パラダイス・シティ3 〜浮気の代償〜
作 うさ吉
(1)母(かか)様
「翔子。来月の頭から一週間ホテルを予約しておいたから、女どもをつれて骨休みにでも行ってこいや」
「ええ?どこのホテル?」
珍しく、日頃のご褒美にと、夫から〈女と子ども達のための〉社員旅行をプレゼントされた。それも一週間も。
「あら、ハワイじゃない。いいの本当に?」
「まあな、日頃世話を掛けているからな。それに、山川との争いも大方こっちの思い通りにカタがついたしな。おまえたちには日頃さんざん迷惑をかけているからそのご褒美だ。気にしないで行って来い」
「まあ、優しいのね。ありがとう。でも、あなたや男衆はいかないの?」
「さすがに全員は無理だな。今回の件はカタがついたが、また何があるかわからないからな。様子を見て、落ち着いたら今度は皆で行こう。まあ、若いのを何人かつけるが、今回はいつも裏方でがんばってくれている女たちで骨休みしてきな」
「そう、残念ね。じゃあ悪いけど、今回はお言葉に甘えさせて頂きます。ありがとう」
山川商事・・・というか、山川組との抗争も、先日手打ちになったということで、夫から女房たちにご褒美旅行がプレゼントされた。
まあ、場所はハワイだから大したことはないけれど、珍しいことといったらない。
もっとも、『姐』と呼ばれるあたしを筆頭に、まだ中堅のうちの組・・・いや、会社の従業員たちは、格上の山川相手によく凌ぎ、運良く一つの命も落とすことなく手打ちに持っていけたのは、男たちももちろんだが、裏で支えていたや女達の頑張りがあったからだといっても過言ではなかった。
世間一般の主婦のように、のんびりと過ごす日は一日としてない。ただの家計のやり繰りと子どもの世話終わることはなく、大抵の者は夜も働き、抗争が激しいときは命の危険の中で暮らしていた。
それを考えたら、これくらいの褒美はもらっても良いのかもしれない・・・が、翔子の中で何か引っ掛かるものがあった。
「高次、ちょっと話があるんだけど」
「は、はい」
「ねえ、うちの人、また浮気してるんじゃないの?」
「い、いえ。そんなことは・・・」
「何かおかしいのよね。近頃やけに優しいし、旅行までプレゼントしてくれるし。おまけに、自分は行かないとか言って・・・あたしがいないのをいいことに、新しい女とどこかに行こうとかいうんじゃないでしょうね」
「えっ!そ、そそそんなことは」
「ほら、嘘をついているでしょ。あんたは昔から嘘をつくとすぐわかるんだから。正直にお言い!」
「姐さん・・・勘弁してください」
「勘弁できないね。宿無しだったおまえを今日まで面倒見てきたのは誰何だい?」
「そ、それは姐さんです」
「おまえが女房に『愛してる』の一言もいえない中で、仲をとりもってやったのは誰何だい?」
「それも姐さんです」
「それに・・・」
「わ、わかりました。姐さんには逆らえません。でも、俺がしゃべったってことは、社長には内緒で」
「わかってるよ。今までだって、お前に迷惑をかけたことはなかっただろ。さあ、話しておくれな」
「はい。実は・・・」
高次から聞いた話は、やはり翔子の予想通りのものだった。最近お気に入りの女ができて、青山にマンションを借りて住まわせているということだ。今迄にも何回か同じようなことがあったが、さすがに今回のように、一週間もあたし達を遠ざけてというのは初めてだった。
それに、気になるのは女の「出」だった。今までは水商売関係が多かったのに、今回は「かたぎ」の女らしかった。どこでどう知り合ったのか・・・それも、遊びの中で関係ができるのではなく、普通の恋愛のように深まっているのが気になった。
その翌日。翔子は昔から困ってどうしようもなくなると頼りにしてきた、新橋にいる「母(かか)様」と呼ばれている占い師の所へといった。
「あら、珍しいね。その顔じゃあ、またやっかいごとだね。差詰め・・・旦那の浮気かい?」
「えっ?何でわかるの?もう参ったな母様は何でもお見通しね」
「まあ、これが商売だからね。じゃあ、詳しく聞こうかね。さあ、ここに掛けて」
「ありがとう。実は・・・・」
翔子は現時点でわかっていることを全て話した。
「う〜ん。まあ、浮気は浮気だけど、今回のはちょっとやばいかもしれないね。ちょっとお待ち。占ってみるからね」
そういうと、十色の十二面体の石を取り出し、何回か呪文のようなものを唱えながら転がしたかと思うと、今度は子供の顔位の大きさの水晶に手をかざし、目を閉じて何かを念じだした。
五分も経っただろうか。ゆっくりと目を開けると、ため息をつきながら・・・
「ふう。やっかいだね。今回のはかなり深いようだよ。こんな言い方がいいかどうかわからないけど、新しい女の体に溺れてるっていうよりも、完全に惚れてしまっているね。『ぞっこん』さ」
「・・・・」
「下手すると、別れることになるよ」
「ええ!そんなに?」
「ただ」
「ただ?」
「手がないわけでもないんだよ・・・ただ、なんと言ったらよいか・・・この仕事を始めて長いけど、あまりこんなことはないんだけど・・・」
「何かやばいの?」
「何か大きな転機みたいなものがあるんだよ。だけど、そこから先が・・・何というのか・・・あんたにとっては良い『目』が出ているんだけど、旦那にとっては・・・モヤモヤしてわからないんだ。普段は、たとえ見えなくても吉兆くらいはわかるんだけど、今回はそれもわからないんだよ」
「じゃあ、どうすればいいの?」
「それはあたしが聞くことだね。あんたどうする?このまま行けば四分六分で別れることになるね。まあ、それも運命だからいいけど、もし変えるなら・・・」
「変えるなら?」
「明後日の夜の九時に、ここから東の・・・上野だね。御徒町の駅を降りてから東に向かって歩いていくと、そこで運命を変える出会いがあるはずだから行ってみるがいいさ」
「明後日の夜・・・」
「でも・・・その出会いは良いものとは限らないからね。あと一日、よく考えてから行くんだよ。少なくとも、行かなければ悪くても別れるだけさ。でも、もし行けば・・・」
「い、行けば・・・?」
「命に関わるような、運命の大転機になってしまうかもしれないからね」
翔子は家に帰ってから、周りが心配するくらいに悩んだが、占い師のいっていた「四分六分で別れる」ということが決め手で、二日後に御徒町へと行く決心をした。
いくら浮気が多いといっても、惚れた男だし、可愛い子供の父親でもある竜太朗と、何もせずにいて別れるということに耐えられなかったのだ。
ただ、運命の転機ということについては、なったら仕方ない、わからないものを今考えても仕方ないと割り切る強さもあった。
占い師に会ってから二日後の夜、翔子は一人で御徒町へと出かけた。
「ええっと・・・東っていうと・・・どっち?」
普段方角など考えたこともない上に、全く土地勘もない御徒町では、どこにもいけなかった。
「あのう、東っていうのは・・・」
勇気を出して駅員に聞くと、どうやら吉池を左へガード沿いにいけばよいらしかった。
ところが、しばらく歩くと、道はガード下をくぐり、どんどん曲がっていってしまう。そして、ついには路地に入り、行き止まりになってしまった。
「あれ?行き止まり。やっぱり道を間違えたんだわ。磁石でも買って行き直そうかしら」
と、気落ちして帰ろうとすると、さっき通った時には気がつかなかったが、薄い明かりのついた、よく言えば落ち着いた、悪くいえば気味の悪いアンティークショップが目の前にあった。急いでいるはずなのに不思議と中に入りたいという衝動に駆られ、引き込まれるように入ってしまった。
(2)アンティークショップ
店内は狭く、そこには、どこの国のものかわからない人形や陶器、アクセサリーや小物が乱雑に置かれていた。
ふと、店の奥に目を移すと、翔子よりも少し若そうな、まだ二十代位の女性がカウンターに座って店番をしていた。
「いらっしゃいませ」
遅れて店番の女性から声がかかる。
「なかなかいい雰囲気のお店ね」
「ありがとうございます。何かお探しですか?」
「いえ、探し物ってことはないんだけれど、お店を見たら急に入りたくなってしまって」
すると、店番の女性の目がきらりと光った。
「私が申し上げるのも何ですが、何かお悩みのことがあるのではありませんか」
「えっ?わかるの?」
「いえ。ただ、うちにお見えになるお客様は、何かお悩みをお持ちの方が多いものですから、もしやと思って申し上げました。もし、よろしければお話を伺いましょうか?」
「ええ。実は・・・・」
普通なら、初めて入った店の店員に話すような内容ではないのに、翔子は何の躊躇いもなく今回の占いの内容を話し始めた。
「そうですか。それはお困りですね。もし良かったら、これをお使いになってみませんか?」
そういって、女性はカウンターの横の棚からビロードの袋のうちの一つを取ってきた。
「これは?」
「これは、写換魔具といって、昔々の中国の王朝でつかわれたもので、相手の姿形を写し取り、その人になることができるといわれているアイテムです。つい先日、始皇帝の墓の中を発掘したという方が持ってきたものです」
「へえ、何だか凄いもの何だね」
これもまたおかしなことに、こんな胡散臭い説明を聞いても、今の翔子にはおかしいということは頭に浮かばず、相手のいうことをそのまま素直に全て受入れてしまっていた。
「で、これはいくらなの?」
「とても貴重なものなので、本当なら一千万円でも安いくらいなのですが、客様が本日ここにお見えになったのは何かの縁かと思いますので、特別に十万円で結構ですよ」
「まあ、本当に?そんなに安くして頂いていいのかしら」
「ええ、結構です。ただ、使うときにはいくつか注意して頂くことがあります。それは・・・」
怪しいアイテムに何の疑いも持たずに十万円をキャッシュで支払い、翔子はそのまま家へと帰ったのであった。
家に帰って冷静になってみると、何でこんな怪しいものに十万円も支払ったのかわからない。どう考えても狸か狐にでもばかされたとしか思えなかった。
袋を開けると、中から出てきたのは半透明の大きな袋で、縦二メートル、横一メートル位の、ビニールのようなゴムのような、伸展性のある不思議な素材でできていた。何枚か入っているようだった。
「これどうすればいいのかしら・・・」
使い方は聞いたが、それが今回の件でどう役立つのか、また、どうすれば解決できるのか・・・眠れない夜がやってきた。
月も替わり、いよいよ旅行への出発となった。
「高次のやつ、こんな時に病気になりやがって使えねえヤツだぜ。昔からあいつはここって時にヘマが多かったよな」
「ええっ!そんなことはないんじゃないですか」
「ですか??」
「いや、ないでしょ。彼なりに頑張ってくれてる・・・わよ。下の者の面倒見もいいし、あれで結構頼りになることが多いのよ」
「そうか?今日はやけにあいつの肩持つなあ」
「そ、そんなことないわよ」
「まあいい。それより、ゆっくり楽しんでくるんだぜ。俺や会社のことは気にせずに、女どもと思い切り羽を伸ばしてきてくれ」
「ありがとうございます。じゃあ、行って来きます」
一行が搭乗口へと入るのを見送ると、竜太朗はお付きの若い衆をつれて、ウキウキした様子で家へと帰ったのであった。
家に着くと、予め用意しておいたバッグを取り出し、自ら運転してどこかへと出かけるようだった。
「いいな、お前達。うまくやるんだぞ。滅多なことじゃ連絡よこすなよ」
「へい。わかりました」
「それから、もしあいつから電話があったら、何とかうまく話して、すぐ俺に電話しろ。絶対に怪しまれるんじゃねえぞ」
「へい。大丈夫です。でも社長。一人くらいは供を連れていってくれませんか。もし何かあったら・・」
「馬鹿野郎。やっと気兼ねしないで愛留と過ごせるっていうのに、何でお前らみたいなムサイ野郎を連れて行かなきゃならねえんだ。それに、山川との手打ちもすんだし、当分は安全に決まってるだろうが」
「すいません。わかりました」
「じゃあ、行って来るからな」
そう言うと、竜太朗は自ら車を運転して出ていった。
その車の後を、一台のタクシーが、空港からずっと尾行していていることに気づく者はいなかった。
青山のマンションにつくと、既に愛人である愛留は支度を終えて待っていた。
「おう、待たせたな。じゃあ、行くか」
「うん。行こう行こう!」
ぴょんぴょん跳んで腕を組んでくる。この天真爛漫というか朗らかというか、翔子も含めて、普段竜太朗の周りにいる女たちにはない明るさ、清純さの溢れる眩しい笑顔を見ただけで、竜太朗は今回の旅行を計画して良かったと思うのだった。
三時間もかからずに夕方前には奥軽井沢の別荘へとついた。ここは、翔子には内緒の場所で、自由になりたいときに利用しているのだった。
「さあ、着いたぞ」
「うわあ、大きな家ね。それにとても綺麗なところで素敵だわ」
「そうか。この別荘は愛留と過ごす為に買ったんだよ。もし気に入ったなら、お前もちょくちょく使っていいからな」
「本当に?うれしいわ」
「でも、他の男とはだめだぞ。浮気はだめだ。もししたら・・・」
「もう、浮気なんてする訳ないでしょ。あたしは竜ちゃんのものなんだから」
「そ、そうか。俺のものか。うれしいことをいってくれるなあ。じゃあ、入ろう」
車から降りると、二人は恋人気取りでルンルンと腕を組みながら中へと入っていった。
その様子を確認してから、タクシーは軽井沢の街へと消えていった。
(3)目覚めてみると
「はあ、はあ・・・ど、どうだ?いいか?」
「あん、あん、あん・・・いいわ。気持ちいい・・。もっと、もっと突いて」
「こうか?これでどうだ?」
「ア〜〜〜ン。いいわ、いいわ」
『パンパンパン』という腰を打ち付ける乾いた音と、愛留の嬌声が室内にと響いていた。
若い愛留にあわせて奮闘し過ぎたからなのか、竜太朗はいつの間にか疲れて眠ってしまった。実は、セックスの後、愛留が飲ませたドリンクに睡眠薬が入っていたのだ。
すると、それを確認してから、愛留はバックを開け、中から二枚の半透明の袋を取り出した。
一枚は翔子が購入したものと同じものだったが、もう一枚はもっと大きさが小さく、百六十センチメートル位しかかない上に、一枚の袋状ではなく、人型の形状をしたものだった。
