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<ブルーベリー栽培に困ったら>

このページはブルーベリー栽培を始めて3〜4年後以降の方を対象としています。
栽培がうまくいかないなあと感じていたら読んでみて下さい。
何かヒントがあれば幸いです。


<2007.06.05更新>

(3)試験栽培は必要(品種選定や土壌の見極め)、そして失敗は大事な経験となる

趣味の栽培でも3〜4本以上の同じ品種を植える場合があると思います。
またブルーベリー農園規模で栽培しようと思っているなら、なおさら試験的栽培は必要です。
植付けして品種の特徴(弱点とも言える)が出るまでに数年はかかります。
その後にまた大規模な植え替えをしなくてはならなくなると、時間も労力も大変です。
実際に今年は、水はけの悪い畑から砂質土の畑への成木の移動をしていますが、出来るならやりたくないのが本音です。
1〜2本程度であれば、やり直すとしてもそれほどダメージは少ないと思います。


品種の弱点
今回、品種の見極めで事例が出たので、土壌の件も含めてupしたいと思います。
昨年も実着きが極端に悪かったので、おかしいと気づいていました。
今年は、畑に頻繁に通って観察していたので原因がすぐにわかりました。
下の画像は今年のベッキーブルーです。(後ろは休耕田の麦です。)


たくさん着いていた花芽が遅霜のためにほとんどダメになっています。
僅かに残ったものが蕾になっていますが、まあ全然足りないですね。
ちなみに隣に植えてあるティフブルーの画像が下です。


まあ普通はこうでなきゃ困りますよね。
ちなみにベッキーの他にも霜に弱いダメな品種があります。
遅霜が降りる地域で露地植えがNGの品種
ベッキーブルー、アリスブルー、マグノリアの3品種です。(2007年現在の調査)
これらの品種は暖地では、この弱点は表れないものと思われます。
ゆえに現在までこの情報が伝わっていないのでしょう。(でも長野など寒冷地の苗木屋は、もう気づいているはず!)
結局、栽培者の間で情報を共有していかないと仕方ないですね。


土壌にあわせた品種選定
こればかりは、畑を自分で選べる場合は少ないでしょうから、その畑に合った品種を栽培しないと後で大変です。
下は雨が降った翌日の午後の第一畑の様子です。


全く水が退いていません。水はけが最悪の畑です。
元々、田んぼからの転作畑で、土盛りしてありますが粘土質の土で、常に湿っぽくなっています。
そのためハイブッシュ系は、植付けから年数が経つとともに根腐れの状態に陥ります。



左が雨が降ったときの状態と、右は枝枯れに陥ったハイブッシュの成木です。
植付け後、1〜2年くらいは保つように見えますが、その後一気に生育不良から枯れ死へ進んでいきます。
では、この畑ではブルーベリーの栽培は無理かというと、ラビットアイ系は、ほとんどの品種で普通の生育です。
上のベッキーやティフも植えている同じ畑での現象なのです。
これだけラビットアイ系とハイブッシュ系の根の強さは違うものなのです。
ラビットアイ系の栽培が可能な地域なら、このような畑ではラビットアイ系から品種を選定すると良いでしょう。
(2007.06.05)




春になり、このところ鉢植えで調子を崩したブルーベリーのご相談が増えてきました。
この機会に我が家の対処法を書いておきたいと思います。

(2)鉢植えで調子を崩したブルーベリーの処置

基本的に葉色が薄いとか、悪くなったりした場合、何らかの成長障害が起きていると思います。
ブルーベリーの本では、肥料を軽く施すように書いてありますが、ブルーベリー(特にハイブッシュ系)は植え替えするほうが安全策であると思います。
ブルーベリーの本にも載っていますが、鉢植えはいつでも植え替えができます。
この場合、調子が悪くなったのですから、花や実が着いていたら剪定してその年は我慢するのが安全でしょう。
植え替えの場合、根の形が見えるくらい用土は崩しましょう。
手でできなければ剪定バサミで長い部分を切りましょう。
根づまりの状態でしたら,根を切ることでそこから新しい根が出てくるものです。
植え替えしたら、その後は半日陰の場所で養生させましょう。
葉色は植え替えてから3週間から4週間ほどで、葉が緑色になり治ってくることがほとんどです。
葉が緑色になれば、日当たりの良い場所に戻して構いません。

