陽射しの中で・・・

俺は、陽射しを避けるように、近くのサテンに入った。
そして、窓際の席に座ると、表を通り行く人たちを眺めていた。
「きょうは、春分か。」
ふとそんな言葉が口から出た。表を通りすぎる人たちは、エプロンをしているものが一人としていないからだ。そして、それは、春分と秋分だけの光景でもあった。

 20XX年、人類は、大気汚染と、月や火星などの地球外衛星及び惑星での生活のために、第二の太陽が必要になった。そこで、第二の太陽として選ばれたのが、木星だった。(木星の太陽化については、小松左京著・さよならジュピターを参照のこと)そして、その計画は成功した。
しかし、思わぬ誤算が発生した。それは、新しい太陽の放つ放射線の中に、性転換の促す放射線(仮にTS線としておこう)が混じっていたのだ。この放射線は、コンクリートや、ガラスは通さないが、衣服などでは、体内まで入り込み、性染色体を変化させ、細胞の新陳代謝を活発化させて、男性を女性に、女性を男性にするばかりではなく、二十歳前後まで、肉体を若返らせる働きがあった。
 最初は、若返りと性転換を楽しむ人たちがいたが、あまりにも激しく変化させると、細胞の劣化が起こり、死にいたることがわかり、その予防策として登場したのが、ボディマスク、通称『エプロン』だった。このTS線を防ぐ物質がごわつく為に衣服にはできず、取り外しが簡単なエプロンタイプのものが、作られ普及した。しかし、若返りの魅力は失いがたく、TS線の一番強力になる春分と秋分のこの日だけは、エプロンをはずし、誰もが、若返りと、異性への転換を楽しんだ。
さてっと、わたしの転換も終わったようだし、この店を出ようかしら。いい忘れたけど、一度転換すると、翌日またTS線を浴びないと転換はしないの。だから、きょうはどんなに陽射しを浴びても大丈夫なのよ。
秋分まで、女で暮らして、そのときにどうするかまた考えようっと。
わたしは、膨らんだ胸、引き締まった腰、きゅっとかわいいお尻に満足しながら、店を出た。
春の陽射しが、優しくわたし達を包んでいた。


あとがき書こうと思ったけど、何にも思いつきませんので、この辺で失礼します。では、チャオ!