「竜ちゃん、ごめんね。愛留、竜ちゃんのこと大好きだけど・・・でも・・・ごめん。許してね」
そう言うと、二枚のうち、大きい袋状のものを、竜太朗の頭から被せ、全身をすっぽりと包んでしまった。
すると、どうしたことだろう。三分もしないうちに袋が縮み始め、いつの間にかいくつもの筒先に別れ、人型となって竜太朗を覆ってしまっていた。
次に、持ってきた袋からファスナー状のものを取り出し、竜太朗の頭から顔を通って股間までのせると、それはピタリと定着してしまった。
「これでいいのよね。そしたら・・・」
ファスナーが定着していることを確認してから、ジーっとそれを開けて、中から竜太朗を取りだしたのだった。
「ふう。重いわねえ。ええっと次は・・・」
今度は、もう一枚の人型をした袋を手に取り、両足を入れてから上へと引き上げ、両手と頭を入れていった。
驚いたことに、百六十センチメートルそこそこしかない細い袋なのに、百八十センチメートルはある竜太朗を入れる。と、どんどん伸びて、遂にはその全身をすっぽりと覆ってしまったのだった。
「で、最後にこれでいいのよね」
そう言うと、股間にあったファスナーを上へと引き上げた。
すると、ちょうど作業の終了を見計らったかのように、終了とほぼ同時に玄関のチャイムが鳴り、来客の訪れを知らせた。
「うまくいったようね」
「ええっ??何??」
そう言って入ってきたのは、現在二階で寝ているはずの竜太朗だった。なぜここに竜太朗がいるのか?それは、また後のこととして・・・
「あなた・・・竜ちゃん?」
「そんなことはいいから部屋に案内しなさい」
「え、でも・・・竜ちゃんは上で今・・・」
「うるさい!つべこべ言わず案内しろ!」
「は、はいっ!」
愛留は混乱しながらも、入ってきた竜太朗に言われるままに二階へと上がり、元の竜太朗の眠るベッドルームへと案内していった。
「ど、どうぞ、ここです」
「よくやったわね。ご苦労さま」
そういうと、竜太朗は部屋へと入っていった。
ベッドに目を移すと、その上には、先ほどまでは百八十センチメートル近くあったはずの袋が、いつの間にか縮んで、百六十センチメートル程の元の大きさへと戻って置かれていたのだった。
(小さくなっているけど、やっぱり竜ちゃんはあの中だわ。じゃあ、今、目の前にいるのは一体・・・)
ベッドへと近づき、ファスナーを開けると、そこから出てきたのは竜太朗ではなく、横に立っている愛留と寸分違わぬ女性だった。
「まあ、な、何?何であたしがそこにいるの?」
「おもしろいでしょう。あの厳つい人が、あなたみたいに若くて可愛らしい女の子になってしまうなんてね」
「だって、あの中にはさっき竜ちゃんが・・・あっ、でも今竜ちゃんは目の前にいて・・・でも、確かにさっき確かにあたしが袋に入れたし・・・」
「いいんだよ、そんな細かいことは考えなくても」
「でも、何であたしがそこに?」
「いいんだって。とにかく、あんたには、この後打ち合わせの通り、一週間の間ヨーロッパへ行ってもらおうか。さあ、これがチケットだ。今晩の新幹線のチケットも入っているからすぐに行くんだ」
「え?今からいくの?」
「さあ、タクシーが待っているぞ。早く行くんだ」
「でも・・・」
「行くんだ!」
「・・・・」
愛留は少し怯えた表情で、急いで着替え、持ってきた荷物を再び持って出て行った。
「これでいいわ。じゃあ、次はあなたの番ね。思い切り『楽しませて』あげるわね」
そう言うと、持ってきたバッグから可愛らしいベビードールとフリルの沢山ついたスキャンティを取り出し、今は愛留の姿へと変わった竜太郎へと着せていったのだった。
「まあ、可愛い。ふふふ。これでいいわ。明日の夜迄にはあいつらもここへ来るでしょうから、あたしはその前に頂いておこうかしらね」
「う、う〜ん・・・」
翌朝、竜太朗は目を覚まし、いつものようにトイレへと向かった。昨夜は頑張りすぎたためか、いつの間にか眠ってしまい、かなり睡眠を取ったはずなのに、今朝は妙に眠く、頭も体もボーッとしていた。
「ふあ〜あ・・・」
普段の寝起きは良い方で、少なくとも徹夜や深酒でもしない限り頭はスッキリとしているはずなのに、今朝はやけに目蓋が重いし、体が妙に重く、歩いても重心が取りに難くふらふらしてしまって・・・何か奇妙な違和感があった。
トイレへと入り、パジャマのズボンを降ろそうと上着をめくり、指を入れようとするが、いつもの位置にゴムがない。
「うん?何だ?」
少し腕を下げたら直接パンツのゴムに指が当たったが、その感触がやけにビラビラしていて・・・何かが違う。
「・・・?」
頭を捻りながらも構わず引き下ろしたが、何かが違う。パンツを下ろしたはずなのにクルクルと巻いてしまって腿に張り付いてしまっている。
そして、いざ小便をしようとペニスに手を伸ばすが、あるはずの位置に手を持っていっても肝心のペニスが見つからない。
「あれ???」
尿意が迫る中、ようやく目を開け、股間を覗き込むが・・・
「何だこりゃあ??」
目に入ってきたのは、股間やペニスではなく、大きくせり出した真っ赤なシルク地のスケスケの布と、その下に透けて見えているバストだった。
「おわわっ?」
思わず手を伸ばし掴んでみると、手の平からは、なじみのある温かく柔らかく感触が伝わってきたが、それは自分の胸の感触ではなく、女を抱いたときの感触であったはずだ。
更に、掴んだ胸からは、今までに体験したことのない、少し痛いような、二の腕の脂肪を掴まれた様な、あり得ない不思議な感触が伝わってきた。
「こ、これは??もしかしてオッパイか?まさかな。男の俺の胸にこんなモノがある訳ない・・・よな・・・」
改めて、両手を胸にもっていき、下から手を当ててゆっくりと揉んでみた。
「あああ・・・」
何ともいえない、始めに感じた肉を摘むような感じではなく、体が妙にリラックスして暖かくなるような不思議な感覚が広がった。
次に乳首へと手は移り、いつも女へするように、乳首を摘み、キュッと抓ってみた。
「痛っ!」
予想外の突然の痛みに目が完全に覚めた。
「あっ、俺は何をやっているんだ。でも、これは・・・一体どうしたっていうんだ。何で、男の俺の胸にオッパイがついているんだ?それに、このスケスケの服は一体・・・?」
更に悩む間をぬって強い尿意が込み上げてきた。
「おおっと、やばいやばい」
再び、視覚で確認できない中で、股間に手を持っていき、ペニスを掴もうとするが、やはり虚しく空振りし空を掴んでしまう。
「ま、まさかここも・・・」
「うわあっ、やっぱり!俺のモノはどこに行ったんだ。俺のチンチンはどこに!」
体を大きく折り曲げ、混乱しながら大の字に股を広げて立ち、股間へ何度も手を這わせるが、その手は何に当たることもなく、股と真っ赤なショーツで作られた三角地帯を前後していた。
「な、ない!俺の大事なチンチンがない!」
何度も何度も股間を探すが、何度探しても結果は変わることはなかった。
そして、あろうことか、何度も何度も触るうちに、微妙な刺激にせいで、できたばかりのヴァギナから、少しずつ汁が染み出し股間を濡らし始めていた。
「うっ!」
そして、股間を触っている時に、偶然に指が割れ目へと入り、その頂部にある突起を擦ってしまった。
「おわっ!」
突然、全身を痺れが突き抜け、体が一瞬硬直した。クリトリスからの快感が全身を貫いたのだった。
また、運の悪いことに、高まっていた尿意が刺激され、ついに小便が漏れだしてしまった。
「あわあわあわ、ど、どうすればいいんだ・・。」
冷静に考えれば、女のように便器に座り小便をすれば済むだけなのだが、パニックに陥っている竜太朗にはそんなことさえも頭には浮かばなかった。
「あああ・・・と、止まらない・・・」
男の時と同じように、摘んで止めようとするが、ヴァギナしかない今の竜太朗にはできなかったし、頭の中で力を入れ、弁を閉じようとするが、これも女の体となった今では不可能なことであった。
どれも無理とあって今度は直接ヴァギナに蓋をするように手を当てるが、当てている手の隙間からジョロジョロと小便は漏れ、太股を伝わって床に大きな水たまりを作っていった。
(4)二人の竜太朗
「何をやっているんだ!」
突然トイレの扉が開かれた。
「あれ?俺がいる?」
「愛留、何をやっているんだ。坐れ!」
「えっ?愛留?」
「坐れと言っているだろう!」
そういうと、竜太朗の姿をした男は愛留の姿をした竜太朗の肩に手を当て、強引に方向を変えて便器へと座らせた。
そのお陰で小便は便器へと出されたのだが、当の竜太朗には訳がわからない。
「何で俺がそこにいるんだ?何で俺は・・・」
「全く。寝ぼけるのもいい加減にしろ。小学生だって小便くらい自分でやるぞ」
「お前は誰だ?何で俺の姿をしているんだ?」
「うん?まだ寝ぼけているのか?俺は池沢竜太朗。お前のご主人様だろうが」
「ご主人様?」
「さあ、後始末をして、シャワーでも浴びてこい」
「・・・・・」
竜太朗には訳がわからなかった。自分が竜太朗のハズなのに、なぜか女の体で愛留と呼ばれ、目の前ではもう一人の俺、香田竜太朗が歩いている・・・
どう見てもあれは俺だ・・・。そして、俺は男でさえなく、おそらくこの顔は愛留のものなのだろう。なぜ・・・一体、どうして・・・・
トイレの床をトイレットペーパーで何度も拭き、濡れたショーツを絞ってから風呂へと向かった。
何度考えてもわからないが、歩きながら揺れているこの胸の大きな膨らみや重さも、決して男のものではないし、どこを触ってもプニプニした柔らかいこの体は、若い頃から修羅場をくぐり抜けてきた自分のものであるはずがなかった。
そうだ。俺は今女なのだ。愛留なのだ。
脱衣所で湿ったベビードールを脱ぎ、風呂場へと入った。ベビードールを脱ぐ時に、大きな胸に引っかかってしまった。女とは不便なモノだ。
入ってドキッとしたのは、今の自分の姿だった。さっき見た構図とは異なり、鏡に映っていたのは、年甲斐もなく惚れてしまった愛留の姿だった。幼顔にサラサラの髪。形良く大きく膨らんだ胸。細くくびれるウエストに可愛らしい臍。むっちりした大きめの尻とふっくらした腿の付け根にある淡い陰り。スラッと伸びた手足。その全てが今目の前にある。
「愛留・・・」
しかし、その名を呼ぶのは竜太郎の声ではなく、それもまた愛留のモノだった。
スポンジにボディシャンプーを付けて洗い始める。愛留の好きだったローズフレグランスのものだ。
腕を洗うだけで、女になったことを実感してしまう。力を入れて洗っているつもりはないのに、やけに肌に当たるスポンジが痛い気がする。
「うわっ!」
スポンジが乳首を擦った時思わず声が漏れ、胸を守るように身体を丸めてしまった。
「な、何だこれは・・・か、身体に電気が走ったぞ」
乳首が勃起していたこともあるだろうが、何の気なしに胸を洗ったら、乳首を洗った途端に、四肢をむず痒いような痺れにも似たものが走ったのだった。
「女っていうのは何て身体をしているんだ」
今の反省から、今度はゆっくりと優しく洗い始めた。胸や内股などの敏感そうな所は特にそうっと丁寧に洗った。
中でも股間の茂み部を洗う時には、スポンジをやめて手で優しく洗った。
「あうっ!」
それでもクリトリスを洗う時、さっきの乳首を洗った時と似たような、もう少し痛みにも似た強い刺激が脳天へと走った。
その途端、静まっていた乳首が大きくせり出してきたのがわかった。
「な、何て敏感なんだ。今まで強く触りすぎていたかったのかな?」
少し反省が出て、ではどの位なら気持ちいいのかを確かめてみたい欲求が出てきたが、そんな場合ではないということからシャワーで流すだけにした。
しかし、ふと顔を上げて鏡を見た時、そこに写るピンクに上気した愛留の顔を見てしまい、男である心も火がついてしまった。
「あっ・・・」
オッパイに手を当て、ゆっくりと揉み出すと、途端に全身に柔らかで穏やかな快感が広がった。
「そうか・・・女の胸っていうのは、やっぱり性器なんだな・・・ハア、ハア、ハア・・・」
揉めば揉むほど気持ちが良くなっていく。
そして、手が乳首に伸びると、立っていることさえ出来なくなり、浴槽に寄りかかるようにして座り込んでしまった。
「ハア、ハア・・・き、気持ちいい・・・ここはどんななんだろう・・・」
遂に白く小さな手が股間へと伸ばされた。だが、男だった時の癖からか、すぐにヴァギナやクリトリスに伸びることはなく、ボディシャンプーのついたままの太股やその内側を、指先を使って触るか触らないかの微妙なタッチで愛撫したのだった。
「あっくっ・・・」
声が出てしまうのを必死に堪える。しかし、両方の太股はその手を挟み込み、その上では刺激を求めて、ヴァギナから透明な液がタラタラと滲み出していた。
「ああ〜〜ん!」
身体の求めるままに、快感の中枢部へと手を伸ばし、その先端を撫でてみると、さっき摘んだ時に数倍する快感が突き抜けた。
「あんっ、もっと・・・もっと・・・」
声を噛み殺す事も忘れ、ただひたすらその快感に身を任せた。
そして遂にその時がきた。
「ああ〜〜〜〜・・・・」
竜太郎の中で何かが弾け、頭の中も目の前も真っ白になりそのまま気を失ってしまった。
(5)愛留と翔子
「おい、何とかならねえのか。このままじゃあ、あの野郎の一人勝ちでおわっちまうぞ」
「へえ・・・でも、あいつらの強さといったら半端じゃあねえっすよ。銃で撃たれているってえのに、平気な顔で突っ込んでくるんですから」
「馬鹿野郎!だったら手前らもそうすりゃあいいじゃねえか」
「そ、そんな無茶な」
「何か良い案はねえのか。まったく使えねえ奴らだな。」
「でも兄貴。親父が手打ちを決めたからには、諦めた方がいいんじゃないですか」
「馬鹿野郎。親父なんて関係ねえ。これは俺のけじめだ。何でもいいから一泡ふかせてやるんだ」
ビルの一室で、男が四人。顔を付き合わせて話し込んでいた。
「ヤツ本人が駄目なら、その女房でもいい。確かヤツの女房はまだ若かったよな」
「へい。ヤツよりも結構下で・・・確か二九か三十だと思います」
