登場人物設定その2
【パルコ・フォルゴレ】
ひよこ組副担当の先生。歌と踊りが得意な元スーパースター。おおらかな人柄で幼児やその父兄からの 人気は高いが、セクハラな言動に一部からヒンシュクも(主に清麿)

【キャンチョメ】
ひよこ組の男の子。ガッシュの友達でフォルゴレに懐いている。フォルゴレと一緒に歌ったり踊ったり するのを率先するのも彼だ。小心者で泣き虫だが、やればできる子。

【ウマゴン】
ひよこ組の男の子。ガッシュの友達だが、言語能力がまだ未発達なせいか「メルメルメー」としか喋っ ているように聞こえない(笑) 気が弱く争いごとは苦手。でも気に入らない相手には噛み付く癖があ る。保護者のカフカ・サンビームは幼稚園バスの運転手でもある。

【コルル】
ひよこ組の女の子。やはりガッシュと仲が良い。心優しく大人しい性格。少し人見知りで、姉のしおり に一番心を開いている。

【カルディオ】
きつね組の男の子。ウマゴンと相性が良くないのか、会えば喧嘩を売り、追い掛け回すこともしばしば である。ウマゴン同様言語能力未発達だが、何故かお互いの言っていることは分かるらしい。

*今回はこの五人を紹介してみました。





ガッシュ君と清麿先生





 ひよこ組のガッシュ君は清麿先生が大好きです。どれくらい大好きかというと、大好物のブリと迷っ てしまうくらいです。両親は仕事が忙しくて構ってもらえず、兄のゼオンはあんな性格なので、ひょっ としたら家族以上に好きなのかもしれません。朝会えば一直線に駆け寄り抱きついたり、彼の身体をよ じ登ったりするのも、ガッシュ君の清麿先生への愛が長じてのことのようです。わー、愛って素晴らし いですねー(棒読み)

「キヨマロせんせい・・・?」

お昼寝から目を覚ましたガッシュはムクリと起き上がりました。けれども眠りに着く前に自分の頭を撫 でてくれた清麿がどこにもいません。キョロキョロと見回してみれば他の子供達はまだ眠っているよう です。部屋の隅ではひよこ組副担当の先生であるフォルゴレがうたた寝をしていました。けれどもガッ シュが大好きな清麿は見当たりません。途端にガッシュは寂しくてたまらなくなりました。

「キヨマロせんせい・・・どこにいるのだ?」

ガッシュは布団から抜け出すと、こっそりと部屋から外に出ました。廊下には人気がなくとても静かで す。その状況に不安を覚えつつもガッシュは歩き始めました。トコトコとあちこちを探し続けます。先 生達の控え室にはいませんでした。外にもいないようです。

「キヨマロせんせい・・・キヨマロ・・・ぬぅ・・・。」

ガッシュの目にじんわりと涙が浮かんできました。それでも何とか涙をこらえて進んでいくと、ガッシ ュは多目的ホールの近くに辿り着きました。するとどうでしょう。何やら聞き覚えのある声がします。 ガッシュは涙を拭うとその場で耳をすませました。

「Humpty Dumpty sat on a wall.Humpty Dumpty had a great fall.All the king's horses〜」

ガッシュには英語の為何を言っているか分かりませんでしたが、声の主が清麿であるということは分か りました。ひよこ組の教室にいなかった清麿はどうやら多目的ホールにいたようです。ようやく彼を見 つけたと思い、ガッシュは目を輝かせました。

「きよま・・・。」
「なあ、ゼオン。お前も聞いてばかりじゃなくて読んでみないか?」

ガッシュがいつものように清麿に駆け寄ろうと思った時、清麿は自分の隣・・・ガッシュのいるのとは 反対の方向にいた子供に話しかけました。そう、ガッシュからは清麿の影になって見えませんでしたが 清麿の隣にはゼオンがいたのです。ゼオンは清麿の申し出に怪訝そうな顔をしています。

(キヨマロせんせいと・・・ゼオン?なぜ、ふたりがいっしょにおるのだ??)

