひっぱった。

ベリベリベリ・・・

由美子の胸の谷間が避け、そこから由美子の胸元の皮ふが徐々に避け始めた。

「ゆ、ゆみこ。君の胸が・・いや、体がさけて・・・っ??」

裂けた由美子の胸の谷間から赤い血が噴出し、避けた皮膚の下から、赤い血が滴る胸の肉が・・・・・現われる代わりに男のようなたくましい厚い胸板が現われた。胸の裂け目はさらに下へと伸び、まだ濡れている女の秘部にまで広がった。

由美子は、微笑んだまま首の下の裂け目に右手を掛け、左手を左胸の裂け目に掛けて、まるでフードつきのコートを脱ぐかのように自分の皮を剥いだ。剥いだ皮の下から現れたのは、イケメンの若い男性だった。

 

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「ゆ、由美子。き、君は・・・お、おと、おと・・・」

「ごちゃごちゃ言うのは後にして、さ、これを着て」

由美子だったイケメンの青年は、今まで着ていた自分の皮を私のほうに放り投げた。だが、私は、いま目の前で起こった状況が理解できずに戸惑っていた。

「なにボケ〜ッとしているんだ。さァ、これを着て」

由美子だったイケメン青年は、どうする事もできずにあたふたしている私をベッドの押し倒すと、馬乗りになって、さっき放り投げた由美子の皮の裂け目を広げて、私の足から着せ始めた。

「お前は一体ナニをするんだ。や、やめろ!やめてくれ」

「あら?あなたは、奥さんに何をされてもいいのかな??」

「そ・それは・・・」

「どうするんだよ」

「どうって・・・でも」

「うふふ、じゃあいいのかい、奥さんに捕まっても。でもね、これはこれでいいものだよ。まさひこさん」

ドアの向こうではヒステリックに叫ぶカオル。部屋の中では、女の皮を被されようとしている私。そして、男になって私を玩ぶ由美子。

カオルには、私たちの姿が変わったことを知ることはできない。部屋の外では、ホテルの関係者を相手にそのカオルがまだ騒いでいた。

わたしは変わった自分の姿に戸惑っていた。この皮を着せられた時には、確かに違和感を感じたのだが、今、この女の皮に、(由美子の皮を着ているはずなのに、)何の違和感も感じなくなっていた。膨らんだ胸の重さにも、男とは違う股間にさえも、なんら違和感を感じないのだ。まるで、今の女の姿が当たり前の事のように。

「さて、そろそろこの騒ぎを終わらせようか」

由美子だったイケメンは、全裸だったその身体にバスローブをまとっていた。そして、わたしにもバスローブを着るように言うと、ドアの方へとゆっくりと歩いて行った。そして、静かにドアを開けた。

「どなたでしょうか?あまり五月蝿くされるので、妻が怯えています。」

「えっ?」

ドアが開き、出てきた青年を見て、妻は怒鳴るのを辞めて唖然となった。妻は、身を乗り出して、ドアから出て来たイケメンの青年の背中越しに部屋の中を覗いた。その時、ベッドから身を乗り出して恐る恐る外の様子を覗いていたわたしと目が合った。

妻は、顔を赤らめて、わたしに軽く会釈をした。わたしも、おずおずと妻に会釈を返した。妻のカオルは、先ほどのヒステリーが静まり、さっきまでの興奮がまるで嘘のように大人しくなると、わたしたちに詫びを言い、ホテルの関係者に連れられて部屋の前から去って行った。

その後、ホテル側から今回の騒動のお詫びとして、宿泊料の無料と、ホテル内の有料設備の無料チケットをもらった。

「なあ、由美子。もういいだろう。これを脱がせてくれないか」

わたしは、イケメンの由美子に、この女の身体を脱がせてくれるように頼んだ。

「おや、あなたはその身体に興味ないのかな?」

イケメンの由美子は、意地悪な笑みを浮かべながら、女の身体に戸惑うわたしを見た。

「興味なんて、私は男に戻りたいんだ。この姿のままでいるとなんだかおかしくなりそうで・・・」

「なればいいんじゃないか?こんな機会はそうあることじゃないし、それに、僕も久しぶりに男を楽しみたいしね」

「な、なに?!なにを言ってるんだ」

イケメンの由美子は、股間の息子をビンビンにして、わたしに近づいてきた。

「や、やめろ!やめてくれ・・い、いやぁ〜〜〜」

そして、わたしは処女を失った。

 

「あ、ん、あっああ、い、いいわ、いい、ああん」

「ふふふ」

由美彦の腰にまたがり、由美彦とつながった腰を上下に動かしながら自分の胸を揉み上げて女の快感に酔いしれているわたしを見つめながら由美彦は微笑んだ。

「この間は嫌がっていたのにお前もすっかり淫乱な女になったな」

「い、淫乱だなんて、自分の妻に言う言葉」

「フフフ、そうだな。確かに妻に言う言葉ではなかったな」

あの時、由美子に女にされたわたしは、その後も由美子、いえ、由美彦さんの妻となり時々会っては、愛し会っていた。

「でも、こんな事をしていていいのかな?カオルサンが怒るんじゃないかな?浮気しているって」

「もう、さっきも言ったじゃないの。わたしは、由美彦さんの妻よ。由美彦さんの妻のまさみ。だからこれは浮気じゃないわ」

わたしは、由美彦の息子を自分の中に包み込んでいる女のわたしを感じながら微笑んだ。そう、わたしはまさみ、夫・由美彦を愛する女・まさみよ。