登場人物

マサシ:25歳 マサルの同僚。社長の娘・マキを、マサルと取り合う。だが、その性格の悪さから、マキに振られる

マサル:25歳 マキのフィアンセ。

マキ :23歳 マサルのフィアンセ。資産家の娘(美人)

華 代「はじめまして。わたし、真城華代と申しますあなたの悩み、教えてください。すぐに解決して差し上げます

    さて、今宵は、どんな悩みでしょう?」

(テーマソング)

(仮題・完全犯罪?!)

 

マキ 「や、やめて、たすけて、マサシさん」

マサシ「フフフフフ・・・マキ。あの時、俺を振った罰だ。死んでもらうぞ」

(縄を締め付ける音)

マキ 「や、やめて・・・」

マサシ「ふふふふふ・・・死んでしまえ!」

(何か、重いものが床に落ちる音)

マサシ「ククク・・・だが、安心しろ。これから、お前は生き返る。このマサシを愛する女としてな」

(携帯のダイヤルを、押す音)

マサシ「たとえば、お前が、そっくりさんと入れ替わっても、誰も気づかないだろう。まさか、あんなことが本当に起こせるなんて。誰も信じないだろうからな」

(呼び出し音)

マサシ「アレを目の前で見なければ、俺もこんな計画を思いつかなかっただろう。3ヶ月前に、アレをみるまでは」

 

(ガラス製品の割れる音)

マサシ「お前は、何のつもりなのだ。俺を振るなんて」

マキ 「わたしは、知らなかった。あなたが、こんなにひどい人だったなんて。わたしは、マサルさんと結婚します。あなたは、お父様に言ってくびにしてもらいます」

マサシ「マキ、お前は、俺が好きだといったじゃないか。一度ぐらいの浮気で、そう怒るなよ」

マキ 「あなたに傷つけられた方は、一人じゃないわ。それに、わたしは、マサルさんを愛しているんです。この相田もそう申し上げました。帰ってください」

マサシ「そう怒るなよ。本当は、俺に惚れているくせに」

マキ 「帰ってください。警察を呼びますよ」

マサシ「わかったよ、帰るよ。だがな、後悔してもしらねえからな」

(激しく、ドアが閉まり、鍵がかかる音)

マサシ「くそ〜、他の女のことがばれるなんて。それに、あの優等生面したマサルに負けられるかよ」

(人の声と、車の騒音が響く)

マサシ「このままでは、マキは、サトルのものだ。俺は一生あいつに頭が上がらなくなるぞ。どうしたらいいんだ」

(とぼとぼと歩く足音。騒音は、小さくなっている。)

マサシ「そこの公園で、ちょっと休んでいくか」

(ベンチのほうから声が聞こえて来る)

華 代「おにいさんの願いは、男アレルギーのきれいなおねえさんとお友達になりたいのね。それじゃあ、行くわよ。トリトリツケツケミラクルパワー!」

(シュルシュルシュルシュルル〜〜〜)

若い男「あ、あ、(声がだんだんと高く、女性の声のようになって来る)あああ〜〜〜〜」

華 代「これで大丈夫よ。よかったわね。おにいさ・・・いえ、おねえさん」

マサシ「あれは、なんだ。あの子が何か唱えると、さえない男が、見違えるばかりの美少女に変わったぞ。あの子は、男を女にできるのか。そんなばかな」

若い女「な、なんで、もとにもどしてくれ〜」

マサシ「待てよ、この力を使えば、あいつらに復讐できるぞ。ちょっと気味悪いが、楽しい復讐が・・・チョ、チョット、お嬢ちゃん」

華 代「はい、呼びました?」

マサシ「あ、ああ(かわいいなぁ、この子が?見間違いかなぁ)さっきの事は、君がした事かい?」

華 代「さっきのことって、お兄さんの願いをかなえてあげたことですか?」

マサシ「う、うん、そうだ。お嬢ちゃんは、男を女に変えることが出来るのかい?」

華 代「はい、それがお仕事ですから。これ名刺です」

マサシ「ましろかよ ココロとカラダの悩みお受けします?」

華 代「はい、おじさんの悩みはなんですか?」

マサシ「おじさんはひどいな。これでも、まだ若いつもりなのに。お兄さんといってくれないかな」

華 代「ごめんなさい、おにいさん。で、おにいさんの願いってなに?」

マサシ「おにいさんの親友の恋人が死んじゃって、親友が、落ち込んでいるんだ。だから、励ましてやりたくて・・・」

華 代「ふ〜ん、おにいさん、優しいんだ」

マサシ「そこで、その死んだ恋人を、生き返らせないかと思ったんだけど。出来るかい?」

華 代「それは、わたしには出来ないわ。ごめんなさい」

(申し訳なさそうに言う、華代)

