夏は 変 恋のキ・セ・ツ☆
ラブ☆ラブ♪パニック!
「シェゾーーーっっ!!愛してるーーーーっっっ!!!」
「スティンシェイド!!」
こうして、シェゾの一日は始まった。
「チッ。一体何事だ?コイツがイカレてやがんのはいつものことだが…」
愚痴るシェゾの足元には、謎の黒コゲ物体A。
さり気なく人の形をしているような気もするが、インテリアとしては不向きだろう。
シェゾもその物体Aを飾っておく気はないようで、少々乱暴な手つきで麻袋(巨大)に押し込める。
さらにロープでぐるぐる巻きにし、力の限りしめつけ、転移魔法で海に行き鉛を付けて沈めた。
そこでやっと息をつくシェゾ。
「ついでだし、街でメシを食うか」
…ここでもし家に帰っていれば、この後巻き込まれるやっかいごとを、回避できたのかもしれない―― (いや無理か)
「な…!」
街にたどり着いたシェゾが見たもの。それは
「ジャンーー!愛してるーーーっ!!!」
「ブレア、すきだあああああ!!!」
「あのね、わたしね、あなたのこと、ずっと、ずっと…好きだったんじゃああっっ!!」
「おまえは俺と付き合うさだめなんだそうだろうおおおお!!!」
「ラブ!イズ!オォーーーールッッッ!!!」
地獄絵図と化した街だった。
「く、狂ってやがる…」
青ざめ、本能的に後ずさりするシェゾ。
その背(むしろ尻)に軽い衝撃。
「な!?」
「あら、おにいたん美形ね…。ねえ、あたちとケッコンちない?」
シェ ゾ は 戦 りつ し た 。
「な、ななな!?」
あまりの出来事に思考が止まりかける。が
ずどごーーーーんっ!!!
突如聞こえてきた爆発音で我に返る。
振り向く先には、巨大なキノコ雲。
「あれは…アルルか!?」
<公式:キノコ雲=アルル+じゅげむ>
シェゾは確信と共に、森へと走り出した。
「んもーっ!キミたち一体何なワケ!?シェゾの弟子!?!」
森ではアルルが、魔物人間問わずに追い詰められていた。
「コラ待てテメー今のどういう意味だっ!!」
「げげっ、シェゾまで!?ダイアキュートっ!!」
「待てっ!俺は正気だじゅげむはヤメロ!!」
「キミはいっつも正気じゃないでしょ!!」
「コロス!ぜってーコロス!!フレイムストーム!!」
「なんのっ!アアイスストーム!!」
ドウンッ!!
シェゾの放った火炎は、アルルの放つ氷雪と激突、相殺。
周囲に高温の水蒸気がふき荒れる。
…ようやく蒸気が風に流され、視界がはれたそこには
「…あれ?」
「…ん?」
アルルとシェゾ、二人しか立つ者はいなかった…。
「…まあいっか。それよりシェゾ、このヒトたち、知り合い?」
「いいのかよ。…一応理由を聞こうか」
「だっていきなり”お前がほしい”とか”オレのものになれ”とか言ってきたし」
「お前のその説にいろいろ言いたいことがあるんだが」
「うん、後にして。でもシェゾの親戚とかじゃないなら、一体…」
「よしテメェ、後で校舎裏来い!
そしておかしくなってんのはアイツらだけじゃないぜ」
「ええっ!?」
驚がくに顔をゆがめるアルル。
「そんな!この世がシェゾみたいな変態ばっかりになってるなんてっ!!」
「お前とは今度朝まで生討論してやる。だから今は話を進めさせろ」
意外と冷静にツッコミをいれるシェゾ。
闇の剣がその手に握られているのは、ご愛嬌だろう。
「生討論は遠慮するとして、本当にみんなおかしくなってるの!?」
「ああ。少なくとも、そこの街のヤツらはおかしくなってたぜ」
「うわ〜。ボクはちょうどここ一週間旅に出てたんだよね。よかった〜」
心の底から安堵するアルル。その背後には、じゅげむによる巨大なクレーター。
…果たして助かったのは、街かアルルか…。
「よかったって…状況わかってんのか?テメーだって街に用があるんだろ?」
「うん、それはそうなんだケド…元凶に心当たりあるし」
「ああなるほど…確かにな」
「でしょ?ちなみにウィッチじゃないからね。規模が大きすぎるし」
「ああ、知ってる…ヤツの標的はほぼ俺だ」
「そうだったね。じゃあさっそく、さくっと殺っちゃう?」
「殺る殺るー」
どちらともなく顔を見合わせ、二人は同じ方向に歩き出した。
いやに黄色い怪生物が目に付く豪奢な部屋の中。
男が一人、その端正な顔を物憂げにくもらせていた。
「…大変なことに、なったなぁ…」
「うらっ!やっぱりテメーの仕業かーーーっっっ!!!」
どがしゃぁぁん!
