主な登場人物
【ガッシュ・ベル】
ひよこ組の男の子。明るく素直でひよこ組の先生である清麿が大好きな元気っ子。友達は多いが何故か
苛められっ子属性持ち(笑) 単純で泣き虫。実は金持ちのお坊ちゃん?
【高嶺清麿】
ひよこ組を担当する幼稚園の先生。怒ると怖いが面倒見がよく、子供達に懐かれている。因みに鬼麿変
化は言うことを聞かない子供達を従わせる伝家の宝刀(爆)
【ゼオン】
きつね組にいるガッシュの双子の兄。苛めっ子属性持ちな為かよくガッシュを苛めてしまう。先生達の
いうことをなかなか聞かないが、流石に鬼麿は苦手で素直に従う。実は清麿に懐いているかも?
【ティオ】
ひよこ組の女の子。気が強くて少々お転婆。勢い余って友達を泣かせてしまうことも(主に首絞め)
清麿に憧れを抱いている。姉の大海恵が大好き。
【グスタフ】
きつね組の担当者が諸事情により休職してしまった為、臨時で担当についている先生。本来はちゅーり
っぷ組を担当している。何はなくとも威圧感と存在感を標準装備(ぇ)
*とりあえず五人程紹介してみました。他のキャラについては次の機会に(あるの?)
さて、時間は一気に進んで、午後になりました。昼食を食べ、歯磨きを済ませた子供達はお昼寝タイ
ムを迎え、先生達は休憩時間となります。ひよこ組の子供達を何とか全員寝かしつけた清麿は職員用の
控え室兼休憩部屋へとやってきました。
「あ、グスタフ先生。お疲れ様です。」
「君もご苦労だったな。」
控え室には立派な口ひげが特徴的なグスタフという人物がいました。“男”というより“漢”という言
葉が似合う彼はきつね組を臨時で担当している先生です。魔界幼稚園でもベテランの内に入り、今年は
年長組全体の責任者兼ちゅーりっぷ組の副担当を務めていました。けれどもきつね組の担当者が諸事情
により休職してしまった為、急遽ベテランのグスタフがきつね組を担当することになったのです。また
場合によっては副担当がいなかったり、複数のクラスを担当する形になっている先生もいます。
「子供達はいつも元気が良くて、毎日大変だって思うんですけど、やっぱり嬉しいんですよね。俺を慕
ってくれているのが。」
ガッシュやティオを筆頭に清麿の元に集まってくるひよこ組の子供達。彼らの目の輝きが信頼に満ちて
いるのが感じられ、大変だと思いつつも、彼らの期待にこたえようと頑張ってしまうのです。清麿がや
や照れ臭そうに微笑みました。
「そうか。」
グスタフが静かに頷きます。そこへ・・・
カラカラカラ・・・
といった音と共に控え室の戸が開きました。誰か入ってきたのでしょうか。同じ職員でしょうか、それ
とも子供達でしょうか。ここに先生達がいることがあることは子供達にも知られているのです。そして
姿を現したのは銀髪の子供、ゼオンでした。
「清麿、俺に付き合え。」
「は?」
部屋に入ってきたゼオンは開口一番そんなことを言いました。思わず目が点になる清麿先生です。そ
もそも今の時間、子供達はお昼寝をしているはずです。
「これを読め。」
ゼオンは腕に抱えていた本を清麿に差し出しました。なかなか厚みのあるハードカバーの本です。表紙
に書かれた題名と作者名はアルファベットで記されてしました。どうやら原書のようです。
「“Nursery Rhymes”・・・マザー・グースか?」
適当な所で本を開けば『Mary had a little lamb(メリーさんの羊)』の文句が並んでいました。恐ら
くゼオンの私物であろうそれを手にして、清麿は彼を見つめます。
「俺は全部のメロディは知らないぞ?」
マザー・グースは歌あり早口言葉ありの伝承童謡です。イギリスの童歌とされているが英語文化圏の多
くの国で歌われています。また前述した『メリーさんの羊』や『きらきら星』、『ロンドン橋』といっ
た歌の和訳したものは魔界幼稚園でも歌われていました。
「別に歌わなくていい。朗読しろ。」
ゼオンは言います。いつもながら俺様な態度に清麿は苦笑いしました。そしてグスタフは一応自分が担
当の組の子供なのに黙って静観しているようです。
「読むのは構わんが・・・そもそもお前、まだお昼寝の時間だろ?ゼオン。」
「隣の奴のイビキが五月蝿くて眠れない。」
ムスッとして不機嫌そうなゼオンの態度。生意気ではあるものの、どこか子供っぽくて清麿は微笑まし
く思いました。
「グスタフ先生、宜しいですか?」
「君の好きにするといい。私は子供達の様子を見てこよう。」
そう言ってグスタフは控え室を出て行きました。残ったのは清麿とゼオンとマザーグースの本です。控
え室にいるのも他の先生が来た時に難なので、清麿は場所を移動することを提案しました。ゼオンが頷
くと清麿は彼の手を引いて移動を始めました。右手は本を持ち、左手はゼオンと繋いで、清麿がやって
きたのは多目的ホール。そこの壁に寄りかかるように二人は並んで座りました。
「最初からでいいのか。」
「早くしろ。」
「分かった分かった・・・。」
ゼオンに促された清麿は本を朗読し始めます。彼の発音は綺麗なクィーンズ・イングリッシュでうっと
りとしてしまうような響を持ち合わせていました。そう、ゼオンは彼のこの声の響がとても気に入って
いたのです。だからこそこうしてマザーグースを読んでもらおうとしたのでした。
この後、お昼寝から途中で目を覚ましたガッシュが清麿とゼオンが一緒にいるのを見て大騒ぎするの
ですが、それはまた別の話ということで。
<後書き>
正直、設定を考えている時が一番楽しかったです。各キャラをどんな形で配置してどういった設定を
つけるのか、出番がないだろうキャラまで妄想してしまいましたよ。ゼオンやグスタフがいるから当然
デュフォーやバリーの設定も作ってあることは作ってあるのです。基本的に魔物が園児で本の持ち主が
大人なパターンなんですけど、例外はもちろん存在します。例えばレインが園児でカイルが保護者なん
て組み合わせは流石に無理ですし。あとペア関係なしで単独で設定のあるキャラもいます。これまた出
番があるかどうか謎ですが・・・。
とりあえず書き終わってみて思ったことは地の文が久々にですます調で大変だったということです。
意外と苦戦しましたよ、これは。それからガッシュのセリフが平仮名とカタカナのみというのも意外と
やりにくかったです。もし続きを書く機会があったら多少変更を検討してみようかと思いますね。因み
にゼオンは普通に漢字喋りです。ティオは画数が少なそうな漢字だけ使用。