サマルトリアの王子とステキ(?)な親戚達

 

 

 

<はじめに>

この話はギャグ+ほのぼのです。

ドラクエ2の主人公sことロトの末裔の三人は基本的には仲良しです。

CPはロレムンなのかもしれません。いや、むしろムン→ロレです。

今回のお話におけるDQUのパーティーことロトの末裔どもの設定はこんなんです。

 

ローレシアの王子(ローレ)

*チビで童顔な15歳。ただし顔立ちは整っている。

*戦闘中は非常に頼りになるが、普段はワンコ系の天然ちゃん。

*仲間大好き愛され体質。

 

サマルトリアの王子(サマル)

*基本自分が一番だが世間様には猫を被っている20歳。ただし弟分のローレには甘い。

*それなりの格好をすれば理想の王子様タイプの容姿なのでとてもモテる。

*ムーンのローレに対しての言動に頭が痛い今日この頃。

 

ムーンブルクの王女(ムーン)

*黙っていれば美人な18歳。ローレにメロメロだがショタという訳でもないらしい。

*ローレ愛のあまり時々言動が変態化。よくサマルからツッコミを受ける。

*将来的には既成事実でローレを婿にし、ムーンブルクを復興したいと考えている。

 

 

↑のような阿呆設定でも大丈夫な方はどうぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 大神官ハーゴンの野望を阻止すべく、ロトの末裔達は力を合わせて世界を旅する。パーティー構成は剣力無双だけど魔法はさっぱりなローレシアの王子に剣も魔法もそこそこ使えるサマルトリアの王子、そして腕力はさほどではないが魔法が強力なムーンブルクの王女の三名である。ある意味お互いがお互いの足りない部分を補い合っているといえるメンバーだった。

 

「ロー坊、口の横に食べかす。」

「ん?」

 宿屋に泊った翌日の朝食。食堂で三人がテーブルを囲んでいる中、ローレシアの王子に話しかけたのはサマルトリアの王子ことサマルであった。因みに“ロー坊”とはサマルが彼を呼ぶ時のあだ名である。これはローレシアの王子がサマルより五歳も年下で幼少期からの付き合いがあるせいだった。

「ふむ?むーむ?」

「口の中の物がなくなってからでいい。」

キョトンとしながら片手で自らの顔を触るローレシアの王子ことローレの仕草にサマルは溜息を吐く。己がパーティーの中では年長者であるし、ローレの兄貴分であることも理解しているが、どうして彼は歳の割にこうも幼いのか。ローレは今年で十五歳になったはずなのだが、ハムスターのように口いっぱいパンパンに食べ物を放り込む姿は到底実年齢相応ではない。

(戦闘時は下手したら僕以上にしっかりしてるのにね・・・。)

はっきり言って戦うローレの姿は男の自分が惚れ惚れする位に格好良い。顔立ちはやや幼いが精悍で、それなりに整っている。白馬の王子様タイプとは程遠いが、男にも女にもモテるタイプと言えるかもしれない。性格は天然が入っているが、ムーンブルクの王女はそれが可愛いだのギャップ萌えだの叫んでいるため、マイナスポイントではないのだろう。

(まあ、ロー坊ってわんこ属性だしね。仲間大好きって全力で尻尾振ってるのが丸分かりだから、こっちもつい可愛くて構いたくなる感じ?ただ、素直すぎて誰かに騙されないかちょっと心配かも。)

共に旅をする生活も長いためか、何となく思考がローレの保護者なサマルであった。

「ここ?」

「違うわよ、ローレ。もうちょっと下。」

「分かんないや。ムーンちゃん、とって?」

「いや〜ん!今の首コテンとしたの超カワイイ!」

そして目の前にはローレの仕草にメロメロになって身悶えしているムーンブルクの王女。これでも花も恥じらう十八歳。黙って愛想笑いでも浮かべていれば十分な美少女である。現状は非常に残念な感じであるが。

「ロー坊。そこのふきんでも使えば?それとムーン、気色悪い。」

「分かった、サマル!」

「誰が気色悪いですって、このナル王子!?」

 素直に返事をして未使用の布で口元をぬぐうローレ。そしてムーンブルクの王女ことムーンはギロリとサマルを睨みつける。サマルはローレやムーンに比べると戦闘能力に突出していないが、それでも一般人よりは遥かに高みにある男だ。容姿も整っており、自らの頭脳に自信もある。身内に以外には猫を被っている為、普段はフェミニストとして振る舞っていた。当然のことながらムーンに対しては自分が一番の本性を隠すつもりはない為、常に歯に衣着せぬ物言いに晒されている。その分ムーンからも似非フェミニストだのナルシスト王子だの扱き下ろされていたが。

「サマルとムーンちゃん、仲良しだな。」

『どこが!?』

ムーンに胸倉を掴まれているサマルを見てこう言えるローレは大物なのかもしれない。異口同音に言い返した二人であるが、ローレにニッコリ笑顔で返されて二の句がつけられなくなった。

(ロー坊・・・この天然ちゃんめ!)

