大人になるって?
「あたし、夕菜(ゆうな)でーす」
「あたしは、麻美(あさみ)でーす」
あたしたちは、デパートの前の通りに作られた舞台の上に立っている。道を行く人が立ち止まり始め、だんだんと集まってきている。にゃー、何だか照れくさいな。
「あたしたち、双子なの。現在、高校1年生。でもね、ただの高校生じゃないのよ・・・」
「魔法少女なのっ! あ、いったーい」
あたしは夕ちゃんの頭を思いっきりひっぱたいた。
「もう、ばらしちゃだめでしょ。それに魔法少女だったのは、小学生の頃で、高校生なんだから、もう大人よ。お・と・な!」
「そう、あたしたちは、魔法少女・・・だったのだ。」
「きゃー、もう、秘密なのよ!」
あたしたちは、きゃぴきゃぴ(?)する。
「ばればれやんけ!」
観客から突っ込みが入る。でも、それはサクラ役のやっちんの声なのだ。あたしは衣装係が作ったあっち系のコスプレ衣装を着ていたので、見た目が、アニメに出てくるようなそのまんまな格好なのだ。でも、高校生になってもこんなの着るなんて・・・たまにはいいかな。
「で、今お買い物に来てるの。 あ、いったーい」
「脈絡がなーい!」
今度はハリセンで夕ちゃんをひっぱたく。デパートの売り場で、あたしたちは先ほどから何をしているかというと・・・理由もなくそんことするわけないよ・・・。
「とにかく、○×デパートの新商品は、大人の魅力を引き出したい女子高校生にぴったり。ついこの間まで魔法少女に憧れていた時代はもう卒業!ほらもうこの通り!」
最初に魔法少女うんぬんがあったのは、そういう流れなわけ。誰よ、こんなバカバカしいお話にしたのは。ともかく、あたしは、衣装のひもをひっぱるようにして脱ぎ捨てる。下からその新商品をびっちりと着こなしているのあたしが登場なのである。
「あー、麻ちゃん。ずるーい! あたしも変身したーい。えーい!」
『おおっ!!』
夕ちゃんが服を脱ぎ捨てると、あたりの人が一斉に騒ぎ立てた。特に男性人は食い入るように舞台を見つめている。何よ、部長まで夕ちゃんの方がいいっていうの。あたしたち、双子だからおんなじなのに。
「え? き、き、き、きゃーーーーー!!!!」
突如、夕ちゃんが悲鳴を上げた。何よ、今度は何なのよ。と思って夕ちゃんを見ると・・・上半身裸だった・・・。あ、あのブラ、この間おそろいで買ったやつだ。どうやら服を着ていなかったか、一緒に脱いだか、したらしい。
「って、な、何してんのよ!」
あたしは慌てて、夕ちゃんの体を隠すように前に立つ。
『ブー! ブー!』
観客(もちろん男)からブーイングが起きていた。あ、やっちんや部長まで・・・もう、いやらしいんだから!
