華 代「はじめまして。わたし、真城華代と申しますあなたの悩み、教えてください。すぐに解決して差し上げます
さて、今宵は、どんな悩みでしょう?」
(テーマソング)
(仮題・入学者募集)
(激しくドアが開く音)
事務長「理事長。大変です!」
理事長「どうしたんだね」
事務長「今年の入試試験の応募者数が、また定員を割りました。これで、4年連続です。このままでは、当校は・・・・」
理事長「今年もか。いよいよ、共学を考えないと・・・」
事務長「それでは、もう遅いかもしれません。児童数減少と、わが校のスパルタ教育が、実際以上に、過激にささやかれて、もともと少ない受験者が一層、減少したようです」
理事長「それでは、共学でも無理か」
事務長「はい。わが校には、女性教師はおろか、女子事務員さえいませんので、女子の入学希望者は、皆無かと」
理事長「女子職員は、募集していただろう。どうだったんだ」
事務長「それが・・・応募者ゼロです」
理事長「そんな。給与面、福祉、施設面でもかなりの好条件にしてあっただろう。それでもだめなのか」
事務長「はい、まったく、女子職員がいないことが、マイナスになって、だれも応募して来ませんでした」
理事長「そうか。創始者の男の教育は、男の手で、と言う方針で、男子職員だけにしていたのが、ここで、裏目に出たか」
事務長「はい」
理事長「この学校も・・・」
事務長「はい、このままでは、来年までかと・・・」
理事長「そうか・・・一人にしてもらえるかな」
事務長「理事長」
理事長「すまんが、席をはずしてくれ。たのむ」
事務長「は、はい。それでは、失礼いたします」
理事長「ああ」
(ドアが開き、静かに閉まる)
理事長「歴史ある本校も、わたしの代で、終りか・・・はぁ」
華 代「おじさん、どうしたの?」
理事長「お嬢ちゃん、君は誰だい?どこから入ってきたんだ」
華 代「わたしは、華代。セールスレディなの。ハイ、名刺」
理事長「これは、ご丁寧に。え〜と、ましろかよ?ココロとカラダの悩みお受けします?」
華 代「はい、どんなお悩みも解決します」
理事長「お嬢ちゃんが・・・(笑いをこらえながらつぶやく)」
華 代「わたしは、これでもプロよ。お客様のどんな悩みも解決して見せるわ」
理事長「ふぅ、お嬢ちゃんに話してみても、仕方がないが・・・やる気の子の気をそいでは、かわいそうだ。話すとするよ」
華 代「はい」
理事長「来年には、この学校は、閉鎖になるんだよ」
華 代「閉鎖?なんで」
理事長「新しい生徒が、入らないからだよ。受験する人がいないんだ」
華 代「どうして」
理事長「ここは、男子校なのだが、来年から共学にしようと思っていたんだが、創立者の意思で、男子職員しかいないから、女の子が、敬遠して、誰も受験者がいないんだ。だから、男の子だけでは、生徒が足りなくて・・・」
華 代「女の人はいないの?」
理事長「いないんだ、まったく。教師か、事務員,生徒の中にでもいれば、違うのだろうがね。あるいは、全員女性だった方が、よかったかも・・・」
華 代「そうか。女の人がいればいいのね。わかったわ。それが、おじさんの願いね」
理事長「願いというか・・・それが、どうかしたかね」
華 代「それじゃあ、行くわよ。トリトリツケツケみらくるぱわ〜〜〜」
理事長「わ、わ、わ〜〜まぶしい・・・」
事務長「(甲高い女の声で)理事長、理事長」
理事長「(可愛い女の声で)う、う〜〜ん。わたしは、寝てしまっていたのか。ん?君は・・・この学校には、君みたいな、きれいな女子職員はいないはずだが?」
事務長「わたしは、事務長です。それよりも、理事長、深呼吸してください」
理事長「深呼吸?なぜに・・・」
事務長「いいですから、してください」
理事長「こわいなぁ。わかったよ。す〜〜は〜〜す〜〜は〜〜。これでいいかね」
事務長「はい、では、鏡をご覧ください」
理事長「鏡を見るだけに、深呼吸なんて・・・え?これは、誰だい?この若くて、可愛い女性は。あなたはどなたかな?」
事務長「・・・・」
理事長「わたしと同じ事をしゃべっているぞ。それに、わたしと同じ動作をしている。やあ、こんにちはお嬢さ・・・て、ま、ま、まさか」
事務長「そうです。鏡に映っている女性は、今の理事長の姿です」
理事長「え〜〜〜〜、わたしは女性になってしまったのか。すると、君も本当に事務長?」
事務長「そうです。わたしたちだけではなく。本校の男子は、教員、事務職員は言うに及ばず、生徒にいたるまで、すべて、女性になってしまいました」
理事長「まさか、そんなぁ」
事務長「これで、女子の勧誘が出来ます。災い転じて・・・ですか」
理事長「まさか、あのこが・・・そんなぁ〜〜」
華 代「女の子も安心して入れる学校にすればいいのよね。これで、あの学校も、安心だわ。だって、みんな若い女性ばかりだもの。さて、次は、どんな悩みかしら、たのしみ。今度は、あなたのところに行くかもよ」