「ほう、丁度いいじゃねえか」
「ですが、あの女房は先代に鍛えられていて、若い頃は鬼夜叉と呼ばれていたくらいのじゃじゃ馬だそうです。何でも、自分に勝った男しか旦那にしないといっていた所にヤツが挑戦しまして・・・」
「なら、ヤツより弱いってことじゃねえか」
「いえ、それが六度挑戦しても勝てず、七度目に負けた時にその一途な姿に惚れたとかで結婚したとか・・・」
「何だって?じゃあ、まだ無敗か。なら子どもはどうだ?」
「ガードがきつすぎます。あの女房プラス組の活きのいい若いのがついていますから・・・」
「何かいい方法はないのか・・・」
その時、電話が鳴った。
「もしもし。あ〜ん?誰だ手前は?何だって・・?もう少し詳しく話してみろ・・・・」
電話での会話が進むたびに男の顔がニヤニヤとしていったのだった。
「兄貴何の電話ですか?」
「へへへ、捨てる神あれば拾う神有りってな。なかなかいい情報が入ったぜ。今のはどうやら、昔あいつに捨てられた女だってヤツからなんだが・・・」
「そんないい話があるんですか?」
「そうですよ。もしかしたらヤツの罠かもしれませんよ」
「罠だって?上等よ。これでヤツの方から手打ちを破ったなら、今度こそ全面戦争よ。それも大儀はこっちにあるな。それに、もし本当なら美味い思いも出来るぜ。おい、支度しろ。出発だ」
「へいっ!」
四人は急いで車に乗り、電話でいわれた場所へと急いだのだった。
一方、軽井沢の別荘では、愛留となった竜太郎は気を失ったままベッドに横たえられ、その枕元には忠太郎の姿をした男が立っていた。
「まったく、男っていうのはどうしてこう助平なのかしらねえ」
その厳つい姿からは想像も出来ない言葉だった。
「まあ、女の方が男よりも何十倍も快感があるっていうし、この年で突然女に、それも開発された女の身体になったんだから仕方ないか」
そう言って、愛留の身体を上から下へ、検査でもするような鋭い目で見ていく。
「それにしてもいい女ね」
話す言葉に心なしか険がある。
「若いだけならまだしも、顔も身体も正にあの人好みじゃない。ここはどうなのかしら?」
そういうと、閉じられた足を広げ、その中心にあるヴァギナへと、唾液で濡らした指を無造作にいれていく。
「うっ、う〜ん・・・」
竜太郎の愛留の身体がすぐに反応する。
「あら、結構締まりがいいじゃない。それにヒダも多いし反応も強いみたいね。すぐに濡れてきてるわ」
股間に目をやると、乾いたかと思っていたヴァギナから、また愛液が出てきているようだった。
「あたしと笑美ってものがありながら・・・一週間も旅行に行ってこいなんておかしいと思ったのよね。それにしても、見れば見るほどいい女だけによけい頭に来るわね」
何と、竜太郎の姿をして乗り込んできたのは妻の翔子だった。
翔子は、竜太郎を愛留にしたのと同じ方法で、竜太郎の姿となったのであった。
アンティークショップで買った包みに中の『皮』を使って、泥酔して帰ってきた竜太郎から『型』を取り、それを使って変身したのだった。
「まあいいわ。ここもこんなになっていることだし、『女におチンチンを入れる』っていう、見果てぬ夢だったことを現実にさせてもらおうかしらね」
そう言うと、大きく膨らんだズボンの股間を愛おしそうに撫でるのだった。
「こんなことにでもならなかったら、絶対に夢だったことが現実となったんだから、少しは手加減してあげないと悪いかしらね。何人もの女を抱いたし・・・あれはあれで良かったけれど、この人があたしの中で満足そうに果てる度に『一度は』って思ったものだったわ」
そう言うと、ズボンを脱ぎパンツも脱ぎ捨てた。すると、雄々しく勃起した、黒光りのする傘の大きい逸物が飛び出した。
「ああ・・・これが今から本当に女を犯すのね。感覚のないディルドゥではなく、あたしのおチンチンが女を!」
待ちきれなくなったのか、そう言うと自らペニスをしごき始めた。
「男って、女とは違ってこれだけで気持ち良くなれるのだからいいわよね。それにしても、気持ちいいわ・・・」
すると、突然しごく手を止めた。
「だめだめ。これじゃあ、今朝の二の舞だわ」
実は、今朝竜太郎に変身した翔子は、ペニスの誘惑に勝てず、オナニーをしてしまったのだった。
「さあ、あなた。覚悟してもらうわよ。女になった喜びと同時に、その屈辱をしっかり味わってもらうからね」
そういうと、手元のバッグの中から1本の空気銃型の注射器のようなものを取りだした。
「こんなモノを使うのは嫌だけれど、思い切りこの人に女を味わってもらうには丁度いいわね」
そして、愛留の腕にそれを当てると、そのまま引き金を引いた。すると、中に入っていた液体が、微粒子となり、愛留の腕へと吸収され消えていった。
「じゃあ、目覚めてもらおうかしら」
(6)初体験
「おい、起きろ。おい」
「う、う〜ん」
竜太郎は目を覚ました。
「まったく、シャワーにしては長いと思ったらあんな事をしているなんて。我慢できなかったのか?お前は本当にスキモノだなあ」
「えっ・・・」
つい少し前の記憶が蘇り、竜太郎は顔が真っ赤になってしまった。
「まあいい。そんなにしたいのならたっぷりと可愛がってやるからな」
「うわっ」
そう言うと、翔子はいきなり大きな胸を掴み揉み出した。
「や、やめろ。痛えじゃねえか」
『ビシッ!』
「あうっ!」
いきなり翔子の平手が飛ぶ。
「な、何をする!」
『ビシッ!』
「や、やめ」
『ビシッ!』
「た、頼むから・・・」
『ビシッ!』
竜太郎の身体から生み出される平手だ。その威力は愛留となっているから見ればプロレスラーに殴られるのに近かった。
「まだわからないのか?何を生意気な口をきくんだ。お前が口のきき方を直さない限り叩くからな。さあ、何か言ってみろ」
「やめ・・やめて下さい」
「そうだ。それでいい。さあ、足を開け」
「嫌っ」
「何?」
「い、いや・・・や、やめて下さい」
「何を言っている。殴られてうれしいんだろう。そんなに乳首をたてて。オマンコからも汁が漏れているぞ」
「えっ?」
そう言われてみると、確かに叩かれた瞬間はかなり痛かったのに、今では全身が少し熱くなり、決して嫌ではない感じがする。
それどころか、初めに強く掴まれた胸の先では、乳首が大きく勃起していた。
「見ろ、こんなになっているぞ」
「あんっ」
そう言って翔子が股間に手を当てて見せると、その指先は確かに透明の液で濡れていた。
「さあ、開け!」
その言葉に、言われるままに股を開いた。すると、冷たい空気が湿ったヴァギナに当たり、ヒンヤリとして気持ちいい。
「あっ!」
開いた途端に、太い指がヴァギナをこじ開けて入ってきた。まだ完全に受け入れる準備が出来ていないヴァギナは痛みを伝えたが、その痛みはいつの間にか快感へ変わり、荒く扱われれば扱われるほど、愛留の身体は喜びに包まれた。
「あ〜・・・もっと・・・」
「全く、(薬のせいとはいえ)淫乱なものだな。ならこれはどうだ?」
「痛っ!」
「本当か?更に乳首が大きくなったようだぞ。じゃあ、そろそろこれを入れてやろう」
そう言うと、翔子はオナニーの時よりも更に一回り大きくなったようなペニスを竜太郎の顔に突きつけた。
「さあ、舐めるんだ」
身体は女となっても、心は男である竜太郎にとっては、自分のペニスを含むなどということはあり得ないはずだった。
翔子の考えでは、拒んだところを再び叩き、力でねじ伏せて犯すつもりだったのだが、その予想はあっさりとはずされてしまった。
「はい・・・」
一瞬戸惑ったものの、竜太郎は、その愛留の小さな口を大きく広げ、愛おしそうにそのモノを舐め始めた。
「ほう、やけに素直だな」
「ファイ・・・」
「お、おう!それになかなか上手いじゃないか」
男になって間もない翔子にとっての初めてのフェラチオは、相手が女の身体となった自分の夫というあり得ない巡り合わせとなった。
一方、竜太郎から見ても、男の身体であった時にはあり得ない行為であったが、薬を打たれているせいもあるが、胸やヴァギナへの刺激を受けるうちに、ヴァギナへペニスを迎え入れたいという気持ちが大きくなり、快感で意識が朦朧となる中、本能として口に含むことを良しとしてしまったのだった。
『ピチャピチャ・・・ジュルジュル・・・』
いやらしい音が室内に満ちる
「む、むう・・・さ、流石だな。ツボを心得ているじゃないか・・・」
更に銜えるだけでなく、口を上下させるのに合わせて、根本に手を添えてそちらも扱いていく。男として初体験の翔子にとって、これは堪えた。
「お〜〜、き、気持ちいいな・・・こ、これは堪らない・・・」
そう言って、フェラチオのリズムに合わせて腰を大きく前後させる。
「お〜、お〜、お〜、おあ〜〜〜!ま、まてっ!」
急いで愛留の顔を引き離すが時既に遅かった。
「うわっ、おうっ!」
この年とは思えない精液が射精され、愛留の可愛らしい顔にかけられた。鼻から入ってくるこの青臭い臭いも、今の竜太郎好ましい香りであった。
うっとりとした顔で受け止め、近い部分を舌で舐め取り、その他の部分も残さないように大事に指でとってピチャピチャと舐めている。
一方の翔子は、その様子を少し驚いた表情で眺めていた。
また、この後ゆっくりと犯そうと思っていたのに、男の一気の気持ちよさに我慢できなかった自分を恥じながらも、その気持ちの良さに酔っていた。
この時、竜太郎の意識には、愛留の身体からもたられる快感により大きな変化が現れていた。
男とは違う柔らかくきれいな女の身体。それだけでも震い付きたくなるのに、オナニーでの喜びは意識を失うほど大きかった。
その後のプレイでは痛みさえも快感で、その快感も男の時のような一点集中で、一気に爆発して終わるモノではない。初めに感じていたものをベースとして、その上に次の快感が重なり、更にその上に次の快感が重なっていく。気が付けば意識は朦朧として、全身がセックスの塊で全身が性器だった。フェラチオも喜びだった。
もう完全に虜となっていた。今は竜太郎という名前は過去のものとなり、愛留が自分の名前であった。
「お、おい」
顔から精液を舐め取った愛留は、翔子が命令するまでもなく、勢いがなくなりダラリとなったペニスを両手で持ち上げ、口に含み、残った精液を舐め取ると共に、もう一度勃起させようとフェラチオを始めたのだった。
「う・・・うむ・・・」
その気持ちの良さに翔子は、再びからだが硬直し、愛留にされるがままとなった。
「(男ってかなり気持ちがいいものなのね。竜太郎がいつもフェラチオをさせるのがわかったわ)」
「もういい」
再び勃起すると、翔子は竜太郎を引き離した。このまま身を任せると、またフェラチオだけでいかされてしまうのが怖かったからだ。
「さあ、今度はこっちが楽しませてやろう」
そう言うと、愛留の身体を横たえ、その身体を愛撫し始めた。
「あっああん」
胸を揉む度に、舌で乳首を転がす度に愛留の口から声が漏れる。リミッターがはずれたのか、快感のままに声を出し身体をくねらせるようになっていた。
閉じられていたはずの股も、その口からダラダラと透明な液を流しながら、閉じたり開いたり、自ら擦り合わせて快感を得ようとしているようだった。
翔子からすれば、レズに奔っていた若い頃に見慣れた光景だったが、目の前にいる愛留の中身が自分の夫かと思うと少々複雑な気持ちだった。
「よし、じゃあそろそろ入れてやろう」
そう言うと、愛留の足をM字型に立たせ、その中心のヴァギナに向かってギンギンに勃起したペニスを挿入していった。
「うっ!」
同時に二人の口から声が漏れる。
翔子はヴァギナ内部の暖かさと、ヌメヌメとペニスに絡みついてくる気持ちの良さに。一方、竜太郎は指とは違う、元の自分の自慢だったペニスの太さと圧迫感に思わず声が出てしまった。
「あああ・・・」
翔子のペニスが進むのに合わせて、愛留の口から声が漏れていく。その目は閉じられ、全神経が股間へと集中されているようだ。
「ふう」
今度は翔子の口から声が漏れる。どうやら奥まで入ったようだ。しかし、まだペニスは入りきっていないように見える。その長さが愛留の膣の深さよりも数センチ長いからであった。
「よし、いくぞ」
そう言うと、腰を前後に動かし始める。
突く時には余っていたはずのペニスが全て飲み込まれ、その先端は子宮口に当たり内臓にまで衝撃を与えていた。
引く時は膣のヒダを大きく摩擦で引っ張りながら動くため、その分だけ子宮も膣も外へと引っぱられ、その強さに応じて信じられないほどの快感を産み、クリトリスから生み出される快感と合わさり、竜太郎の心を更に狂わせていった。
そして、ついにその時はやってきた。
翔子の息がどんどん荒くなり、打ち付ける腰のリズムがより強く、より深く入れようと乱れがちと
なる。
それを敏感に感じ取ったのか、竜太郎の方も動く腰のリズムが早くなり、その息は上がり、シーツを掴む手の力も強くなっていった。
「はあ、はあ、はあ。そ、そろそろ出そうだ」
「い、いいわ。イッて。『あたし』の中に出して」
「よし、じゃあいくぞ!」
更に二人の腰の動きが早くなった。
「あん、あん、あん」
「うっ!で、出る!」
「あ、あ、ああ〜〜〜・・・」
竜太郎となった翔子にとっても、愛留となった竜太郎にとっても、どちらにとっても初体験だった。
「うん?」
竜太郎が失神から意識を取り戻した時、自分の姿。中身が翔子である竜太郎の姿はなかった。
ベッドから降り、テーブルを見るとメモがおいてあった。
急用が出来たので先に東京へ戻る。服と電車賃を置いておいたから、それで自力で帰ってきなさい。 それから、携帯電話は持っていく。 |
と意味深な文章だった。
「自力で?当たり前じゃないか」
みると、たたまれた服と女物の財布が置いてある。
「あっ!」
服を見ようとするが、その時、股間から何かが流れ出してきた。翔子が愛留の中に放った精液が出てきたのだ。
「これは・・・そうだ。俺はオレに抱かれたんだったな・・・」
流れ出てきた精液を手に取り臭いをかぐと、意識を失う前に行っていた自分とのセックスが蘇ってきた。
はっきりとは思い出せないのだが、とにかく全身の隅々までが快感に痺れ、されるがままに体を動かし・・・そして自らペニスを銜え・・・