バキィッ!!
「はべしっ!?!」
シェゾの飛び蹴りがきまった!
サタンに360のダメージ
「なな、いきなりナニをするかキサマっ!!」
激怒するサタン。その肩に、背後から…
ぽん。
「…ボクも、いるんだ…v」
サタンの頭にのぼっていた血が、一瞬にして地に落ちる。
「ア、アリュリュ…さん。ご機嫌麗しゅう?」
「うん、超ゴキゲン♪ねえ、シェゾ」
「ああ!つられて笑い出しそうなほどの笑顔だぜ、サタン」
「うそこけーーーっ!だったらキサマの顔はどうしてそんな凶悪そうにゆがんでおるのだ!!」
「じゃあ…自分の目で確かめなよ」
ガッ!後ろから、サタンの両頬をガッチリはさみこむアルル。
「おおおオマエがそんなに積極的なのは大変喜ばしいことなのだがワタシにも心の準備というものがあったりなかったりイヤー!そんなに強く引っぱらないでー!もげる!顔がもげる!!っていうかワタシの話を聞いて下さいお願いしますこれには深いワケが超感動秘話があるんです本当に!!」
すでに恥も外聞もなくなったサタン。
「5秒で話して」
「そうアレはワタシが…って話せるかボケェーーーっっっ!!!」
「そうか」
「ぎゃああああ!シェゾ!ワタシは男に迫られても嬉しくもなんともないぞやーい変態ヘンターイこれ以上変な噂をたてられたくなかったらここから出て行けってか頼む!アルルを止めて!!」
「はい時間切れー」
「ぎゃーーーーーーー!!!!!」
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・
「ふうっ、粛清完了♪お疲れっ、シェゾ!」
「フッ…ああ」
土台だけを残し、消滅したサタン城。
そこで謎の黒コゲ物体Bを踏みつけつつ、和やかに会話するアルルとシェゾ。
「それにしても…お魚、しばらく食べられないね…」
「肉を食えばいいさ。野菜だってある」
「そうだね…」
くだらない、理由だった。
粛清の最中、サタンが語ったところによると…
「すけとうだら!すけとうだらのためだったのだ!!がふあっ!たまたまあ奴の”ラヴ☆愛しのあの子に胸ドッキュン、ドキドキハートが止まらないああこの胸の内彼女に伝えたいぜノート6”を拾ってしまゴフッ!ああこの者は勇気が持てうぐおっ!だから海にはぶっ!場所がわからんから周辺中広範囲にぐっはあっっっ!!!」
回想終了。
とにかく、そんなワケだった。
「お肉に野菜か〜…あっ!じゃあ今日はカレーにしよーっと!」
「カレーか…そいつはいいな」
「そうだ!ねえキミも良かったら食べにおいでよ!うんとおいしいの作ってあげる!!」
「断る、と言いたいところだが…正直腹ペコで倒れそうだ…」
「大変っ!じゃあ急いで帰ろう!お菓子もあるから食べててよ」
「ああ…転移するからこっちこい」
「うん!」
一瞬だけ、寄り添った影と影。
まばたきひとつの間に、かき消える。
その影が消えた地面には
ひゅるるる〜
黒コゲ物体Bが、切なげに風に吹かれていた…。
余談
「セ、セ、セリリちゃぁーーーんっっ!!ふぃーーっしゅ!!!」
「え、き、きゃああああ!!!いぢめないでえええっっ!!!」
バッチィィィン!!
「ぎょっぎょっぎょ〜」
ガタガタガタガタ…たた、大変長らくお待たせいたしました!ブルブルブルブル
てゆーかSUNみたいって、どこが!?ラグナスあれだけ!?
こんだけ待たせといてコレかよ!?!
あ、あれ?幻聴??それとも自分読心に目覚めた!?
文句苦情命令いつでもドウゾm(_ _)m
2005.7.3
<コメント>
【夢見堂】のみゅう様の所でカウンタ4000のキリ番を踏んだ際に自分がリクエストさせていただいたものです。因みに内容は『SUNみたいな感じでサタンが何か阿呆をやらかし、シェゾとアルルが共同戦線を張って粛清に行く』というものでした。シェゾとアルルのコンビ物(しかもカップリングではなく友人設定)という指定までしてしまい、何だか難しいことになってしまったようです(死) みゅう様本当にありがとうございました!
それにしてもアルルとシェゾのセリフの掛け合いがいかにも喧嘩友達という感じがして秀逸です。サタンも含めて嵐のようなボケ・ツッコミが面白かったですね。因みに初めに出てきた黒コゲ物体Aはラグナスなんですよ。夢見堂はラグシェ&シェウィがメインですからv ラグは爆走片思いなんですよ♪
2005/08/04 UP(取得は2005/07/18)