よしおかの仮面の世界
はじめに
わたしとMasker‘S World(仮面世界)との出会いは、以前お話しましたが、手塚治虫氏の「バンパイア」(ただし連載中は読んではいません。この作品を知ったのが最終回でしたから・・・貸し本屋の書棚に置かれていたこの作品を何かに惹かれるように手に取り、ちょっと立ち読みした秋田書店のサンデーコミックス版がきっかけでした)のロックの華麗なる女装に出会ってです。彼の女装シーンを見つけたときには、ちょっぴり大人になった気分がして、親に隠れてこっそりと見たものでした。(今見てもセクシーさを感じます)この瞬間にわたしの変装ファン人生が始まったのです。でも、それから、わたしの興味を引く作品はなく、十二・三歳の頃、偶然行きつけの床屋で何気なく見た「少年マガジン」で、わたしは、その後の変装マニアとしての方向性が決まりました。その時わたしの運命を決定付けたマンガは、なんと「仮面ライダー」なのです。
あの当時、ちょっと肉感的な美女を描く石森章太郎は、手塚治虫とは違って大人の雰囲気がありました。でも、あまり「仮面ライダー」は好きな作品ではなかったので、あまり熱心には見てはいませんでした。順番待ちで、これと言ってすることもなく何気なく手に取った一冊のマンガ雑誌「少年マガジン」。ぱらぱらと捲っていて、ふとわたしの手が止まり、あるページのシーンから目が離せなくなりました。そのページに画かれているのは、仮面ライダー二号・一文字隼人に服を引き裂かれ、髪をつかまれながらも逃げようとする女性の身体の皮膚が剥がれていくのです。
「ビリッ!ベリベリベリ」
まるで本当に音が聞こえてきそうなそのシーンに、わたしのあそこは、硬くなりました。今までに感じたことのないエロチズム。それは、その破れた皮膚の下から現れたものを見たときに最高潮に達しました。
破れた皮膚の下から現れたのは、スキンヘッドの人相の悪い男ではないですか。縦一文字に剥がされ左側は、あの女性の顔のままで、右は悔しそうに唇をかみ締める男の顔。そして、次のシーンでは、上半身があらわになり、右腕の先には剥がれた皮膚が纏わりつき、そこには乳房が付いているのです。男の下半身は、女のまま?そのシーンを見たとき、わたしは見てはいけないものを見てしまった気になりました。そして、こんなものを見ている自分を床屋の人に気づかれてはいけない。そうおもって、こそこそとその本を元のところに直しました。それから何度となくその床屋を訪れる度に、わたしは、こっそりとその雑誌を手に取り、そのシーンを盗み見していました。ですが、当時の床屋さんにある雑誌は、古くなると古紙回収に出されてしまいます。わたしは、ある日意を決して、床屋の人にお願いしてその雑誌を貰い受けました。その時の感動といったら言葉には表せません。それからその雑誌は、私の宝物になり、私の変装マニアの人生が本格的に始まったのです。
さて、これから仮面(or変装)の世界を、みなさんと一緒に覗いてみたいと思います。ただ変装と言っても、いろんな種類があります。そして、これが変装かというものまで・・・ですから、わたしはひとつの定義を提出します。
“変装とは、自らの姿をいかなる方法を使ったとしても変えること。つまり、装いを変え、変わりたる装いにて、振舞うこと”
この考えにおいて、変身、憑依、入れ替わりも含むことがありますので、ご容赦を。では、どんな世界が広がっていくのか、気まぐれなわたしですが、最後までお付き合いの程を・・・