「何であんな事をしてしまったんだろう・・・」
今となってはわからないが、狂っていたわけでもないのに、男のペニスを銜え、喜んで吸っていたのは事実だった。
シャワーを浴び、特に入念に股間の精液を洗い出す。指を入れれば入れるほど流れ出てくるのだった。
「しかし・・・気持ち良かったな・・・」
改めて鏡に映る自分の姿を見ると、先ほどの快感の記憶と合わさって、つくづく女に、愛留になってしまったのだということが認識された。
(7)招かれた災難
竜太郎がシャワーを浴びながら女になった事を実感している丁度その時、怪しい一団が庭で息を潜めていたのだったそれは、ビルの一室で相談をしていた四人組のものだった。
時間は遡る。
「兄貴。ここです」
「おう、やっと着いたか。ほう、なかなか豪勢な別荘じゃねえか」
「兄貴、本当に護衛も連れずにここにきているんですか?」
「そうらしい。ここに来ることは、組の中でも一部の者にしか知らせていないそうだ。後は、愛人が一人いるらしい。まあ、昼間っからズポズポやりまくってたんじゃねえか」
「じゃあ、乗り込んで、ヤツのケツの穴にこいつをぶち込んでやりましょう」
そう言う手を見ると、サイレンサー付の銃が握られていた。
「それはいいや。じゃあ、おれはこいつであいつのイチモツを切り取ってやります」
手を見ると、こちらは短刀が握られていた。
この4人組は、匿名を名乗った翔子からの電話でここへ着たのだった。
「よし、行くぞ!」
車を路肩に停めると、上手く肩車をして塀を乗り越えて侵入したのだった。
「兄貴、どこから入りますか」
「そうだな・・・どこに人がいるか分かればいいんだが・・・とにかく、一周廻ってみよう。カメラがあるかもしれないから、木から木へ素早く動け。建物には、特に出入り口や窓には近づくなよ」
「へい」
それから、二人一組となってチェックが始まった。すると、少なくともカメラが設置されていないことと、気配があるのは二階だけで、一階にはないことがわかった。
「よし、じゃあ暗くなったら、一階のリビングの窓から入るぞ」
暗くなるのを待って、リビングの林側の窓に近づくと、持ってきた吸盤のようなものを貼り付け、その周りに白っぽい液体を塗りつけた。
そして、バッグから取りだしたバーナーに点火し、白っぽい液体の部分を焼いていく。全体を焼いた後、吸盤を持ちながら軽く叩くと、そのままスポンと窓が円形にとれてしまった。
取れた窓をどかし、手を入れて鍵を開けると、窓は簡単に開いてしまった。
「入るぞ」
四人は静かに侵入した。
外から感じたように、一階には誰もいなかった。耳を済ませると、二階から扉を閉めるような音が聞こえてきた。
「:::」
無言で目配せし、二階へと上がっていく。すると、奥の部屋から人が動く気配がしたが、他の部屋からは何の音も聞こえない。
リーダー格の男は、弟分の三人をドアの左右に着かせ、一人は開ける役に、後の二人は銃を構えて飛び込む役に当てた。
「:::」
それからしばらく中を伺うが、変化はないようなので、首を縦に動かし一気に突入した。
その時、竜太郎は体を拭き、テーブルの上に置いてあった服を着ているところだった。
「何だこれは・・・」
そこに置いてあったのは、二十歳を過ぎた女性が着るには、かなり短すぎるスカートとキャミソールだった。
また、一緒に置いてある下着はというと、真っ赤なフリルだらけのブラジャーと、Tバックショーツだった。おまけに、そのブラジャーの乳首の部分は丸く穴が空き、同じようにショーツの股間の部分にもぱっくりと穴が空いていた。
「こ、これを俺が着るのか・・・なんて趣味なんだ」
身につけてみるとサイズは合っているようで、歩くたびに大きく揺れて仕方のなかった胸が、きっちりと収められ、動かないだけでなく、ブラジャーに支えられたお陰で前にせり出すようになり、魅力的な大きな谷間を作り出していた。
尻はといえば、Tバックなので形が変わるということはなかったが、その分、ミニスカートの中で足が動くたびに、その動きに合わせて凹凸が変わり、歩く際には左右に振られるのでかなりいやらしい印象を与えた。
臍までしかないキャミソールと膝上二十センチメートルのミニスカートも、身体を隠すという役割はあるが、かえってスタイルの良さを浮き立たせることとなり、男の視線を集めるのは必至と思われた。
「これは、見えちゃうんじゃないか・・・」
鏡の前で、いろいろなポーズを取ってみると、やはり大きく動いたり、特に屈んだりするとショーツが角度によってははっきりと見えてしまうことがわかった。
更に悪いことに、動く時にキャミソールが擦れて乳首が立ってしまい、その勃起した形がはっきりとわかってしまうのと、足を大きく開くと、股間の穴からヴァギナや茂みが出てしまい見えてしまった。
「まずいよ、これは・・・」
いろいろと格好を変えて試しているその時、突然扉が開かれた。
「動くな」
「えっ?」
竜太郎が鏡の前で、しゃがんだまま膝頭を広げて見え具合を確認している所へ、銃を構えた男達が突然入ってきた。
「あっ、お前は」
「黙れ!おい、確かめろ」
言われた弟分たちは、寝室から続くクローゼットや風呂を確認しに行く。
「兄貴、誰もいません」
「おい、香田の野郎はどこへ行った」
男の言う香田とは自分のことだが、探しているのが今の愛留の姿ではないことは明らかだった。
「先に帰った」
「帰っただと?」
「それ」
指さす先にあったのは、先ほど置かれていたメモだった。
「どうやら本当らしいな。他には誰かいないのか?」
「いない。俺だけだ」
「そうか・・・俺?」
「あたしだけ・・よ」
「兄貴、どうしますか?」
「う〜む・・・」
しばらく考えた後に、
「よし、こうなったら、香田の野郎を襲うのは無理だから、代わりにこの女をやっちまおう」
「本当ですか!」
「この女をですか!」
男達の視線が一斉に竜太郎、いや、愛留の身体に注がれる。大きく突き出た胸とボリューム溢れる尻、そこから伸びる肉感的でありながらきれいな直線を描く真っ白な足・・・男達を刺激し勃起させるには十分すぎるものだった。
だが、その中身は竜太郎だ。今は女の身体とはいえ、武闘派にも数えられるその気性は、わかるだけに、その値踏みするような視線に耐えられなかった。
一瞬のことだった。
先頭にいる男を突き飛ばし、その横にいた男の脇をすり抜け、一気に扉へと走った。
「(やった、逃げられる!)」
と、思った瞬間、突然首がガクンと後ろに惹かれ、仰け反って背中から倒れ込んでしまった。
最後の兄貴分の男の横を抜けようとした時に、捕まえようと延ばされた手が、偶然愛留のロングヘアに引っかかり掴んだためだった。
「このアマ。舐めたマネをしてくれるじゃねえか。おい、このアマをベッドに縛り付けろ」
「どけ、離せ!」
取り押さえた男達を振りほどこうとするが、愛留の小さな身体と力では、男をどかすことも出来なければ、押さえつけられた腕を自由にすることも出来なかった。
何とか振りほどこうと藻掻くのだが、空しい努力となり、そのままベッドの上に上げられ、両手両足を大の字にして、ロープで手足を縛り付けられてしまった。
「解け!この紐を解け!」
縛られた後でも竜太郎は藻掻いていた。
「ふう、随分威勢のいいねえちゃんだな。まるで、香田の女版だな」
「本当ですね。女香田ですね」
「えっ」
竜太郎の動きが止まる。冗談で言った言葉が実は真実だったため、ばれたのかと思ってしまったのだ。
「じゃあ、早速頂くか。おい、お前らは何食い物を用意してこい」
そういうと兄貴分の男だけを残し、三人は一階へと消えていった。
(8)屈辱
「へっへっへっへっ、じゃあ頂くとするか」
男はベッドに近づくと腰を掛け、太股へと手を伸ばし、そのスベスベとした感触を楽しみだした。
「真っ白できれいな足だなあ。やたら細い女がいるが、どうもああいうのは好かねえんだ。やっぱり女の足ってえのは、こんな風に柔らかくてスベスベじゃねえとなあ」
初めは膝下を触っていたが、だんだんとその位置が上がり、太股の外側にいき、ついには内股から股間へと移っていった。
「や、やめろ・・・」
竜太郎は感じないように、股間を触られないように、必至に股を閉じようと力を入れていた。
「可愛い顔して、男みてえなしゃべりかただな。やめろじゃねえだろ。お願いする時はやめてくださいだろ。それに、お願いしますも忘れてねえか?」
「何だと。俺様を誰だと・・・」
と、言いかけた時、今の自分の姿と、もう一人の竜太郎に犯されて感じていた自分のことが思い出されてしまった。
「何だあ?俺様だと?へっへっへっ。このお嬢ちゃん、『俺様は誰だ』だと?知ってるよ。お前は香田の野郎に抱かれてる売女だろ?それとも、香田の豚野郎に抱かれてるんだから、淫売の雌豚っていうのかな?あっはっはっ」
「何だと、ふざけるなこの包茎野郎」
竜太郎がそう言った瞬間、男が凍り付いた。実は兄貴分の男は包茎だということを悩んでいて、その事をいわれると見境がなくなるのだった。
「誰が包茎だと〜!この女。優しくしてれば付け上がりやがって」
そういうと、縛られて抵抗できない竜太郎を蹴り倒し、何度も蹴りつけた後、馬乗りになって、何度も何度も頬を張り飛ばしたのだった。
「おい、もう一度だけ言うぞ。いいか触って下さいだ。いいか、お願いします。触ってくださいだぞ」
言われたままに話すのは屈辱的で嫌だったが、この状況では仕方なかった。
「お、お願いします。触って下さい」
「ひっひっひっ、言えるじゃねえか。な、女は素直が一番だぞ。良く覚えておくんだな。じゃあ、遠慮なく触らせてもらうぜ。お嬢ちゃんに恨みはねえが、香田の野郎がいない以上は、お前さんに代わりになってもらうしかないからな。たっぷりとその身体で楽しませてもらうぜ」
「畜生・・・」
「おお、これはこれは!、何てパンツを履いているんだ。これは香田の趣味か?それともお嬢ちゃんの趣味かい?」
股間に目をやると、Tバックのそこは、まだ脱がせてもいないのにヘアが見えていた。
「み、見るな!」
「ほう、ばっちり見えているぞ」
そう言って、下に廻り込み中を覗き込む。
「これは便利だな。脱がせなくても触れるのか?」
そう言って、スカートの中に指を入れてきた。
「や、やめろ」
股を閉じようとするが、ロープのせいでできない。腰を振り入れにくくしようとするが、足が固定されている為に思うほどは動かず、易々とその侵入を許してしまった。
「うっ!」
一本ではなく、二本の指が入ってきた。
「ほう、口では嫌がっているが、ここはそうでもないようだぞ」
そう言って竜太郎の前に出された指は濡れ、少し湯気が立っているようだった。
「香田の趣味かと思ったが、これを見ると、案外お嬢ちゃんの趣味のようだな」
「そ、そんな・・・」
「ほう、ここも凄いな」
「うわっ」
突然キャミソールが引き上げられ、先程気にしていたままの胸が露わになってしまった。
「まだ何もしていないのにもう起っているじゃないか。お嬢ちゃん好き者だね」
「・・・・」
「じゃあ、期待に応えるとするか」
そう言うと、上着を脱ぎ、ズボンとパンツも脱ぎ捨てた。中から現れたのは竜太郎とは異なる、でっぷりとした太鼓腹と包茎気味のペニスだった。
「や、やめろ。やめてくれ・・いや、やめて下さい」
「わかったわかった」
そう言いながら、ブラジャーのホックをはずし、首の下へとどかしてしまった。
「うっ!」
男の手がオッパイへと回され、ゆっくりと円を描くように揉まれはじめた。
嫌だと思っているのに身体から来る情報は逆で、どんどん気持ちが良くなってくる。
それに伴って乳首もどんどん固くなり、大きく勃起してきた。
すると、今度は男の口が近づき、遂にその口が付けられ、嫌らしく吸ったり舐め回したり仕始めた。
「い、嫌・・・」
言葉では嫌がるが、どんどん快感が広がり竜太郎は戸惑ってしまう。頭の中の考えと身体の反応が全く異なるからだ。
現に乳首だけでなく、ヴァギナからも愛液が漏れ始め、意志とは関係なく、勝手に男のペニスを受け入れる準備を始めていた。
「ふふふ、そろそろいいようだな」
「嫌だ、やめろ!やめてくれ」
「じゃあ、いくそ」
「嫌だ〜〜」
髪を振り乱すが、逆にその行為が男の征服欲に火を付けることを竜太郎は知っているはずだった。
しかし、いざ自分が犯される立場となった時に取れる行動は、結局今までに自分が犯してきた女達と同じものだった。
「うっ!」
「ほう、なかなかのものだな。名器といってもいいくらいだ。俺のチンチンにどんどんヒダが絡みついてくるぞ」
そう言って、腰を動かし始める。
途端に、股間から体中をとろけさせるような快感が広がっていく。
「嫌・・・嫌・・・」
だんだん竜太郎の声は小さくなり、遂には悦びの声へと変わっていった。
『パンパンパン』
「あん、あん、あん・・・いい・・・」
乾いた音と甘い声が響く。扉の外では、弟分達が、股間をギンギンに勃起させて、扉に耳をつけて中の様子を聞いていた。
「兄貴早く終らねえかなあ」
「まったくだ。もう我慢できねえよ」
「しっ、聞こえねえじゃねえか」
そして遂に竜太郎がエクスタシーを迎えようとしていた。
「あっ、ああ〜〜〜」
「い、いくぞ〜!」
「あ〜〜〜〜・・・・・」
「ふう、こりゃあ絶品だな。香田の野郎にはもったいねえな。やった後はさらって売っちまおう。これだけの女だ。かなり高く売れるぜ。それに、その事を知った時のあいつの顔を思うと・・・ひっひっひっ、こりゃあ楽しくなるな。」
男は身体を起こし、服を着始める。
「おい、手前ら、どうせそこにいるんだろう。入ってこい」
「へい」
「いいか、犯ってもいいが、決して傷つけるなよ。ロープを解いてやれ。大事な売り物になる女だ。大切に扱うんだぞ」
「へい」
そういうと、男は一階へと降りていった。
部屋に残された男達は、犯す順番を決め、ロープを解き、最初の男を残して階下へと消えた。
竜太郎は目を覚まし、その様子を見ていた。そして、二人の足音が遠のき、階段を下りていったのを確認して、突然起きあがり、残った男の股間を思い切り蹴り上げた。