とりあえず、夕ちゃんに服を渡しながら退場させた。
「えー、裸の魅力は騒動になりますので、女性は服の魅力で何とかしましょう」
司会進行役の副部長が何か頓珍漢なことを言って、この場はなんとか収まった・・・ようだ。あたしは夕ちゃんに付き添って、舞台の裏(といっても、デパートの一部を幕で覆っただけ)に入った。
「何で、服を着ていなかったのよー」
「忘れちゃった」
夕ちゃんは、えへへと笑った。もう。いつだって夕ちゃんは、どじなんだから。悪い人を魔法で懲らしめるときだって、いっつも失敗ばかり。関係ない人まで巻き込んで大騒ぎになっちゃうんだから。
・・・えっ? ・・・あたしたち、本当に魔法少女だったんだよ。中学2年生までは結構活躍していて、新聞でも不思議な事件として取り上げられたんだから。正体はもちろん秘密ね。でも、引退した今だって、簡単な魔法なら使えるのよ。
引退したのは、魔力が落ちちゃったからで、えーと、それは、その、あれが来ちゃったからってことらしいのね。もう、少女じゃないってことらしいのね。えーん。
「麻ちゃん、泣きたいのはこっちだよぉ」
夕ちゃんが口を突き出して講義する。あたしの心を読んだらしい。これは魔法というより、双子のパワー(?)で察知できるようなのよね。
「自業自得じゃー!」
あたしの本気のツッコミが夕ちゃんにクリーンヒットした。
「にゃー、ほんと、もう最悪ぅ」
「もー、何度も謝ってるじゃない」
あれから、結局うやむやのうちに、商品告知キャンペーンのための、近くの高校の演劇部(すなわち、あたしたち)に依頼した劇は終わった。デパートの人(50歳くらいのおじさん)はあまりいい顔はしていなかったけど、ま、若い女性の裸も見れたんだし、と部長が耳元でささやいたので、ちゃんと報酬も払ってくれたらしい。何だかなぁ。あぁ、最悪なのは夕ちゃんの方よねぇ。体を売られちゃって。でも、夕ちゃんをからかうとおもしろいから、まだ気分の悪いふりをしていた。
「みゅー、麻ちゃんの意地悪ぅ。もう知らないんだからー」
そういうと、夕ちゃんは走って先に行ってしまった。ちょっとやりすぎちゃったかな。夕ちゃんはこっちをちらちらと見ながら大通りへ出る曲がり角まで駆けていった。そのとき、誰かが角の向こうから歩いてくるのが見えた。「危ない、夕ちゃん!」
「え? あ、いったーい」
夕ちゃんは結局、その人とぶつかってしりもちをついた。相手の男の人も、倒れてしまったようだ。連れのもう一人の男の人に助け起こされている。あたしも夕ちゃんに駆け寄った。
「おい、ねーちゃん。ぶつかっといて謝りもしないのかい」
あたしが夕ちゃんを助けようとすると、男の人に腕を捕まれてしまった。
「にゃー、ごめんなさい」
夕ちゃんは倒れたまま、器用に頭を下げる。
「妹が申し訳ありませんでした」
あたしも急いで謝る。いやな予感。
「いてー! いてててて、腕がいてーよー」
夕ちゃんとぶつかった男の人が腕を押さえて叫ぶ。このパターンはもしかして・・・。
「おいおい、連れが腕を折っちまったようだぜ。どうしてくれるんだ!?」
うわー、やっぱり。この人たち、悪い人、だ。
「えと、その、お医者さんへ行きましょう」
夕ちゃんがあたふたして答えている。しかし、この人たちがそれを素直に聞くはずがない。
「・・・そんなんで済むかよ。体でやさーしく治療してもらわねーとな」
男の人がいやらしい顔になる。うちのおとーさんみたいだ。
「わー、痛いの痛いの飛んでけー」
夕ちゃんが突然、男の人の腕をさすりながら呪文を唱える。たぶん、本当に魔法を使っていれば、怪我の痛みは和らいだろう。しかし、この場合、二つ問題があるのよね。ひとつは、していない怪我は治らない。もうひとつは、夕ちゃんはこのおまじないを本気で信じている。
「おい、お前の妹は、あれか?」
あたしの腕をつかんだまま、男の人は聞いてきた。にゃー、そうなんです・・・。