(可愛い可愛い!ローレ可愛い!!キュンキュンする〜!!)

結局の所、サマルもムーンも三人の中で一番年下なローレが大好きで可愛くて仕方ないのである。さしずめ弟を溺愛する兄と姉といった感じだろうか。ただムーンはあわよくばローレに対してアレコレしたいと思っているようで、それがサマルには悩みの種だったりする。

 

ローレシアの王子がムーンブルクの王女に襲われたとか、そういう醜聞は同じロト三国の一員としてちょっと・・・。)

 ムーンブルクの復興にローレシアの手を借りる口実としては、婚姻も一つの手だ。ローレはローレシア王の長子であり跡継ぎであるが、ローレシアの王家で唯一魔法を使えないことから、国内貴族からは第二王子を推す声があるのは事実である。ただローレの弟はまだ未熟な面もある上、ローレを全力で慕っているので兄弟仲は悪くない。そのせいか第二王子派も本格的に動きを見せていないのが現状だ。

(ロー坊は真面目だから、もしムーンと既成事実ができてしまえばムーンブルクへ婿入りする可能性が高くなる。例え手を出したのはムーンの方だったとしても。ロー坊がムーンを一人で放っておける訳がないし、仮にローレシアがムーンブルクに内政干渉したとしても、きちんと拒絶し全力でムーンを守ることだろうな。ロー坊は天然だけどそういう所しっかりしてるから。)

食事を続けながらサマルは考える。自らの弟分をいかにしてムーンの魔の手から守るか。別に両者合意の上でなら文句など言わないが、現在のローレとムーンの関係ではローレの気持ちが育ちきる前にムーンがコトに及びそうなのである。無理に流されて丸め込まれて結局責任が男のローレに大部分がきてしまうのは、彼が気の毒だろう。そもそも年長者としてはパーティー最年少のローレを守って導いてやることも場合によっては必要である。

(まあ、相手がロー坊じゃなかったら放っておくだろうけれど。)

あるいはローレにアプローチをしているのがムーンでなければさりげなく遠ざけているかもしれない。

 

「サマル、ムーンちゃん、二人はデザート何にするんだ?」

「ロー坊。金の無駄遣いになるから却下。」

「ええ!?」

「まあまあ、サマル。ローレ一人分くらいならいいじゃない。私達と違って前衛で、いつもいっぱい動くんだから。」

 そうこうしている内に、メインの料理を食べ終わる三人。さらにデザートを注文しようとしたローレにサマルが待ったをかける。ショックを受けて経込むローレ。まるで尻尾と耳がシュンと垂れてしまった犬のようだ。そんな彼に内心萌えを感じつつもフォローを入れるムーン。

「でも俺だけなんて・・・。」

ムーンの言葉に自分一人では申し訳ないと躊躇いを見せるローレ。しかしサマルからすれば本当はデザートを食べたいという気持ちがバレバレだった。

(全く・・・僕も甘いよね。)

「じゃあ、大きめの物を注文して三人で分けて食べようか。」

『サマル!!』

溜息一つ吐いて、サマルは宣言する。喜びに目を輝かせるローレが眩しい。そしてそんな笑顔を向けられている己にキツイ眼差しを向けるムーンの視線が痛い。サマルは面倒事はごめんだとばかりにどちらにも反応せず、ちょうど目が合った給仕担当スタッフを呼び寄せるのだった。

 

 

 

<後書き>

 自分の脳内では3rdパーティーなDQUの勇者の末裔三人組です。敢えて名前はまともに付けませんでした。お試しネタですので。個人的にドラクエ2(FC版)は初めてプレイしたRPGなので思い入れが深いです。とりあえずローレシアの王子が最愛。あのレトロな感じの映像とシステムに今だからこそトキメキます。特に復活の呪文。

 まあ、そんな感じでロト三部作とローレシアの王子への愛は詰まっているドラクエSSです。ご先祖様達の設定もいろいろあったりしますが、そちらは続編が思い浮かんだらということで☆

 

 

2012/01/28  UP