「うぐっ!」
男は声も出せず、その場でうずくまってしまった。そして、その背中に廻り、一気に首を絞め、落としてしまった。
「ふう、女っていうのは、本当に不便だな。あれだけ力を入れてもなかなか落とせないんだからな」
そう呟くと、脱がされたブラジャーをつけ直したが、ショーツは破れていて履くことが出来なかった。また、どこに行ったのか、財布もなくなっていたが、取りあえず逃げなければいけないので、扉を開け、リビングに聞こえないように玄関へと行き、そっと扉を開けて逃走した。
その後、二人目の弟分が二階へ行き、股間を押さえたまま失神している男がみつかるまでばれることはなかった。
(9)翔子の策略
さて、話は出発の朝に戻る。
まだ、皆が寝ている早朝に、高次が香田の屋敷の奥にある翔子の私室に来ていた。翌朝5時に、誰にも見つからないように来るよう指示があったのだ。
「時間通りだね」
「へい。それで何のご用でしょうか?」
「実は、あんたに折り入って頼みたいことがあるんだよ。きいてくれるかい?」
「へい。そりゃあもう、姐さんの頼みでしたら何でもお聞きしますが・・・また社長のことですか?」
「違うよ。あんまり聞いてあの人がお前が情報元だって気づいたら可愛そうだからね。頼みっていうのはね・・・あんたにこれを着て欲しいんだ」
そういって手渡されたのは、何やうす茶色っぽい半透明の布のようだった。
「何です、これ?」
「いいから。さあ、服を脱いで素っ裸になるんだよ」
「ええっ!ま、まさか朝からSMか何かですか?姐さんの頼みでも・・・それはちょっと・・・」
「何馬鹿なこと言っているんだい。ただ、裸になって服を着るようにそれを着てくれればいいのさ。まず両足を入れてから腰まで引き上げて、その後両手を入れ、最後に頭だからね」
「これをですか・・・」
そういって広げてみると、言われたように手や足の入る部分があるようだが、とても細くて頼りない。
「大丈夫だって。それは良く伸びるからちょっとやそっとじゃ破れないよ。時間が経っちゃうだろ。早くおし!」
「へ、へいっ」
高次は、翔子に背を向けて着ているものを全て脱いだ。チラッと後ろを向くと、興味深そうに翔子が見ている。
「姐さん。お願いですから、終わるまでそっちを向いていて頂けませんか?」
「何を恥ずかしがっているんだい。早くしないとケツをひっぱたくよ」
「もう・・・わかりましたよ・・・」
諦めて両足を順番に入れてみる。言われたように、かなりきついものの、良く伸びてピッタリと包み込んでいく。履いた部分は、布の下にすね毛が透けて何ともみっともない。
続いて腰を入れるが、肝心のペニスを入れる部分がない。
「あのう・・・姐さん。つかぬ事を伺いますが・・・」
「何だい?」
「俺のモノを入れる部分がないんですが、上を向けて入れましょうか?それとも片方の足と一緒の方へ入れておきましょうか」
「ば、ばか。どっちだっていいよ。そんなことは自分で考えな。あたしに聞いたって分かる訳ないだろ」
「へ、へい」
結局左足の方へ入れ、全体を上へと引き上げ、両手と胴体も全て入れた。
そして、最後に残った頭を入れ、空いていた穴に目や口を合わせると、全身をタイツに包まれたような、何とも奇妙で滑稽な姿となった。
「姐さん、これでいいんでしょうか」
「はっはっはっ、結構おもしろい姿だねえ。まるで『もじお』君だよ。さあ、そしたらソファーに俯せに寝るんだよ」
へんてこな姿で高次が横になると、そのお腹から首に空いた穴の部分に、同じ素材で出来たもうファスナーをあて、少し待ってから引き上げた。
すると、くっついた後、だんだんと薄くなりみえなくなっていく。
「姐さん。この後は一体何をすればいいんで・・・」
「そのまま、一〇分位じっとしていな」
「へ、へい」
お腹の穴を塞いで五分位経つと、横になっている高次の姿に変化が起き、一〇分もするとその変化は止まった。
始めの変化は足からだった。透けて見えていたはずのすね毛が段々薄くなり、見えなくなった後には、白くすっきりとしたすねに変わっていた。
水虫ぎみの大きな足も、指も大きさも小さなものに変わっていた。太股にいたっては、白くすべすべで、ムチムチと脂肪の付いたものへと変わっていた。それはどう見ても女の足だった。
股間の変化はもっとも大きなものだった。
左足の横へ窮屈にしまわれていたモノが段々小さくなり、股間がすべすべになったかと思うと、その中心部分に尻から窪みが伸びていき、きれいにカットされた茂みに覆われた底には、少し潤みをもったヴァギナができあがっていた。
その先端には、ペニスとは違う小さな突起、クリトリスもしっかりと出来ていた。
「ふうん。こうやって変身していくんだ」
感心したように呟いた。見ているその前で、高次のシミの出来た尻が、結構ふくよかな、丸まるとした尻に変わっている所だった。触るとプルルンと震えるような魅力的な尻だった。
「えっ、何です?」
そう言って顔を上げた高次の身体の下には、男にはあるはずのない膨らみが出来ている最中だった。
白くふっくらとしてきたかと思うと、二つの膨らみが段々と大きくなり、肘で身体を支えた高次のその下では、その成長をはっきりと見て取ることができた。平らだった胸がムクムクと大きくなり、AカップからBカップ・Cカップへと続き、その先端がソファーに着く頃にはFカップほどの大きさとなっていた。
「あ。あれ?」
その不思議な感触から身体を見回し、体を起こした高次は、自分の身体に起きた変化をはっきりと目で確認した。
下半身、胸だけでなく、目の前に出された腕も信じられないほど細っそりとし、見つめる顔の横からは、サラサラとした髪が大きな胸まで伸びていた。
「姐さん。こ、これは・・・あ、あれ?声がおかしいぞ?」
いつの間にか、女としてはちょっと低めの、艶のある色っぽい声となっていた。
「いいんだよ、それで。ほら、見てご覧」
「うわっ!あれっ?へっ??」
そう言って出された鏡に映っていたのは、目の前にいるはずの翔子だったのである。
「こ、これは??」
思わず俯くと、その先にはFカップの胸が、更に先にはうっすらと湿った股間が・・・
「馬鹿。見るんじゃないよ。触ったら殺からね!ほら、早くこれを着な」
新しい身体に付いた魅力的な胸を触ろうとすると、翔子はその手を引き離しネグリジェを手渡した。
「姐さん、これは・・・」
それは、つい先ほどまで翔子が着ていたものだった。手渡された時、その温もりがまだ残されていた。
「こ、これを着るんですか?」
「素っ裸でいる訳にはいかないだろう。それから、ほら。これも履くんだよ」
「ええ、これですか!」
それは、脇が紐状になった真っ赤なTバックショーツ・・・つまり、殆ど紐だけのショーツだった。
「早くおし」
「へ、へい」
奇妙な光景だった。ブラウスとパンツ姿に着替え、簡単な化粧を施した翔子の前には、ソファーに座り、右手にネグリジェ、左手にTバックショーツをもった素っ裸の翔子が座りキョトンとしているのだった。
「さあ、立って」
「うわあ・・・」
腕を持って引き起こされると、大きな胸がプルプルと揺れ、覗いた顔には長い髪がフワッと掛かってきた。逆にその股間には何もなくなり、スウスウと風が通ったのだった。
「こ、これは・・・姐さん。これでいいでしょうか。ちょっと痛いんですが・・・」
初めて履いたTバックショーツは、男のトランクスのつもりで引き上げると、その新しい溝にすっぽりと入ってしまい、その殆どが見えなくなってしまっていた。
「馬鹿だねえ。引っ張りすぎなんだよ。ほら、これでいいだろう」
翔子が下腹部から指を入れ、股間に向かって指をずらしていくと少し余裕が出来たようで、痛みに似た感覚も治まった。
「いいかい。お前は今日からあたしの代わりにハワイ旅行に行って来るんだよ。飲み食いして買い物するだけだから楽しんでおいで。ただ、笑美(えみ)はカンがいいから気をつけるんだよ」
「あ、あっしがこの姿で行くんですか・・・」
「あたしの姿じゃ嫌だって言うのかい?」
「いえ、そうじゃありませんが・・・女になるのは生まれて初めてなもので・・・」
「いいから、頑張っていってきな。言っておくけど、女になったからといって、その身体で変なことするんじゃないよ。もし何かしたら、帰ってから八つ裂きだからね」
「へ、へい!わかりました」
少し震えて答えた。翔子の八つ裂きを何回か目撃している高次は、その犠牲者になってはいけないと誓ったのだった。
「まあ、こんなことを頼めるのはお前しかいないしね。男のお前には悪いと思うのだけれど頼むよ。その代わり」
「その代わり?」
「向こうに行ったら、ご褒美にサプライズを用意しているからね、楽しみにしているんだよ」
「サプライズですか」
「そうさ。最高のね。一生の思い出になると思うよ」
「わかりました。なんかよくわかりませんが、後藤高次。姐さんのためにこの大役を果たして参ります」
「そうそう。その意気だよ」
その後、翔子はバックに何かを詰め込むと、そっと屋敷をでて、表に用意した車へ向かった。
一方、翔子となった高次は、怪しまれないように寝室へと戻り、バラの香りのするベッドへと潜り込み、身体を触ってみたい欲望と戦い、結局どうにも出来ないモヤモヤした気持ちのままハワイへと旅立ったのだった。
(10)フライト
だが、すんなりとは着かなかった。翔子から脅されていた高次は、トイレにも行くことが出来ず、飛行機に乗るまで我慢し放なしだったのだ。そのせいで、離陸するが早いか、その気圧の変化に尿意は限界となり、トイレに飛び込むこととなったのだった。
「うわあ、出ちゃうよう〜」
急いでスカートを捲り上げ、ショーツを下ろして座わった。すると、ほぼ同時に勢いよく小便が飛び出した。
「ふう・・・間に合った・・・。考えてみれば、別に変なことする訳じゃないんだからもっと早く入れば良かったな。漏れたら洒落にならんものな」
余程我慢していたのか、二十秒程かかって、やっと止まったのだが、この後が大変だった。女は拭かなければならなかったのだ。
「どうしよう・・・」
男と違い、尻の方まで濡らして高次は固まってしまった。無我夢中で小便をしたが、その後拭くことまでは考えていなかったのだった。
「拭くってことは・・・ここに触るんだよな・・・」
股を広げ胸の先から覗き込むと、その先には両サイドのヘアがきれいにカットされた股間があった。
そこは、若い頃夢に見た場所だった。高次は竜太郎に拾われた時から、ずっと翔子に憧れ、悪いと思いながらも、その裸の姿を思い浮かべて何度も精を放ったものだった。その想いの中心にあったもの、それが今現実のものとして、正に自分のものとして目の前にあったのだった。
「ええい、考えても仕方がない。姐さん、ごめんなさい!」
思い切って、トイレットペーパーを引きちぎり、濡れている部分に手を持っていった。
後ろから前へ。尻から股間の茂みに向かって拭いていった。お婆ちゃんが見たら怒るかもしれないが、女性ではないので拭き方まで知らなかった。
「これでいいよな」
滴はすぐに拭き取れた。
「・・・・・」
このままショーツを引き上げ席に戻らなければならない・・・と思うのだが、視線が胸に、そしてその先のむき出しになった股間の茂みに固定されてしまって動かすことができない。
「姐さん・・・だめでしょうか・・・」
そっと呟く。
「やっぱりだめです。目の前にこんなものがあったら・・・が、我慢できません。すいません!」
そう言うと、遂に誘惑に負け、指輪をはめた両手が胸へと当てられた。
「うわぁ・・・やっぱ大きいなあ。上から見ても結構大きいと思ったけど、こうやって手を当ててみると本当に大きいってわかるよな」
両方の掌をあてるが、小さくなった掌ではとても覆うことなどできず、単に上から乗せているだけの格好だった。
「でも・・・こう・・・柔らかくて・・・弾力があって・・・。何か、こう・・・気持ちが和らぐような気がして・・・」
上から当てるだけでなく、下から持ち上げてみたり、脇から中央に寄せて谷間を作ってみたり。
それだけで満足できなくなると、今度は掌を大きく広げてゆっくりと揉んでみたり。憧れの胸に触る感触と、初めての触られる快感を味わっていた。
「はあ〜・・・気持ちいいなあ。社長には申し訳ないけど、やっぱり姐さんはいいよなあ」
ふと気がつくと、気持ちがいい中に、何かモヤモヤしたものが混ざり始めていた。
「何だろう・・・あっ!」
どんどん気持ちよくなるのに何かが足りない。もっと強くすればいいかというと、確かに刺激が強くなり良いが、でも何かが足りない。
胸だけでなく、全身に神経を広げると、その足りないものが判明した。
「こ、ここか!」
それはヴァギナへの刺激だった。
始めは胸だけで良かったが、だんだん気持ちが、快感が高まるにつれて、ヴァギナが目覚め、ペニスが欲しいと言い出したのだった。経験の浅い女ならそうでもないかもしれないが、三十路を過ぎた、まさに熟した身体では当然の反応だった。
「うん。確かに濡れてるな。でも、いくら何でもここはちょっとまずいよな・・・」
しかし、ヒクヒクと疼くのを無視するとしても、その口からタラリと出ている愛液を、拭くだけでもいいからどうにかしないとショーツも履けなかった。
「よし、拭くだけにしよう。やっぱりまずいもんな」
トイレットペーパーを手に取り愛液を拭き取る。しかし、ショーツを履こうとすると、まだ少し濡れている。また拭き取るが、すぐに濡れてくる。
「これは一体・・・」
表面だけ拭いてもだめなので、悪いとは思いながらも茂みをかき分け、ヴァギナにペーパーを押しつけて拭き取ることにした。一回拭いても出てくるので二回。それでもなくならないので三回と拭いていった。しかし、それは、せっかく諦めて、鎮まり始めた性感を再度高める結果となった。
「な、何かどんどん出てきたぞ・・・そ、それに・・・これって凄く気持ちがいい・・・かも・・・」
始めはヴァギナを拭いていたはずが、だんだんとその位置が上へと上がり、今ではクリトリスにペーパーを押し当て、その上から人差し指と中指を使って何度も何度も擦っていた。
「こ、これは・・・あっあっ・・・」