あたしたちは、結局、近くの雑居ビルらしい建物に連れ込まれてしまった。いざとなれば魔法を使って何とかすることができる。ただ、他の人に見つかってしまったらまずいから、人気のないところまで連れて行かれるふりをしているのだ。元魔法少女もいいよね。普通の女性が怖い思いをする機会が減るんだから。
「あ、もう手は大丈夫なのね。よかったね」
夕ちゃんは何も気づかずに笑顔でいる。先ほどのおまじないが効果を発揮したと信じているらしい。馬鹿な妹を持って、あたしは幸せです・・・。
「さ、て。お姉さんの方はわかっているようだけど、観念したかい?」
とある部屋に入ると、男の人たちはずいぶんと丁寧になった。でも、やることは一緒だよね。そろそろ頃合と、あたしは魔法を使う準備をした。とはいっても、念じるだけで十分なのだが、魔力の少ない今ではちょっと時間がかかる。夕ちゃんもあたしの心を察知して、対処してくれればいいんだけど・・・。
「これから楽しいことしようね」
「わーい」
男の人の言葉に、素直に喜んでいる。だめじゃん。仕方がない、あたしは身構えて、魔法を使おうとした。
「お姉さんには、これをしないとね」
「え?」
あたしの腕に、ちくりとした痛みが走った。そこを見ると、すでに注射器は抜かれていた。
「あれ?」
急に、目がかすんで、動悸が激しくなる。体温が急激に上昇して、体が火照ってきた。呼吸が荒い。心が乱れてしまって、魔法は、使えない。これって、まずい・・・よね。
「あ、ああん、いい。気持ちいいよぅ」
あたしは、男の人に馬乗りになって、自分から上下に動いていた。あれから、すぐに抑え切れなくなって、自分から男の人にせがんでしまった。言われもしないのに、男の人のあれを咥えたりもした。見るのも初めてなのに・・・。そして、初めてなのにいってしまった。もう、何回も。
「あ、いく。いっちゃうよ・・・ああああーーー、あ、あぅうう」
また、いった。気持ちいいよぉ。男の人の手が、あたしの胸に伸びる。ゆっくりなでられたり、急に強くつかまれたり、乳首のあたりをさわさわとじらされたり。もう、何をどうされても気持ちいい。あっちの方は、もうずっと繋がったままだ。
「い、痛いよー」
横を見ると、夕ちゃんも裸にされていた。すでに、あそこに男の人のあれが入っている。でも、夕ちゃんは薬を打たれていないので、痛いらしい。ちょっとかわいそう。って、そんなあたしゃ、何なのよ。でも、気持ちいいんだもん。止められないんだもん。
「痛いのいやー、ええーん。麻ちゃんずるーい」
夕ちゃんは一生懸命、あれを抜こうと体を動かすが、男の人の力にかなうはずもない。組みふされたまま、好きなようにされていた。
「俺は、女を痛がらせるのがいいんだ」
夕ちゃんを抱いている男は、そういう趣味らしい。ごめんね、夕ちゃん。あたしの方が、当たりみたい。薬されちゃったけど、多分魔法で何とかなるだろうし・・・。気持ちいいためか、思考がおかしな方向へいっている。いきながら、いろいろ考えている。考えていながら、強くつつかれると、
「あ、いい。いっちゃうよー」
と、いってしまう。
そんなこんなで、もうそろそろ、体力が限界と思われるとき、
「うひゃー!!!?」
突然、夕ちゃんの悲鳴が聞こえた。見ると、夕ちゃんが目を見開きながら、あうあうと叫んでいる。結局、薬を打たれちゃったのかと思ったが、どうやらそうではないらしい。
「麻ちゃん、これ、気持ちいいよ」
夕ちゃんを抱いている男の人が、あたしへ言った。
「あ、夕ちゃん。魔法?」
心が伝わってきたので、すぐその男の人が夕ちゃんだってわかった。魔法、使ったんだ。ピンチの時には、集中できなくても使えるんだよね。あたしは気持ちよくなってたらか、全然ピンチじゃなかったし(そもそも逃げたいという気持ちが、薬のせいで無くなってたし)。
あ、ということは、もしかして、今、夕ちゃんになっているのは、あの男の人なのかなぁ。
「ん? なんだ、どうしたんだ?」
あたしを抱いていた男の人が、今の会話と夕ちゃん(の体)を不審に思ったのか、動くのをやめた。
「あん」