それから、鉢植えのブルーベリー(特にハイブッシュ)は、基本的に毎年春に植え替えが必要です。バラなどと一緒です。
ブルーベリーは根の張りが弱いので、それを補うためにも毎年鉢を一回りずつ大きくしていくことです。
基本的に用土はピートモスと鹿沼土の混合が良いです。ピート6割に鹿沼4割くらいが目安です。
肥料は固形油かすが合っています。化成肥料では緩効性のものが良いです。
ごく普通の8−8−8の化成肥料で、すぐに粒が溶けるようなものは肥料負けすることがあるので注意が必要です。

具体的な流れとして、秋から春に2年生の苗を買ったら、最初は6号鉢に植えます。
次の年の春に8号鉢に。次の春に10号鉢に。次の春に13号鉢に、で鉢植えとして完成です。(CS40か50でも良いでしょう。)
その後は、根を一回り崩して、鉢の大きさはそのままで栽培を続けます。

左の画像は、我が家の調子を崩した7年生シェラです。
植え替えを何度もして、やっと新しい主軸枝(右側)が出てきました。
元気の良い新葉も出ていて、良い状態に見えます。
しかし古い主軸枝(左側)は、春になっても新葉はほとんど出てこなくなり、復活は難しいようです。
新しい枝も出てこなくなり、調子悪い典型ですね。
枯れていく場合は古い枝から、という原則どおりの形になっています。
この場合、古い枝は強剪定をすると、二年ほどで復活するとブルーベリーの本には載っていますので、このあと試しにやってみましょうか。
(2006.05.11)



その後のシェラです。
結局、切り返した古い枝からは枝は伸びてきませんでした。
新しい軸枝からはシュートも伸びて復活したようです。
(2006.09.26)




2000年の夏、県内のブルーベリー園に家族で摘み取りに行きました。開園して10年以上のところです。
その園はもう私の身長より大きい木がある一方、立ち枯れしている木の列もありました。
そのときは手入れをしていないからなのか、品種の差なのかと、漫然としか思わなかったのですが・・・。
今になってみるとブルーベリー、特にハイブッシュ系の栽培は難しいのだよと木が教えてくれていたのです。

(1)ハイブッシュ系、サザンハイブッシュ系の成長がうまくいかない
 このところ我が家に遊びに来る方からよく耳にするのは、ハイブッシュ系(サザン系も含む)の成長が遅い、なかなか思うように育ってくれないという声です。
これは我が家でもほぼ同様で、地植えにしてからそれほど木が伸びてくれないという状態になっています。
とくにラビットアイ系の木列と比べると一目瞭然で、こんなに差がつくものなのかと思ってしまいます。
原因については、いろいろとあるでしょうが、畑の土が元は田んぼのために粘土質で適していない、ハイブッシュ系、サザンハイブッシュ系の樹勢が強くない、などが上げられるでしょう。
特にサザン系は良いとこ取りの品種のように思われていますが、結局のところ樹勢はハイブッシュ系と大差ありません。

 では、どうすればいいのでしょうか。
ひとつはラビットアイ系の栽培を中心に変更するということです。
実際にハイブッシュ系の営利栽培がうまくいかない方は、ラビットアイ系への植え替えを行っているそうです。
ラビットアイ系の栽培は容易で、たいていの場合は改善されるでしょう。

もうひとつは、自根で栽培が可能なハイブッシュ系、サザン系の品種を中心に栽培するということです。
ハイブッシュ系、サザン系でも品種によって成長の差がかなりあります。その中で樹勢の強い品種にシフトしていくというやり方です。
これは、一般の苗木屋は全く公表していませんが、我が家では「栽培品種特性データ」の中で実際に栽培した結果を載せています。参考にしていただければ幸いです。

そして私が一番お勧めするのが、ラビットアイの台木にハイブッシュの優良品種を接ぎ木するやり方です。
接ぎ木スパータンを栽培して2005年で4年目になりますが、その樹勢の強さはまさに特筆するものがあります。
果実は品種の優れているハイブッシュ系で、成長は樹勢の強いラビットアイ系同様と、これこそが良いとこ取りの決定版です。
また暖地でサザン系の栽培をするより、休眠時間がクリアできれば接ぎ木ハイブッシュのほうがいい地域が多いのではないかと思います。
接ぎ木のやり方については、台木をある程度育ててからでないとうまくいきませんが、一度接ぎ木すると4年目でハイブッシュ系の自根の大きさを追い抜きます。何事も急がばまわれです。
左の画像は接ぎ木アーリーブルーです。
2005年春にラビットアイの4年生に接ぎ木して夏の状態です。


また我が家では2006年秋から、接ぎ木苗を販売できるように準備しています。
毎年、僅かしか接ぎ木苗は作れないと思いますが、この接ぎ木の良さを皆さんにもわかってもらえたらと思っています。
(2005.08.12)
















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