自然と空いていた左手は胸へと回され、再び勃起した乳首を攻めながら、さっきよりも遙かに荒々しくオッパイを掴み揉んでいた。
「す、凄げえな・・・か、体中がチンチンの先みてえだ・・・き、気持ちいい」
快感はどんどん高まり、既にセックスの時の男の快感のレベルを超え、高次にとっては未知の領域に入っていた。
「あ、ああん。ハア、ハア、ハア・・・」
自然と喘ぎ声が漏れてくる。擦るたびに足の先から頭の先まで、体の隅々に痺れにも似た快感が走る。
また、それに比例して、押さえていたトイレットペーパーは愛液を含んで溶けてしまい、いつの間にか直にクリトリスを擦っていたため、更に刺激が強くなり、何をしているのかもよくわからない、恍惚とした世界に入り込んでいた。
「お客様。大丈夫ですか?お客様!」
突然ドアが『ドンドン』とノックされ、フライトアテンダントの女性の声が入ってきた。
「お具合でもお悪いのでしょうか?大丈夫ですか?何かあればお申し付けください。お客様!」
その強い口調に、現実の世界へと引き戻された。
「い、いえ、大丈夫です。何でもありません。す、すぐに出ます」
高次が長く入っていた上に、あえぎ声を苦しそうな声と勘違いしたために、中で倒れているのではと思い声を掛けてきたようだった。
高次は股間に丸めたトイレットペーパーを当てたままショーツを引き上げ、スカートを直して急いでトイレを後にした。
しかし、女の身体での経験のない高次にはわからなかったが、まだ、イクまでには時間が掛かかったにしろ、かなり高まっていた性感は、男と違い急に萎えることなくこの後もずっと燻っていた。
そのため、席に戻ってからも、しばらくの間は胸や股間が疼くし、欲求不満のままの飛行となった。
空港に到着してからも、一人になることも、ゆっくり触ることもできず、ただひたすらに欲求不満状態だった。
(11)解禁
ハワイ(オアフ島)に着くと、クヒオ通りにほど近いコンドミニアムへと案内された。どうやら、滞在期間と人数から、少しでも安くしようとこちらを借りたらしい。
建物は三〇階建てで、そのうちの二十三から二十六階までの四フロアが滞在場所だった。ここに今回参加した八十家族、約二百五十人が泊まったが、翔子と笑美の二人に、世話役を兼ねた若い女の二人だけは最上階の最も大きな部屋だった。
「ふう、疲れたなあ」
「ママ、大丈夫?」
今年中学一年生になった愛娘の笑美が心配そうに聞いてくる。
「何か、飛んでいる間もずっと変だったわよ。どこか具合でも悪いんじゃないの?」
「大丈夫よ。ちょっと気分が悪かっただけだから」
まさか、本当のことを言う訳にもいかず、心配を掛けて悪い思いながらも嘘をついた。
「少し寝たら?」
「そうね。夕食まで少し休もうか・・・しら」
ベッドに入れば機内での続きを・・・と思ったが甘かった。
母親っ子の笑美は、高次がベッドに入ると直ぐに後を追って潜り込んできた。
「どうしたの?」
「へへへ、たまには一緒に寝てもいいでしょう。家にいる時は、いつもパパと一緒だから笑美と寝てくれないんだもの。小さい頃は寝てくれたのにさ」
「そ、そう?」
「さあ、少し寝ましょうよ」
「ええ・・・」
せっかくの計画がだめになっただけでなく、中学一年生にしてはかなり発育の良い笑美は、その胸の膨らみもかなりのもので、腕に当たる感触が、高次の身体の性欲だけでなく、心の性欲までを刺激しかえって眠れない。欲求不満を解消するはずが、逆に塊となってしまった。
それからというもの、昼間は女房達を引き連れての買い物とゴルフに水泳。夜はショーを見た後、笑美との添い寝で過ごしていった。
着替えれば熟れた身体が見られるし、オシャレをすれば、その美しさに我ながら惚れ惚れする。水着になる時はドキドキしたし、風呂に入る時など、基本的には笑美と一緒だから、見てはいけないと思いながらも、成熟した翔子の身体と発達した少女の身体、更に、お付きの若い女の裸も一緒に見られて至福の時だった。
しかし、それを抱くこともできなければ、肝心のペニス自体もなくてオナニーで発射することもできず、ベッドで女としての経験を積むこともできず・・・女として、翔子としての全ての生活が楽しいながらも、強烈な欲求不満の旅行だった。
だが、明後日には帰国するという夜に、それは突然訪れた。
その夜も、食事と少しの酒が終わり、そろそろ部屋へ戻ってくつろごうかと思っていたところ、
「姐さん。今晩は、お嬢様は他の部屋に行って寝て頂きますのでよろしくお願いします。世話役の女達も下げますので存分に楽しんでください。」
と、専務の女房がそっと耳元で囁いた。
「えっ?何?」
「ほら、今晩は例の・・・ごゆっくり」
「え、ええ・・・・?」
返事はしたものの、何のことだかわからない。だが、少なくとも今晩は、笑美ともお付きの女とも離れて部屋でゆっくりと・・・好きなことをして過ごせそうだった。
「まあ、いいか。とにかく今晩は・・・へっへっへっ、姐さんには悪いけど、一晩くらい・・・いいよな。じゃあ、部屋に戻ろう!」
この後、思いもよらぬ来訪者を迎えることになるとは、全く知らぬ高次だった。
「さあて、何をしようかな・・・。まずは、風呂だな。ゆっくり入って・・・。ヒッヒッヒッ。その後は・・・楽しい夜になりそうだな」
翔子の姿で数日過ごすうちに、悪いという気持ちよりも、溜まっていく欲求不満の方が大きくなったようで、高次の頭の中では、スケベな想像だけがどんどん膨らんでいた。
「ルンルンルン!」
服を脱ぐのも楽しい。今までは笑美や女達の目があったので喜ぶこともできなかったが、こうやってじっくりと脱いでいくと、ブラジャーから胸がこぼれ出る瞬間も、ワンピースが落ち、ショーツからアシを抜く瞬間も、その全てが新鮮で、まるで一〇代の頃、同級生との初体験の日のドキドキした気持ちを思い出させた。
「ああ・・・気持ちいいなあ・・・」
いろいろな花の浮かぶ浴槽の中で、改めて胸を触ってみる。大きさといい、柔らかさといい、やはり笑美や女房とは比較にならず、絶品の感触だった。
「まだまだ。焦っちゃだめだぞ」
このままオナニーをしたいという気持ちを抑え込み、浴槽の中で身体を洗って外へ出た。欲望を小出しに満たすのではなく、今晩は思い切り爆発させたかったのだ。
「これがいいかな?」
持ってきた下着は大人しいものが多かったので、一昨日ショッピングに行った店で、勧められるまま購入したブラジャーとショーツを身に付けてみた。
それは、紫をベースにしたシースルー生地と黒と赤のレースをふんだんにあしらったもので、身体にぴったりとフィットし、胸を大きく盛り上げ、三十路とは思えない身体を、更にグラマラスなものへと変貌させていた。
「それから・・・これかな?」
その上から、これも今回購入したドレスを着込んだ。こちらも金糸、銀糸、ラメやスパンコールなどをふんだんに使ったもので、普段の生活では決して着られない代物だったが、パーティーの席では美しさが映え、ショー会場でも注目を集めたものだった。
「ルンルンルン♪♪♪」
ドレスを着ると、鏡に向かって化粧を始める。メイクをする女性がいなかったが、頑張っていつもの化粧をまねて少しだけやってみた。
髪のセットはできなかったので、見よう見まねでアップにした形でまとめてみたが、ピンのお陰で初めてやった割には綺麗にまとめ上げることができた。
「フンフンフン♪♪♪」
何とか化粧も終わり、鏡の前に立ってくるりと回ってみると、そこにはドレスアップされた翔子の姿があった。アップにまとめられた髪。光るイヤリング。ゴージャスな衣装に抜群のスタイル。どれをとっても、男ならむしゃぶりつきたくなるような女の姿がそこにあった。
高次の妄想劇が始まった。
「高次・・・」
「姐さん・・・」
「嫌。今晩は翔子って呼んで」
「翔子・・・」
「ああ・・・嬉しい・・・」
そう言って、鏡の前で、両腕を身体に廻し、自分で自分を抱きしめてみる。
「ねえ、触って」
「だめです。姐・・・翔子。だめだ。社長を裏切ることはできねえよ」
「あの人のことは忘れて!ねっ、お願い。もう、身体があなたを求めて堪らないの」
「翔子・・・」
服の上からゆっくりと、胸や腕、首筋や脇腹を撫でていく。
「ああ・・・気持ちいいわ・・・」
更に、腰や尻、太股へと手は伸びていく。
「ああ、だめよ。そこだけはだめ」
股間に手がのびた。
「ね、お願い・・・」
「何を言うんだ、今更。ほら、もうこんなになっているじゃないか」
「いやん!」
そういって、ドレスの裾を捲りショーツの股間を触る。するともう十分に湿っていて、触った指まで濡れていた。
「ふふふ。口では嫌といっても、身体はそうでもないようだよ」
「嫌。馬鹿・・・ね、ベッドに行きましょう」
「いや、まだだ。その綺麗な身体をもっとよく見せてくれないか」
今度は、身体をくねくねとさせて、ゆっくりとドレスを床に落とし、わざとじらすようにブラジャーのホックをはずし、いったん胸の前で、両手で押さえてから脱ぎ捨てる。
「さあ、それも脱ぐんだ」
「ああ・・・あたし裸にされるのね・・・」
そういって最後の一枚、ショーツのゴムに手がかかる。
「ああ、恥ずかしいわ・・・見ないで」
「だめだ。さあ、その綺麗な体をよ〜く見せなさい」
誰も見ていないのをいいことに、実際にはあり得ないようなセリフでどんどん盛り上がっていく。
「さあ、その手もどけて、綺麗な胸を見せてくれ」
「恥ずかしいわ」
「おお、なんて綺麗なんだ。素敵だよ」
「いやいや。そんなに見つめないで」
端から見れば、何と馬鹿馬鹿しいことかと思うが、相手が憧れの翔子であり、あり得ない境遇での禁欲生活が続いた高次からみれば、これは夢の世界の、一〇〇%欲望を叶えた最高の場面だった。
「さあ、今度はここに掛けて、ゆっくりと君の最も大切な、嫌らしい部分を見せてくれないか」
「だ、だめよ。無理だわ」
「さあ、これは命令だよ」
「ああ・・・恥ずかしい。でも、従わなければいけないのね」
「そうだ。さあ、早くしなさい」
そう言って、ベッドの横に置かれた籐製の大きな椅子、まるで、昔エマニエル婦人という映画に出てきたような、すっぽりと体が収まってしまう大きな背もたれの付いた椅子に腰掛けた。
「さあ、足を開いてご覧・・・・」
(12)サプライズ
「Excuse me」
「はいっ!」
丁度足を開きかけた瞬間、突然横から声を掛けられた。みると2人の女性が立っていた。一人はブロンドの白人で、もう一人は髪の黒いアジア系のようだった。
「May we start playing?」
「はい????」
英語がわかるはずがなかった。姿は翔子でも、中身は中学にもろくに行かなかった高次なのだから。
「You can be able to be amused enough.」
と笑顔で聞かれる。すると、
「イ、イエース・・・」
と、『つい』答えてしまった。日本人の悪い癖で、何かはわからないが、ついイエスで誤魔化してしまったのだった。すると、二人の女性は、突然服を脱ぎはじめ、生れたままの姿になると高次の方へと近づいてきたのだった。
「な、何?何をするんだ?」
「Please relieve.」
「Then, please sit on a chair.」
「えっ?」
迫ってきたかと思うと、高次の肩に手を当てて、そのまま籐製の椅子に座らせてしまった。
「ちょ、ちょっと。待ってって」
高次の言葉が通じるはずもなく、二人とも笑顔でその場に跪いて、そのままそれぞれ一本ずつ足を抱え、そのまま足を指も裏もどんどん舐め始めた。
「うわっ!ちょっと、汚い・・・ああ・・・でも、何これ・・・凄く・・・気持ちいい・・・」
生まれて初めての経験であったが、これはかなり気持のいい行為だった。舌先が指の間に当たるたびに逆毛立つような感覚が走る。また、同時に触られているふくらはぎや膝の裏からも快感が生まれていく。
そして、舐める範囲は段々上に移り、アジア系の女性=ケイトはそのまま股間に向かって徐々に舐め上がっていき、もう一人の白人女性=アンナはいったん離れたかと思うと、今度は左手を手に取り、同じように指から手。手から腕へと舐め上がり、バストに向かって進んでいった。
ケイトは股間まで来ると、クリトリスを舌先でつついたり、全体を口で覆って、中でベロベロと舐めたり、舌先をすぼめて、ヴァギナの中へとこじ入れたりしていた。
一方のアンナは、自分よりはかなり小さいが、それでも手の平には入りきらない巨乳を思う存分揉み出し、それに飽きると、乳首を噛んだり抓ったり、強弱のある愛撫を始めた。
「あっ、あん!・・・や、だめだったら・・・そ、そんなにしたら・・・感じちゃうって・・・」
自然と太股が摺り合わされ、もじもじと仕始める。そうかと思うと、強い快感が走るたびに、『ピクンッ!』と身体が動き跳ね上がる。
「あっきゃあ〜〜〜・・・」
余りに快感が大きすぎた時には、悲鳴のような声を上げて身体をばたつかせることもしばしばだった。
そんなことを繰り返していくうちに、いつの間にか身体はピンクに染まり、乳房は一回り大きくなり、乳首も今までにない位大きく勃起していた。
もちろん、股間の濡れ方も凄く、湿るなどというものではなく、愛液が溢れ、尻までびっしょりと濡れていた。
「Then, let's enjoy coming in the bed.」
「・・・・?」
快感で意識が朦朧として、身体にも全く力が入らない。ただ、引かれるままに立ち上がり、高次はベッドへと向かった。
「Then, it starts.」
「あっあ〜〜〜」
いったん燃え上がっていた身体は、ベッドへ上がり、プレイが再開されると容易にまた燃え上がった。
今度は椅子に座るのとは違い、横になって身体が自由に動くため、二人の舌が這い回るたびに、喘ぎながら全身を『クネクネ』『ピクンッピクンッ』と休みなく動かしていった。
「how about this?」
「???」
「How?」
「オ、オッケー・・・イ、イエス・・・オッケー・・・」
目もまともに開けられない中、高次は話せる少ない英語で答えた。
だが、見えていたならOKと言えただろうか?
