よしおかの仮面の世界
第二回 驚愕の変装術!怪人二十面相
怪人二十面相。この名前を聞いただけで、狂喜乱舞される方も居られるかと思いますが、実はわたしもその一人なのです。
江戸川乱歩氏の記録する明智小五郎の事件簿のひとつ。「怪人二十面相」事件には、彼の変装術をこう紹介しています。
『どんなに明るい場所で、どんなに近寄って眺めても。少しも変装とは分からない、まるで違った人に見えるのだそうです。老人にも若者にも、富豪にも乞食にも、学者にも無頼漢にも、いや、女にさえも、まったくその人になりきってしまうことが出来るといいます』
そう、わたしたちは彼のこの驚異的な変装術の魅力に惹かれてしまうのです。『女にさえも、まったくその人になりきってしまう』なんと魅力的な変装術なのでしょう。ですが、
では、二十面相は、女性には変装できないのでしょうか?いえ、彼も女性には変装しているのです。ただし、回数は少ないですが。
明智探偵の事件を記録した映像の中には、確かに女性に変装する二十面相の姿はあります。ただしその数は少ないものです。ですが、ここに驚愕する映像を見つけることが出来ました。
それは1975年から約半年間放映された「少年探偵団」に映し出された俳優・団次郎氏にそっくりの怪人二十面相です。
彼は半年間に放映された事件映像の中で何度も女性に変装しているのです。ただし、ここでの変装は、メイクやマスク変装とかではなく
変身に近いものだけに、この二十面相を変装の名人と呼ぶかどうかは、賛否両論あるかとは思います。
彼の変装をとくシーンは、胸の前に交差した両腕を左右に広げると、身体がブレ、元の姿(団次郎氏そっくりの姿だ)に戻るのだけど、ここで注意して欲しいことがある。それは、彼の身長が極端に変わることだ。なんと、変装していた時よりも頭ひとつ分高くなることがあるのだ。これは驚愕するほどのことなのだ。変装の名人がどうしても制することの出来ない問題点は、身長なのだ。痩せて、小柄だったらどんな人間にも変装可能だが、その逆だとどうしても制約が付いてしまうからだ。
その点から考えるとこの二十面相は、驚異的な変装術を有している事になるのだ。この変装術を使えばほとんど不可能な変装はないと言えるだろう。(ただ、小学生や、赤ん坊には無理かもしれないけど・・・)
変装界での常識「小は大を兼ねる」(言い間違いではない)。この常識を打ち破った怪人二十面相。これほどのことをやってのけた人物をわたしは知らない。(ルパン三世でも5~10センチ程度の身長差を克服できるくらいだ)
では、彼の変装方法とはいったいどんなものだろう?その変装のメカニズムは?
それはいくつか考えられる。たとえばだが・・・
@肉体を瞬時に変化させられる。
確かにこの方法だと、彼の瞬時の変化も説明も尽くし、体形の変化も可能だが、服装が変化することは無理だ。彼は変装をとくたびに服をその場に残していく事になってしまう。(だが、これを可能にした人物がいる。マンガ魔界都市ハンターに出てくる防衛庁特殊能力戦略部隊の
A体形を変化化せられるスキンスーツを着ている。
これも可能だろうが、身長は無理だろう
B集団催眠術による暗示
出会った人物すべてに瞬時に暗示をかけ、自分を別人と思わせねばならないのと、鏡や、カメラなど光学機器を通した場合ばれてしまう恐れがある。
C特殊スーツによるホログラム変装
変装したい人物の映像をゼンタイのようなスーツに投影してその人物と思わせる。これだと光学機器でも騙せるだろうが、身長は変わらないので不自然な動きになる場合がある。たとえば、狭いところに入る時、変装している人物だとそのままは入れるが、本来の姿ではかがまなければならなかった場合、不自然にかがんでしまうと言う自体が起こる。
D(実はこれが一番単純で可能性が高いのだが、)元の姿と思われている団次郎氏にそっくりの姿は、二十面相の変装した姿で、本当の彼は、彼が変装した少女達と同じくらいの体形だ。とすると説明がしやすくなる。つまり、身長差の謎はこれで解決できる。では、元の姿と思われているものはなんなのか。あれは、実は、形状記憶スーツによるもので、変装をとく時のポーズがスイッチになっていて、団次郎氏に似た姿へとスーツが変化する。そのためにだれもがあの姿が二十面相の本来の姿だと思っている。とすれば二十面相が容易には摑まらないのも説明がつくのでは?
などと、いいつつ、今回の解釈を終わる。では、ぬた!
【参考資料】
講談社版 江戸川乱歩推理文庫31「怪人二十面相・少年探偵団」
日本テレビ 「少年探偵団」1975年10月4日~1986年3月27日
秋田書店 「魔界都市ハンター@」原作・菊地秀行 漫画・細馬信一 少年チャンピオン・コミックス