一方ガッシュは何故二人が一緒にいるのか分からず、目を丸くするばかりでした。どうやら二人で本を 読んでいるようです。ムスッとしているゼオンに清麿は先生らしい余裕のある笑みを浮かべました。そ れは遊びにゼオンを誘う為の布石でもあります。そして清麿は提案しました。

「ほら、この早口言葉。どっちが速く言えるか競争だぞ?」
「別に俺はまだやるとは・・・。」
「ほら、始めるぞ。よーい・・・Peter Piper picked a peck of pickled peppers〜。」
「あ、待て!・・・クソッ、Peter Piper picked a peck of pickled peppers;A peck of〜。」

清麿の後に続いてゼオンも本の文句を追います。スタートダッシュが効いたのか、それとも元々滑舌が いいのか、清麿になかなかゼオンは追いつけません。そしてとうとう追いつけないまま二人はその詞を 読み終えてしまいました。

「く・・・ずるいぞ、貴様!始めるのが一緒なら負けなかったはずだ。」
「じゃあ、もう一回勝負するか?」
「する!」

それが納得できないゼオンの抗議により再勝負決定です。

「それじゃあ、よ〜い、スタート!」
『Peter Piper picked a peck of pickled peppers;A peck of pickled peppers Peter Piper picked. If Peter Piper picked a peck of pickled peppers・・・。』

今後はほぼ同時の出だしで清麿とゼオンの早口言葉勝負の開始です。そして・・・

「また負けたー!?」
「はっはっは、まだまだ甘いな、ゼオン君。」
「もう一回だ!」
「よし、いいだろう。」

またもやゼオンが負けたことをきっかけに二人の早口言葉合戦は激化しました。そんな彼らの様子を唖 然としたままガッシュは見つめています。喧嘩腰なのに何故か楽しそうに見える二人の遣り取り。それ を見せ付けられたガッシュは何だか悔しい気持ちになりました。

「ゼオンばっかりずるいのだー!」

 とうとう我慢できなくなったガッシュは清麿に突撃しました。弾丸のように飛び出したガッシュは清 麿の首にかじりつくように抱きつきます。その時グエェ・・・と何だか苦しそうな声がしたのは彼の耳 には入りませんでした。幼児と言えども力任せに首を絞めるのは止めましょう。

「キヨマロせんせい、ワタシとあそんでくれなのだー!」
「おい、邪魔するなガッシュ。今は俺が清麿に [これ]を読んでもらってるんだぞ。」
「そんなのしらないのだ。キヨマロせんせいはワタシのせんせいなのだ!ゼオンはきつねぐみなのだか ら、ごほんはグスタフせんせいによんでもらえばいいのだ。」
「うるさい!俺は清麿に読んでもらいたいんだよ!?」
「だめなのだ!こんなところでキヨマロせんせいをひとりじめするゼオンはぬけがけなのだ!」
「抜け駆けがどうした!清麿から離れてさっさとどっか行け!」
「いーやーなーのーだー!!」

ガッシュとゼオンは清麿を挟んで言い争います。間にいる清麿からすれば煩いことこの上ありません。 どうしてこの双子はいつもこうなのでしょうか。喧嘩する程仲が良いという言葉はありますが、それは 第三者として見るから気楽に受け止められるのであってそうでない場合は迷惑極まりないとちょっと清 麿は思いました。

「ゼオンのバカー!」
「誰が馬鹿だ、この阿呆ガッシュー!」

そしてとうとう取っ組み合いの喧嘩に発展してしまいました。どうやら元気が有り余っているようです ね。理由はまさしく子供の喧嘩だというのに・・・。

「お前らなぁ・・・この、いい加減にしろー!!」

まあ、結局の所、鬼麿先生の雷が落ちて、喧嘩が強制終了になるのはいつものパターンです。





「ガッシュ、聞いたわよ。またゼオンとけんかしてキヨマロ先生に怒られたって。」
「ウヌゥ・・・ティオ、キヨマロせんせいはやっぱりおこるとこわいのだ。」

 ひよこ組の教室の隅で一人チョコンと体育座りをしていたガッシュにティオが声をかけました。ガッ シュが見るからに落ち込んでいていたからです。ガッシュは清麿に怒られてからちゃんと謝ったのです が、今回は清麿がなかなか許してくれなかったせいもありすっかり経込んでしまったのです。結局清麿 には許してもらえたのですが、一番大好きな笑顔で許してもらえなかったことがガッシュの落ち込みに 拍車をかけていました。

「それにキヨマロせんせいはワタシをおいてきつねぐみにいってしまったのだ・・・。きっとゼオンに あいにいったのだ!キヨマロせんせいはワタシのなのにー!」
「違うでしょ、ガッシュ。キヨマロ先生はひよこ組みんなの先生よ。」
「でもワタシのせんせいなのだ・・・!」

ティオの言葉にガッシュは唇を尖らせて反論しました。なお、清麿がきつね組に向かったのはゼオンの マザーグースの本を彼に返す為であったりします。そんな事情はひよこ組のお子様達は知らないようで すが。