ケイトがそのまま攻める中、アンナは持ってきたバッグの中から一つのアイテムを取りだした。
それは、双頭のディルドウだった。大きさも日本人の平均男性サイズよりはかなり大きいもので、それを持ってベッドへと上がってきた。
まず口に入れて良く舐め、次に自分のヴァギナへ挿入した。その後、大きく開かれた高次のヴァギナへと近づけ、ゆっくりと挿入していった。
「何????」
初めてヴァギナに入れられる感触に、突然霧が晴れたように意識が戻ってきた。
「ああ・・・は、入ってくる・・・」
しかし、体を起こし、自分の股間を見つめ、事態を把握した時には、双頭ディルドウの大部分はもう挿入された後であった。
「く、苦しい・・・」
冷静に考えれば苦しくはないのだろうが、初めて膣を満たされ、下から子宮を突き上げられる感覚を、高次は他に表現することが出来なかった。
「ま、待って・・そんなに・・・動いちゃ・・・。
い、息が出来ない・・・た、助けて・・・」
「Ah! Ah! Ah!」
今までの快感とは異質の、中でディルドウが動くたびに生まれる快感と衝撃と苦しみ。混乱する高次の反対側では、アンナが快感の呻きをあげていた。
すると、しばらく見つめていたケイトが部屋の電話を使い、どこかへとかけ始めた。
「Can you have prepared it?」
相手の返事を確認すると、ベッドの上で嬌声を上げているアンナへと目配せした。すると、今度はアンナが喘いでいる高次へと尋ねたのだった・
「Is the hefty sized dick necessary for you?」
「・・・え?・・・あ・・・イ、イエス・・・あああ、もう・・・死んじゃう・・・」
ここでも、ただ聞かれるままに返事をしてしまった。
そして、遂にその時が着た。
「あ、ああ、ああ、あああ、あ〜〜〜〜」
アンナの腰使いが強く激しくなるのに合わせて、高次の声もどんどん大きくなる。ズンズンと大きく突かれた時、身体全体が硬直したように一直線となり、シーツを掴んだまま動かなくなってしまった。
初めての絶頂だった。
『ズンズンズン・・・』
意識を失っている高次の中で、再び双頭ディルドウが動き出す。
すると、意識が少しだけ戻ったのか、高次の身体もヴァギナを中心に動き始める。
「ちょ、ちょっと待って・・・そ、そんなにすぐには・・・無理だよ・・・」
全く身体に力が入らず、小さな声で訴える。しかし、高次の予想を遙かに超えて、翔子の身体は快感を高めていった。
「えっ?何?・・・こ、こんな事って・・・だって、今・・・いった・・・ばかりなのに・・・」
驚くほど短い時間で、先ほどの快感を越えるような快感が、再び全身を駆け抜け、高次の身体を支配していった。
そして、アンナが途中から力を抜いて攻めたのにもかかわらず、一〇分も経たないうちに、二回目の絶頂へと達し、再び意識を失ったのだった。
これは全て、翔子が高次に用意したご褒美というか悪戯だった。あらかじめコールガールを二人手配しておき、この夜にレズプレイの予約をしておいたのだ。
また、笑美たちを引き離すために、幹部の女房には『五日目の夜は楽しみたいからお願いね』という形で、出発の前から手配されていたのだった。
だが、ここでケイトが気を利かせたせいで、予定外の事が起きてしまった。
(13)ハプニング
「・・・・・・」
高次の意識が戻り始めると、またもや股間に口が当てられ、同時に胸が揉まれていた。
さっきよりかなり強引なのか、気持ちの良さと共に痛みも感じられた。
「Did you awake?」
「???」
気のせいか、声が違う・・・。
「Then, let's enjoy it by two people.」
「????」
聞き違いではない。こんな低い声の女がいるはずがない。
「ええっ!お前は誰だ?」
「Hello.My name is Bob.Let's play.」
「何???ちょっと、なにするんだ!」
「OK. OK.」
挨拶が済むと、男は高次の言葉を無視して、乳首を吸い始めた。
「や、やめろって・・・」
レズプレイならば、憧れる部分もあったのですんなりと受け入れることも出来たが、男とのセックスとなるとそうはいかなかった。何しろ、身体は翔子でも中身は高次なのだから、見た目はどうであれ、感覚的にはホモ以外の何物でもなかったのだ。
「うっ!・・・あん・・・・」
頭を押し返すが、その腕に力が入らない。乳首を転がされるたびに快感のために力が抜けてしまうのだった。
すると、押し返していたはずの腕が、逆に押さえているような状態となり、相手にはオッケーという行為にしかならなかった。
「うっ!・・・ううん・・・・」
段々とエスカレートし、太い指がヴァギナヘと挿入され、ゆっくりと中で蠢き始めた。
「(男は嫌だ・・・)」
という気持はあるものの、生み出される快感に言葉にならず、拒否しようにも気持ち良すぎて力が入らない。
八方塞がりのまま時間が過ぎていった。
「Then I insert it soon.」
そう言うと、男はいったん体を離した。
「?????」
突然の『間』に、何が起こったのかと思い目を開けてみると、とんでも無いものが目に飛び込んできた。
「ちょ、ちょっと待て。それだけは駄目だ!」
それは巨大なペニスだった。太さはフランクフルトソーセージを遙かに超え、直径で三センチメートル以上で、長さはといえば、三〇センチメートルを大きく越えるものだった。舶来もののAVで見たことはあったが、まさかそれが自分の目の前に突きつけられ、口に入れられるとは想像も出来なかった。
「む〜〜む〜〜〜」
必死に口を閉じて拒む。すると
「Is a mouth unpleasant? I will put next in your vagina.」
そう言って腰をずらしたかと思うと、自らの手でペニスを掴み、押さえつけた高次のヴァギナへと入れようとするのだった。
「ちょ、ちょっと、そっちはもっとだめだ。やめろ、この野郎〜!」
「Oh my God!・・・・」
足をバタバタさせたところ、丁度男の長い足の下から、思い切り膝蹴りを金玉へ食らわせることができた。
余りの痛さに男が悲鳴を上げ、悶絶している隙に、腰をふらつかせながらも、脱ぎ捨ててあったドレスだけを急いで着て部屋から飛び出した。
間一髪だった。
どこをどう逃げてきたのか分からなかったが、いつの間にか海岸に近い砂浜へときていた。
「はあ、はあ、はあ・・・・」
椰子の木にもたれ掛かって、ドレスと共にとっさに掴んで逃げてきたドリンクを一気に飲み干す。ワインのようだったが、今までに飲んだことのない、少しねっとりとした甘い酒だった。
「ふう、参ったな。姐さんにだまっていいことしようとした罰かな?レズならいいけど、男だけは願い下げだぜ。俺はホモじゃねえってんだ」
更に酒を飲む。
「それにしても、ヤツのチンチンはでかかったなあ。本当にあんなやつがいるんだなあ」
また酒を飲む。走った後の息は整ってきているはずなのに、興奮しているせいか、喉は渇くし、飲めば飲むほど身体が熱くなり、更に喉が渇いてしまった。
「それにしても、女ってえのはやっぱり凄いよな。一度イッテもすぐにまたできるし・・・何といってもあれだけの気持ち良さは男にはないよなあ」
暗くなって人目がないせいか、行動が段々と大胆になりだした。
独り言を呟くだけでなく、いつの間にか空いた手が胸に回され、飲みながらオナニーを始めてしまったのだった。
「ここがこう・・・こんな風にされると・・・す、凄い・・・き、気持ちいいし・・・」
手が下がっていく。
「ここなんか・・・あんなに太い張り型がはいっても大丈夫だし。それに・・・」
そこで、手に持った瓶へと目がいった。
そして、キョロキョロと見回した後、そっとドレスの裾を捲り、瓶の口をヴァギナへと当てる。
「こ。こうやって・・・ハア、ハア・・・」
挿入し動かし始める。始めはゆっくりとだったが、だんだんその動きは早くなっていった。
「き、気持いい・・・・でも、な、何だろう?何かがちがう・・・・」
気持ちは良いのに高まりきらない。まるで、焦らされているようで、欲求はどんどん高まっていった。
「な、何で・・・?」
高次は知らなかったが、飲んでいた酒はただの酒ではなく、ただひたすらセックスが続けられるようにと、ハワイの祈祷師が調合している即効性の強壮剤、催淫剤だったのだ。
それを一瓶も飲んでしまったのだから、このままで収まるはずもなかった。
『ハア、ハア、ハア・・・・』
「???」
そんな時、どこかから喘ぐ声が聞こえた。よく見ると、八才か九才位だろうか?少年というにはまだ幼い子どもが、女が自分で胸を触り、ヴァギナへ瓶を挿入する姿を見て欲情してしまい、皮の剥けきらないペニスで、その場でオナニーを始めてしまったようだ。
「!」
子どもの勃起したペニスを見た途端、高次の中で何かが大きく変わった。そして、高次は、憑かれたようにその少年の方へと歩いていった。
子どもは驚いて逃げようとしたが、突然のことに足がもつれてしまいその場で転んでしまった。
すると、見つめながら近づく高次・・・いや翔子から目が離せなくなってしまい、自ら立ち上がりフラフラと近づいてしまった。それは、まるで魔女に魅入られた生け贄のようだった。
「いいのよ。怖がらなくて」
子どもを落ち着かせるように優しく言う。言葉は通じないはずなのに、男の子の震えが止まった。
「あたしを見て感じてしまったのね」
どうしたものか。高次の言葉遣いがいつのまにか女のものとなり、翔子へと成り切っていた。
「さあ、お姉さんに見せてご覧なさい」
そう言って跪いたかと思うと、さっきまではあんなに嫌がっていたはずのペニスを自ら引き出し、口へと持っていきフェラチオを始めた。
「ah〜! ah〜!」
子どもが初めての快感に声を上げる。その声で更に欲情したのか、フェラチオをしながら自らのクリトリスもいじり出した。
「oh〜!」
まだ剥けていなかったペニスの皮を一気に引き下げ、初めて顔をだしたその亀頭を、思う存分吸い、舐め回した。
すると、我慢できなくなったのか、自ら腰を使い出したかと思うとそのまま射精してしまった。
「ゴクゴクゴク・・・」
驚いたことに、高次は何の躊躇いもなく、口の中に出された精液を飲み干してしまった。
言葉だけでなく、その全てが女となってしまっていた。
「ふふふ。初めてだったの?気持ち良かった?ここも剥けて・・・これであなたも大人の仲間入りよ」
力の抜けたペニスを指で悪戯する。
しかし、射精で力を使い切ったのか、子どもはフラフラして抵抗も出来ない。
「まだ休んじゃだめよ。大丈夫だからね」
今度は子どもの手を引き、椰子林へと入っていった。
「今度は君がしてくれる?」
そういうと、高次はドレスの肩を下げ、左の乳房を露わにした。
身長差があったため、背伸びをしないと子どもの顔は届かなかったが、かるく膝を屈めたために、丁度目の前に乳房が来る形となり、子どもは喜び勇んで、むしゃぶりつくように舐め始めた。
「ああ、もっと優しくして・・・でも、いいわ。隙に舐めなさい・・・」
優しく、それでいて嫌らしい目で少年を見ながら身をまかせる。
子どもは無心でしゃぶりついていたが、いつの間にか元気が回復し、ペニスがこれでもかというほど勃起していた。
それを確認すると、高次は子どもの顔を乳房から放し、位置を入れかえ、少年を椰子の側に立たせた。
「いい子ね。とても気持ち良かったわ。ご褒美に女を教えてあげるわ」
そう言うと、半分脱げていたドレスを脱ぎ、子どもの腰を跨ぐようにして密着し、勃起したペニスを徐々に濡れぼそったヴァギナへと導いていった。
「ah〜〜〜〜」
子どもが再び声を上げる。その全てが高次の中へと収まった。
だが、普通なら『立ち鼎』や『櫓立ち』『駅弁ファック』といった格好でするのだろうが、小さな子どもにはそれをだけの身長も力も知識もなかった。
すると、高次は子どもの尻の下へ手を入れ、尻ごと抱え上げるようにして、自らの股間へと打ち付け始めたのだった。
「ah〜〜〜 ah〜〜〜 ah〜〜〜」
「ああ〜〜、いいわ〜〜」
動くたびに子どもの口から歓喜の声が挙がる。それと共に高次の口からも声が挙がる。
貴重な経験から余裕が出来たのか、子どもは大胆になり、自分で動く必要がないと分かると、目の前で揺れる巨乳が恋しくなり、挿入しながら乳房へとむしゃぶりついた。
「そ、そうよ・・・もっと強く吸って・・・」
足から力が抜けそうになるのを必死に堪え、子どものリズムに合わせて更に強く激しく腰を打ち付けた。
「Aoh〜〜〜」
「ああ〜〜〜」
そのまま二人は同時に絶頂へと達し、その場へ崩れ落ちてしまった。
(14)逃走
ヤクザの魔の手から逃れた竜太郎はというと、駅への道を急いでいた。
初めてのミュールの不安定さと、ブラジャーで固定しても大きく揺れてしまう胸の扱い難さに悪戦苦闘だった。また、ブラジャーから出ている乳首が、走る振動に合わせてキャミソールと擦れてしまい痛いし感じてしまうし・・・。
また、運の悪いことに、感じれば感じるほど乳首が勃起してしまい、どんどん強く擦れるようになってしまったのだった。
更に、ショーツを履いていない下半身が、風に煽られてミニスカートの裾がまくれて見えてしまうことが怖くて怖くて・・・どうにも走れなくなり、丁度通りかかったタクシーを拾って駅へと急ぐこととなった。
だが、駅へ着き、いざ降りる段になって、自分が金を持っていないことに気がついた。
「お客さん。早くしてくれませんか」
「あ、いや、実はお金持っていないんだ」
「何だって?可愛い顔をして無銭乗車かい。なら仕方ない。警察に行ってもらうよ」
「いや、違うんだ。テーブルの上に財布があったんだけど、どうやら忘れてしまったみたいで・・・」
「なら、家まで戻るから、一回精算してから乗り直してくれないかねえ」
「いや。それは出来ないんだ。何とか勘弁してくれないか・」
「勘弁っていっても、金持っていないんだろう?なら仕方ないよ」
そういう男の目が、ルームミラー越しに見えた。いかにも好色そうなじじで、目が合った瞬間、じろじろと竜太郎の姿を見つめにやけていた。
竜太郎が言葉に詰まると、仕方ないといった風に運転手が口を開いた。
「お嬢ちゃん。この後どこまで行くんだい?」
「東京にある家までだ」
「東京!また遠いなあ・・・まあ、いいか。ならこうしようか。お嬢ちゃんを東京の家まで送るから、その時に精算してくれるかね」
「ああ!それなら大丈夫だ。必ず払う。だから是非そうしてくれ」
「ようし。決まりだ。なら出発だ」
タクシーは駅から離れ、インターチェンジへと向かった。
車中、竜太郎は助手席に乗り換えていた。運転手から前に来るようにいわれたからだった。
何かの時にチラチラと視線を竜太郎の胸や足へ向けてくる。胸はといえばキャミソールは着ているものの、その下に着ている穴あきブラジャーのために、どうしても乳首の形が服の上からわかってしまう。
また、スカートを履いているものの、その長さはやっと尻が隠れる位のものだったから、座っていると尻が半分見えて、滅茶苦茶セクシーだった。
また、その下にショーツを履いていないものだから、しっかり手で伸ばして押さえないと、車の揺れでもヘアが見えてしまいそうだった。
