世界は今、まさに混沌へと回帰しようとしていた。
しかし、それに立ち向かう者たちがいた!
一人の魔女の導きによって誕生した、二人の救世主。
この先二人を待ち受けるものとは、
栄光の未来か、それとも――!?
(※とにもかくにも最終決戦らしい)
バーン!!!
ズカズカズカズカ
「おお、アルルではないか!よく来はべしっ!?!」
アルルは何も言わずサタンをぶん殴る。
ヘタにじゅげむを撃つよりよほどキツイ。
「なな、いきなり何をするか我が后よ!?」
「黙れ」
「黙れ!?一体どうしたというのだアルルよ!」
「うるせえ、黙れ」
「うおう!?シェゾ何故ココに!!さてはキサマが我が后に汚い言葉を教えたな!?!」
『とにかく黙れ』
アルルの右ストレートとシェゾのハイキックが炸裂した。
「あのー、ここは冷静に話し合うべきところではないだろうかと思うのだが」
「ボクはいたって冷静だよ」
「冷静でロープぐるぐる巻きデスカ?」
「なんなら逆さに吊るしてやるぜ」
「キサマは変態だからな。趣味なんだろう?」
ギリギリギリギリ…
「いや!ウソだ冗談だ!!だから本気で逆さにしないでくれっっ!!!」
「ねえ、サタン…ボクが怒ってるのは、わかってるよね?」
「この状況で分からなかったらスゴイぞ」
「なんでだかわかる?」
アルルの笑みすらたたえた問い(怖)に、しばし考えるそぶりを見せるサタン。
「うーむ…お!そうか!!」
「わかったの?」
「ああ!なんだ、そんなことなら早く言ってくれればよいものを…」
「…サタン?」
「相変わらず我が后は奥ゆかしいなあ!」
一人で悦に入るサタン。当然ぐるぐる巻きのまま。
「おいアルル、コイツ絶対何か勘違いしてるぞ」
「ボクもそう思う。シェゾ、準備しといて」
「うんうん、ワタシが悪かった!」
「魔導酒じゃなく、ももも酒が良かったのだな!!!」
「わかってなーい!じゅげむーーーっっっ!!!」
「わかってねえっ!アレイアード・スペシャルッッ!!!」
…サタンは、夜空の星になった。
「はあ、はあ…まったく、毎度毎度迷惑な…っ!」
「迷惑だと気付いてねえからタチが悪ぃ…!」
「ほんとにね…アレ?シェゾ、見て!!」
そう言うと、アルルは疲れも忘れベランダに駆け寄る。
「何だよ、今度は飴でも降ってきたか?」
「違うよ!ホラ見て!!」
「…ほう!」
アルルの隣に立ち、シェゾが見たもの。
「キレーイ!」
それは、雲が吹き飛ばされて顔を出した、まんまるお月さま。
「そうか、今日は満月か…」
時を忘れ、久しく目にしていなかった月に見入る二人。
「あ、そうだ!」
「今度は何だ」
「えっへへ〜、イイモノがあるんだー♪」
ふところに手を突っ込み、しばらくごそごそやっていたアルルが、一つのビンを頭上にかかげる。
「じゃじゃ〜ん!魔導酒〜!!」
「…オイ」
脱力するシェゾ。
「よりによって魔導酒かよ…」
「だって、こんなに月がキレイなんだよ?お酒飲まなきゃもったいよ!」
「…まあ、な」
「でしょ?…ハイ、シェゾの分」
「…ん」
シェゾは素直に、アルルから渡されたビンを受け取る。
「へへへ〜、じゃ、カンパイといきますか!」
「そうだな。…何に乾杯する?」
「そうだね、ボク達の勝利と…」
言葉をとめ、月を見上げるアルル。
「…このキレイな月に…カンパイ☆」
カチン☆
微笑み、軽くガラスを触れ合わせる二人。
そんな二人をいつまでも、月は、優しく照らしていた…。
<コメント>
【夢見堂】のみゅう様の元でフリーだった小説です。正式名は『魔導(酒)物語』?元々の発端は水無月がキリ番リクエストしたシェゾ&アルルのコンビ物だったようですが、こちらも面白いです。以前戴いたキリリク小説と並べておきましたので、比べてみるのもいいでしょう。
なお、各話に置かれていました作者様の短いコメントはこちらのサイトを拝見した方が誤解を抱かないよう、便宜上削除させていただきました。
2005/09/01 UP(取得は2005/08/31)