マサシ「じゃあ、おにいさんを、その恋人そっくりに出来るかい、お嬢ちゃん。できれば、心から、親友を愛している彼女に」

華 代「お嬢ちゃんじゃないわよ。華代だよ。それならば、出来るわよ。その人の写真ある?」

マサシ「あるよ。これが、その子の写真だけど。はい、これでいいかな」

華 代「ありがとう。きれいな人ね。この人の名前は?」

マサシ「マキ」

華 代「マキさんか。それじゃ、いくね。トリトリツケツケ・・・」

マサシ「ストップ!華代ちゃん、今すぐじゃないよ。おにいさんにも、準備があるからね。華代ちゃん、携帯持っている?」

華 代「うん、持っているよ。必需品だからね」

マサシ「準備が出来たら連絡するから、その時に頼むよ」

華 代「わかったわ。で、おにいさんの名前は?」

マサシ「おにいさんの名前は、マサルって言うんだ。親友の名は、マサシ」

華 代「マサルさんとマサシさんね。二人とも同じような名前ね」

マサシ「ああ、苗字も同じなんだ。だから、会社では、名前で呼ばれるんだけど、時々間違われてしまう。くれぐれも間違わないでくれよ」

華 代「わかりました。マサルさん」

マサシ「俺は、マサシだ。くれぐれも間違うなよ。大変なことになるからな」

華 代「え?は、はい。マサシさん?」

マサシ「これで、俺を振ったマキに思い知らせることが出来るし、莫大な財産と嫌いなマサルを女にして、いたぶることもできるのだ。マキを殺しても、誰も気づくことはない。生きている死者。完璧な完全犯罪だ」

 

(呼び出し音)

華 代「(カシャ)はい、ましろかよです」

マサシ「華代ちゃん?この間、会った。マサシだよ。覚えているかな?」

華 代「あ、マサシさん。覚えていますよ」

マサシ「それじゃあ、頼むよ。華代ちゃん。これで、準備は整ったから」

華 代「はい、それでは、行きます。トリトリツケツケミラクルパワー マサシさん、マキさんにな〜れ」

マサシ「そう、マサシをマキに・・・て、違う。間違えた、今の俺は、マサルだった。華代ちゃん、かよちゃ・・・・(声がだんだんと甲高くなる)あ、れ、え?こ、こ、声がカワル〜。い、いや〜〜〜(マキそっくりの声になる)」

 

華 代「今回は、優しいお友達のお手伝いが出来て、満足です。次は、あなたのところにお伺いするかも・・・」

 

(人のざわめきと、動き回る音の中、パトカーのサイレンが遠ざかっていく)

刑 事「主任。ごくろうさまです。主任、ガイ者の顔は、見られましたか?」

主 任「ああ、かなりの美人だな。ところで、状況は、どうなっている」

刑 事「ハイ、被害者は、エンドウマキ 23歳。現場のマンションの持ち主です」

主 任「ふむ」

刑 事「発見者が、首に縄を巻きつけられたガイ者を発見。すぐに、110番通報したのです。ガイ者は、発見が早かったのと、締められた時に、気を失ったのを、犯人は、死亡したのと勘違いしたようで、意識は、明日にでも戻るということです」

主 任「で、発見者は何で、現場に居たんだ」

刑 事「はあ、現場が、発見者の部屋でしたので・・・」

主 任「ん?現場は、ガイ者の部屋と言わなかったか?ガイ者は、同居者がいたのか?」

刑 事「いえ、一人暮らしで、同居者はいません。それに、ガイ者は、一人っ子だそうです」

主 任「じゃあ、現場が間違っているじゃないか。ちゃんと報告しろ」

刑 事「いえ、間違っていません。ガイ者は、エンドウマキ。そして、発見者は、エンドウマキ」

主 任「同姓同名か。それにしても、混同するなんて、たるんどるぞ」

刑 事「いえ、同姓同名ではありません。同一人物なのです」

主 任「なに?じゃあ、ガイ者が、通報してきたのか。それなら、そうと・・・なんだその顔は?」

刑 事「それも違うのです。主任、ここが、この事件の最大の問題なのですが、ガイ者は、一人っ子で、双子の姉妹はおろか、兄弟さえいません。両親ともに、一人っ子なので、従姉妹もいないそうです。そして、こちらが、発見者です」

マキ 「刑事さん。もう、なにがなんだか。あの人は誰なのですか?そして、私は、本当に、エンドウマキなのでしょうか?」

主 任「・・・・」

刑 事「鑑識に頼んで、ガイ者と発見者の指紋を照合してもらいました。そっくりというレベルじゃないそうです。そのものだという見解が出ました。双子でも、ここまでは行かないそうです。つまり、ガイ者と発見者は、同一人物・・・」

ナレーション「こうして、捜査主任は、不可思議な世界の住人になったのです。そう、このミステリアス・ゾーンの住人に・・・」