これを見やすくするために横へ座らせたことは明白だった。
「お嬢ちゃん。名前は何ていうんだい?」
「竜太・・・いや、愛留です。近藤愛留」
「愛留ちゃんか。かわいいねえ」
「年はいくつだい?」
「二十二です」
「恋人は?」
「・・・・」
「うん?いや、言いたくないなら別にいいんだよ。ただ、随分セクシーな格好だからてっきり彼氏の趣味かと思ったからさ」
そう言って、また舐め回すように見ている。
「なあ、ちょっとだけおじさんの恋人にならないか?」
「えっ?」
「いや、別にエッチしようっていう訳じゃないんだよ。ただ、その・・・」
そう言って胸を見る。
「どうかね・・・」
「嫌だ」
「そうか。そうだよねえ。こんなおじさんじゃ嫌だよね・・・ああ、疲れた。ちょっとインターを降りようかな」
「えっ?」
そう言うと、まだ埼玉にも入っていないのに、さっさと一般道へ降りてしまった。すると、だんだん人気の少ない方へと走っていった。
「ちょっと、どこへ行くんだ?」
「え、東京だよ。違うのかい?」
「だって高速降りてこんな方へ来て・・・おかしいだろう」
「そうかね?こっちが近道かと思ったけど・・・まあ、疲れたから少し休ませてくれないか?地図も見ないといけないしね」
そう言って、脇道に入り車を止めてしまう。
これはおかしいと、竜太郎は扉を開けて逃げようとした・・・が、ロックされていて開かない。
「ごめんごめん。その扉壊れていてさあ。外からじゃないと開かないんだ。少し休んだら出発するから待っていておくれな」
「・・・・・」
嘘に決まっているが、金のない竜太郎には文句を言える訳もなかった。
「さて、トイレに行ってから出るかな」
「ちょ、ちょっと」
「何だい?」
「俺・・・あたしもションベンがしたいからここをあけてくれないか」
「なんだって?」
運転手の目が光った気がする。
「わかったわかった。先に出してくるからちょっとだけ待っていてくれね」
そういうと小便をしに出て行った。
帰ってくると、外から扉を開けようと、何度かノブを引くが、ガチャガチャ音がするだけで開かない。
「あれ?おかしいなあ?」
そう言うと車内に戻ってきた。
「壊れちゃったみたいだ。開かないよ」
「そ、そんな・・・困る。何とかしてくれ」
竜太郎の中で、尿意はかなり切羽詰まっていた。
「そう言われてもねえ。じゃあ、今度は内側からやってみるから、ちょっと椅子の上に立ってくれないか?」
そういうと、シートの上にミュールを脱いだ竜太郎を立たせて、その前に間身体を持ってきてガチャガチャ始めた。
ちらと竜太郎を見る目が光った。
「(やっぱりこの女は変態か・・・。パンツもはいていないようだ。乳首もあんなに丸出しの服を着て・・・絶対にMだな)」
何度かやってみるが、やはり開かなかった。もっとも、ロックを掛けているのだから、引いただけでは開く訳はなかった。・
「あっ!」
運転手は、手が滑った振りをして、竜太郎の下腹へ肩をぶつけてきた。
それまで目一杯我慢していたところへ、急に予期しない強い力で圧迫されたために、我慢していた小便がチョロチョロと漏れ出してしまった。
「あっ!ちょっと・・・どうしよう・・・と、止まらない!」
スカートの上から押さえるが止まる気配がない。愛留の身体は・・・というより、女の身体には漏れだした小便を止める機能はなかったからだ。量は少なくなるものの止まることはなかった
「おいおい、なんて事をしているんだ。早く止めろよ」
「と、止まらないんだ。どうにも・・・」
「手をどけろ!なんだこれは。パンツを履いてないじゃないか」
「いや、あの・・・」
漏れる小便の衝撃と恥ずかしさでモノが考えられなくなってくる。
「俺が止めてやる」
そう言うと突然顔を近づけてきて、濡れたスカートをパッとめくり、小便の出ているヴァギナへ口を付けてゴクゴクと飲み出した。
「な、何するんだ」
「黙れ!こうでもしないと俺の車が小便だらけになってしまうだろうが。嫌なら自分で止めてみろ!」
「うくっ・・・・」
こんなじじいに口を付けられて気持ちいい訳がなかったが、こういわれてしまっては。止める術を持たない竜太郎にはどうすることも出来なかった。
『ピチャピチャ』
「あん! ???」
小便が大方出て楽になると、代わりに未経験の感触が股間から沸き上がってきた。
「な、何をしているんだ」
「何じゃない。汚いから俺が舐めてやってるんだ」
「や、やめろ」
「もう少しだ。我慢しろ」
そういうと、押しのけようとする手を払い、執拗に舌を伸ばし舐めてくる。
「う・・・ん・・・」
そうすると、始めは嫌悪感から拒否していた竜太郎だったが、いつ間にか男の頭を手で押さえ、うっとりとした顔で静かになってしまった。
「ふふふ。気持ちいいのかい?」
「・・・そ、そんなことある訳ないだろう・・・」
「そうかなあ。ここは何か違う液でビショビショになっているぜ」
「ち、違う」
「違わないって。ほれ」
いったん小便がなくなり水分が減っているはずのヴァギナから、今度は代わりに愛液があふれ出てきて、男が口を離すと、タラリと液が溢れていた。
「ば、馬鹿な・・・」
男が指を入れ、軽くヴァギナを触って手を出すと、透明な液がびっしょりとついて濡れている。
(15)犯されて
「それに、ここだって嫌がってはいないみたいだよ」
そういって手を胸に伸ばしてきた。
「やめろ」
反射的に手で振り払うが、その力は妙に弱く、女として考えても本気でやめさせようとしているようにはみえなかった。先ほどから行われているクンニの気持ちの良さに、竜太郎の・・・愛留の身体は、心とは別に、すっかりと男を受け入れる準備を整えてしまったのだった。
「嫌だ・・・やめろ。やめてくれ・・・」
「わかったわかった。でも、こんなに乳首を立てて、アソコもぐっしょり濡らして・・・おじさん可愛そうでなあ。だから・・・」
「うわあっ!」
運転手がシートを突然倒したために、二人は重なったまま後ろ座席の方向へと倒れ込んでしまった。
そして、男の顔が丁度胸の上に重なってしまった。
「どれ、どれ」
そういうとキャミソールを捲り上げる。
「うわっ!なんてHなブラジャーなんだ。パンツも履いてないし、お嬢ちゃんはこういうのが好きなのかい?」
「そ、そんなことは・・・」
「これはどうだい?」
「ひぎっ!」
突然乳首が噛まれた。痛みが神経を通り、手足の先まで伝わる・・・が・・・
「な、何んで?」
痛みの後を追って、くすぐったいような甘い快感が伝わってきて、強ばった筋肉をトロトロにしてしまう。噛んだ後で、今度は舌先で優しく舐めながら吸い始めたようだった。
「や、やめ・・・」
言葉が続かなくなる。
「(一体どうしたっていうんだ。こんな男に自由にされて、嫌で仕方ないはずなのに・・・なのに何でこの身体はこんなに感じてしまうんだ。気持ち良くて力が入らない・・・)」
「随分静かになったようだけど、どうだい?気持ちいいんだろう」
「良くなんか・・・ない・・・」
「そうか。まだだめか。なら、これなら気持ちいいかな?」
「!」
男はいつの間に脱いだのか、ズボンとパンツを下ろして勃起したペニスを手に取り、ビショビショに濡れたヴァギナへグイッと挿入してきた。
「だ、だめだ。それだけは」
素面に戻った竜太郎は、両手で男をどかそうとするが、やはり力が入らない。
「ほら、これで・・・どう・・・だい・・・」
『ギシッギシッギシッ』
サスペンションの音をさせながら、壮齢とは思えない力強さで腰を打ちつけてくる。
「あっ、あっ、あっ」
男の胸に手を突っ張った形のまま、竜太郎は動けなくなり、いつの間にか自ら股を広げ、伸ばした足をフロントガラスへと伸ばし、男が動きやすいようにと態勢を整えていったのだった。
「い・・・や・・・だ・・・」
うなされたように声が漏れる。だがこの頃には、口付けをする男を振り払うこともなく、ただ男にされるがままに快感に身を任せてしまっていた。
「あっ、あっ、い、いっちゃう・・・」
太股が男の腰を締め付け、少しでも身体を密着させようとする。
「イッていいんだよ。ほれ、ほれ、ほれ」
「あっ、あっ、あっ、あ〜〜〜」
とうとういかされてしまった。男としても女としても、初めてのカーセックスだった。
「さて、今度は・・・よいしょっと」
すると、男は元気なままの、濡れてギラギラとしたペニスを抜き取ったかと思うと、竜太郎の身体を起こし、今度は四つん這いにした。
「(ちくしょう!こんな男にいいようにされるなんて。でも・・・気持ち良かった。悔しいけど・・・女の身体っていうのは何なんだ?)」
「じゃあ、こんどはこれだな」
「うっ!」
またもや、ヴァギナにペニスが侵入してくる。
「ちょ、ちょっと・・・」
「今度はどうかな?」
『パンパンパン』
乾いた音が車内に響く。
「あっ、あっ、あっ・・・」
逃れようとするが、腰を抱えられているために動くことが出来ない。
「気持ち良いだろう。でも、こんなのもあるんだよ」
「痛いっ!」
一瞬で目が覚めた。肛門から生まれた痛みのためだった。
「ど、どこに入れているんだ」
「どこって、愛留ちゃんのエッチな穴さ」
「そこは違う。や、やめろ」
「大丈夫だって。すぐに気持ち良くなるから」
「良くなる訳なんか・・・ない・・・」
「ほれ、ほれ、どうだい?」
「・・・・・」
確かに、始めの五回、一〇回は痛かったかもしれない・・・が、だんだんその痛みが薄れていき、直腸が掻き回され引き出されるような感覚が、嫌なモノではなくなってきていた。
「(な、何なんだ・・・)」
「こうするともっといいだろう」
「ひいっ!」
男が同時にクリトリスを攻め始める。アナルから生まれる不思議な感覚と、クリトリスから生まれる快感が波状攻撃となって身体を駆けめぐった。
「(も、もうだめだ・・・気持良すぎる・・・)」
遂に竜太郎の心が折れた。逃げようとする心はなくなり、そこには快感を欲する女としての愛留しかいなくなった。
竜太郎の身体から力が抜けたことがわかったのか、運転手の男は更に攻め方を変えてきた。
アナルに五回入れると今度はヴァギナへ五回。クリトリスを一〇回擦れば乳首を一〇回弄る・・・後ろからその全身を弄んでいた。
その度に、攻め口が変わるたびに歓喜の声が高まっていった。
そして、二回目の絶頂を迎えた。
竜太郎は女を体感し理解した。愛欲に生きる生物だということを。そして今の自分がその節操のない女であることを感じていた。
「(一体俺はどうなるんだろう・・・)」
考え初めても、快感に朦朧としている脳では何も進まない。
そして、やっと一回目の精を放った男が竜太郎を引き寄せ、その口でフェラチオをさせようとした時も、ただの一人の女として、求められるままに口を付けていた。
竜太郎の中の変化は本当に大きなものだった。男であった時には考えられないような、フェラチオだとかセックスだとかいう行為が、特に嫌なものとは感じられず、かえって、男性のペニスの臭いや精液の味が快いものとなっていたのだった。
今も鼻に抜ける精液の臭いが嫌ではなく、その少し生臭い臭いとしょっぱい味が美味しいモノとして認識されていたのだ。
男ならどんな男でも、他人のペニスを舐めるなどということは考えられない以上、この時点で竜太郎の心は、快感のため、性欲のために女に塗り替えられていたといえる。
この後、茶臼と騎乗位で男は一回、竜太郎は二回気をやり、男は満足したのか、きちんと運転をはじめて東京へと向かった。
東京に入ると池袋の近くで竜太郎を降ろし、数枚の千円札を握らせて去っていったのだった。
(16)終幕
もらった金で、ショーツと普通のブラジャーを買った後に、インターネットカフェへ入りシャワーを浴びてから家へと戻った。
チャイムを鳴らした。すると、中から聞き慣れた若い衆の声が聞こえた。
「おい、俺だ。開けろ」
「俺だ?誰だお前は?」
「ふざけてるんじゃねえ。俺だ、香田だ」
「あん?お前こそふざけるな。これ以上馬鹿なこというと締めに行くぞ」
「何?」
その時竜太郎は、今の自分が愛留であることを思い出した。
「くそっ!」
そう言って玄関を後にした。その模様をカメラで見ていたのは、先に帰っていた翔子だった。
その姿はもう竜太郎ではなく、元の翔子の姿であった。
翔子はすぐに若い衆を呼び、立ち去ろうとする竜太郎に声を掛け、屋敷の中へ通したのだった。
屋敷に入ると、竜太郎は奥にある居間へと通された。住み慣れた屋敷だったが、今は女の身体であるだけでなく、慣れないスカート姿のため、その視線も歩き方もどこかおどおどしたものであった。
居間に入ると、そこには正座をして待つ翔子の姿があった。
「あれ?何でお前が?」
「何がお前よ。あんたみたいな訳のわからない小娘にお前呼ばわりされる云われはないわ」
「あっ!」
そう、今は愛留の姿だった。
「さあ、突っ立ってないでそこに座って。まずあなたの名前を伺いましょうか」
「えっと、近藤愛留です」
「愛留さんね。で、家に何の用なの?」
「そ、それは・・・」
まさか、自分が竜太郎だということは言えないし、また、言ったとしてもそれを信じてもらえるとも思えなかった。
「あなた、軽井沢から来たのね」
「えっ?」
「あなた、香田の愛人でしょ」
「そ、それは・・・」
「いいの。全てわかっているのよ。ただ、あなたの口から本当の事を聞きたいの。さあ、香田とのことも、軽井沢のことも全て話してもらいましょうか」
秘密にしていた愛留の存在や、軽井沢でのことまで、何で翔子が知っているのかはわからなかったが、いまさら愛留のことを隠すわけにも行かず、多少軽めの内容にして全てを語ったのだった。
「そう、あの人はまだ懲りてなかったのね」
「いや、そんなことは」
「何がそんなことなの。現にあなたっていう若い愛人を作っているじゃないの!」
「あうっ」
翔子が声を荒げた。正に夜叉の形相で。
「まあいいわ。今回のことで、あの人も結構こりたでしょうから、二度と愛人なんか作らないわよね」
そう言うと、愛留の目を睨みつけた・
「そうでしょ。作らないわよね」
「はい!」
それは滑稽な光景だった。愛人である愛留に向かって、竜太郎が今後愛人を作らないだろうと聞いているのだ。
だが、当の本人としてみれば、あの形相で言われれば、自分の今の姿など忘れてしまい、素に戻って答えてしまったのだった。
「いいでしょ。今回だけは許しましょう。じゃあ、あなた。寝室に行きましょう」
そういうと、さっさと立ち上がり奥へといってしまった。
竜太郎もついつられて行ったが、なぜ寝室へ?
「さあ、あなた。服を脱いでもう一度その嫌らしい身体をあたしに見せて頂戴」
「えっ?」
竜太郎は混乱した。
「(もう一度って何だ?)」
「早く」
それでも竜太郎は動けない。
「もう、じれったいわねえ」
沿そう言うと、翔子は愛留の身体をベッドへと突き倒してしまった。
「じゃあ、最後に、その女になったことをたっぷりと後悔させてあげるわ。いい?覚悟してね」
「(女になった?何で翔子がその事を知っているんだ?)」
更に混乱した上に、翔子の愛撫が始まったため、竜太郎はもう何も考えられなくなっていった。
そして、その夜は、一晩中愛留の喘ぎ声が寝室に響き、絶えることはなかった。
翌日、今回の事件の種明かしをされ、無事愛留の皮を脱がせてもらった竜太郎は、改めて自分の妻の恐ろしさを認識し、二度と「ばれるような」浮気はしないと誓ったのだった。