だいぶ時間がたって、薬の効果が薄くなってきたのだろう。あたしも、動くのをやめることができた。ふー、疲れちゃった。
「ね、麻ちゃん。こうすると、気持ちいいの。あ、あ、あ」
「何言ってるんだ。変だぞ、お前」
「ん、こんなに気持ちいいんだ。ずるいよね。あ、いいよ、うん」
「い、痛い痛い。何なんだ、これはー! あ、う、や、やめてくれー」
夕ちゃん(男の人)がようやく声が出せるようになったのか、おどおどして、涙声で懇願する。状況が理解できていないのか(普通できないと思うけど)、相棒が急にオカマ言葉になっちゃったり、夕ちゃんが変なことを言ったりするのを、こっちの男の人は、ぽかんとした表情で見ている。
「あ、何か来た。で、でちゃうよ、お、おしっこみたい。・・・あ、あああ、あーーー!」
男の人(夕ちゃん)が、気持ちよさそうな顔で腰を夕ちゃんに押し付ける。
「や、やめろ。出すなー。ああああー」
夕ちゃん(男の人)は、顔をゆがませて、喘いでいる。まぁ、体に異物を挿入された上に、それが痛い。しかも、異物から何かを注入された日には、ちょっと男の人には耐えられないよねぇ。お気の毒に。
「・・・って、気の毒なのはあたしたちでしょ!」
一人ボケの一人突っ込み、悲しいね。
「ふえ? な、な、何がどうなってるんだ!?」
「ふふふ・・・お返しよ。いっぱい気持ちよくしてもらっちゃったし」
慌てふためく、あたし、を見て、あたし、は、ちょっと自虐てきな快感を覚えた。股間のあれが、むくっと起き上がる。
「あ、あん」
そうか、こんな感じなのね。男の人って。うん、いいよ。素敵だね。
「な、何だ。俺か、お前は俺か? じゃあ、俺は誰なんだ。あれ?おれ?」
さっきまで、相棒がおかしくなっていたのに戸惑っていたこの人は、今度は自分がおかしくなってしまった。あ、とか、え、とか、夕ちゃんじゃないんだから、あんまりあたしの顔でそんな表情しないでよね。って、双子だから同じ顔なんだけど。
「まだ気持ちいいでしょ。薬が完全に切れてないから」
「え? あ、あう。な、何だこりゃ!?」
「それ!」
「あーーー、うわーーーー、な、な。気持ちいいーーー!」
あたしが、よっと一突きすると、あたしの体ががくがく震えて、あたし(男の人)はあらん限りに叫ぶ。あっけなく、いっちゃったみたい。
「そりゃそーよね。あたしも、その最中のときは、気が狂いそうだったんだもん。うん、わかるわかる。こっちも、気持ちいいわよ」
と、あたしは容赦なく、どんどん腰を振るった。
「あああ、いくーーー」
そのたびに、あたしの体が引きつったり、がくがく震えたりする。うーん、こういう状態って色気がないわりに、なぜか興奮するのね。自分相手なのに。
「あ、ああぁ、出すよ」
あたしも男の人でいっちゃった。なるほど、おしっこが出ているみたい。それに、あれが、強く包まれている感覚が、いい。夕ちゃんがとりこになっちゃうのもわかる。
その夕ちゃんも、隣で、もう何回目だろうか、まだ続けている。男の人(夕ちゃんの体)は、もう目も虚ろで、ぼおっとしている。相当、ショックだったんだろうね。でも、しょうがないよね。
「出る、出るよ。・・・う、あう・・・。はぁはぁ。あれー、気持ちいけど、痛くなったよ?」
夕ちゃんが、あれの付近をさすりながら、変な顔をしている。同じ部活のすーちゃんが言っていたけど、男の人はそんなに回数をこなせないらしい。最後には、気持ちいいどころか、痛くなっちゃうんだって。そのときはふーんって何気ないそぶりで受け流していたけど、自分が男になってみると、わかる。この人の体も、もう何度も出しているもんね。
結局、そのあと、1時間くらい続けたけど、いろいろ限界だったので、終わりになった。あたしと夕ちゃんの体が、床にベッドに転がったまま気絶している。
「ねぇ、麻ちゃん」
「ん、何?」
「あたしたち、もう完全におとなだね」
「ふふふ、そんなこと言ってるうちはまだ子供だよ」
「えー?! 麻ちゃん、大人みたいなこと言ってるー」
そうかなぁ。まだ、子供だよ。あーあ、体だけ先におとなになっちゃった。