『てーつーのフォルゴ〜レ〜、むーてーきフォルゴ〜レ〜♪』

教室の中央ではひよこ組副担当の先生であるフォルゴレが園児達と一緒に歌っています。

「さあ、キャンチョメ。それにウマゴンも。もっと大きな声で!」
「てーつーのフォルゴ〜レ〜♪」
「メールーメル、メルメルメー♪」

こちらは何だか無駄に楽しそうな感じでした。

「ガッシュちゃん、泣いちゃダメ。きっとキヨマロ先生、もう怒ってないよ。それにガッシュちゃんが 泣いてたら、きっとキヨマロ先生、心配しちゃうよ?」
「コルル・・・。」
「そうそう、コルルの言う通りよ。キヨマロ先生はやさしいんだから。それにちゃんと反省してあやま ったらいつだってゆるしてくれたじゃない。」
「ウヌゥ!もう、なかぬのだ。」

そしてガッシュも友達のティオとコルルに励まされて何とか立ち直った様子です。友情って良いもので すね。

「パルパルモーン!」
「メル!?」

 そんな感じで一件落着しかけた所で、ひよこ組に侵入者です。一番に反応したのはウマゴンでした。 やってきたのはカルディオ。ウマゴンの天敵ともいえる存在です。ウマゴンは咄嗟に自分の近くにいた キャンチョメの影に隠れました。体格の都合上隠れきれていませんでしたが。いつもならガッシュの後 ろで庇ってもらったりもするのですが、肝心のガッシュが側にいないので仕方がありません。

「やあ、カルディオ!君もこのイタ〜リアのスーパースター、パルコ・フォルゴレの歌を聞きにきたの か〜い?」
「パルパルモーン!パル!パル!」
「メルー!?」
「そうかいそうかい、じゃあミュージック、スタート!」

フォルゴレが指を鳴らすとキャンチョメがラジカセのスイッチを押しました。そして流れてくるメロ ディ。怒り出すカルディオ。さらに怯えるウマゴン。踊り出すフォルゴレとキャンチョメを含む他の園 児達。微妙にシュールな光景です。

「そもそも何できつね組のカルディオが ひよこ組[ここ]にいるのよ。」
「グスタフ先生がいるなら勝手に教室出ていかないよね・・・?」

そんな彼らを不審そうに見ているティオと不安そうに見つめるコルル。

「パルパルモーン!」
「メルメルメー!?」

そうこうしている内にカルディオがウマゴンの方に走ってきたので、驚いたウマゴンは慌てて逃げ出し ました。歌い踊るフォルゴレ達の周囲をグルグルと走り回り、ウマゴンとカルディオの追いかけっこは 続きます。というか、こういう場合フォルゴレ先生が止めるべきなのでは・・・?

「メル!メルメルメー!!」
「パルパルモーン!」
「あ、こっち来た!」
「が、ガッシュちゃん・・・。」
「う、ウヌゥ・・・コルル達はワタシの後ろに下がっておるのだ。」
「あ、危ない!」

そしてガッシュに助けを求めにきたウマゴンが止まりきれずガッシュにぶつかり、ついでにカルディオ も勢いのままに突っ込み、三人揃って頭をぶつけて目を回す羽目になるのでした。注意一秒怪我一生。 車も人も馬も急には止まれません。



 因みにその頃のきつね組は臨時担当であるグスタフがいないせいで、清麿が帰るに帰れなくなってい ました。さらにゼオンがここぞとばかりに清麿に構えと所望してくるのです。

「何でグスタフ先生がいないんだよー!?」
「グスタフはちゅーりっぷ組のバリーが暴れていると聞いて出ていったぞ。それより清麿、本の続きを 読め。」
「ちょっと待て、ゼオン。勝手に出ていった奴がいないか確認するから・・・。」
「キヨマロ先生、カルディオがいないよ〜?」
「何ぃいい!?」

どうやらこっちはこっちで大変みたいです。





<後書き>
 一応ゼオンは簡単な英語なら分かるという設定だったりします。でも詩って響や韻を楽しむものも多 いですから、多少意味が分からなくても何とかなると思われます。もちろんガッシュは英語どころか日 本語ですら時々さっぱりです(笑) というか、このガッシュ→清麿←ゼオンな構図は何事!?確かに 水無月、赤本と銀本の仲良しネタとか嫌いじゃないですけど・・・。実はガッ清とかもイケる口だと最 近気づきました(爆) ほのぼのやギャグなら清麿は多少他の組み合わせも平気だったみたいです。で もブラゴはシェリー以外との組み合わせがないですね。自分の趣味の都合上。あとウォンレイもリィエ ン以外はないですね。これは間違いなくオフィシャルですし。


2007/09/01 UP