魔導学園物語4
七月某日、魔導学園は夏休み。アルルとD・アルルの家に部活の終わったDシェゾとラグナス、そして彼らに引き摺られて来たシェゾがいた。幼馴染五人が揃ってすることといえば夏休みのレクリエーション計画だった。
「はーい、ボク、今度の花火大会行きたい!」
アルルが挙手して発言。
「花火大会?月末のだよね。神社の縁日兼ねた。」
「うん、そう!」
D・アルルの確認をアルルは肯定。
「俺たちも夜なら平気だよな。」
「ああ、問題ない。」
ラグナスの確認をDシェゾは肯定する。
「俺は行かん。」
『何で!?』
シェゾの言葉に他の四人はかなりの剣幕で抗議してきた。
「外は暑い。」
「な、夏が暑いのは当たり前でしょ!?」
「しかもそんな理由かよ!?」
「駄目だよ!そんなんじゃこの夏どこにも行けないじゃないか!?」
「それにクーラーばっかり当たっていると体に悪いんだぞ!?」
「むう・・・。」
シェゾの答えに四人は納得いかない模様。
「じゃあ仕事入れる。」
『もっと駄目だー!』
四重奏で即ツッコミが入った。シェゾには協調性というものがないのだろうか。
「ボクは絶対シェゾと花火に行くんだー!」
「俺だって!」
アルルとラグナスの心の叫び。
「シェゾは帰ってきてから仕事ばかりだからたまには遊んでもいいと思うぞ。」
「昔みたいに五人で遊ぶのもいいんじゃない?」
D・シェゾとD・アルルの誘い。
「う・・・、まあ、急に仕事が入らなければ・・・行く・・・・・・。」
四人の視線に負けてシェゾは花火に行くことを承諾した。
「他にどこか行きたい所がある人〜。」
「俺、海行きたいなあ。プールでもいいけど。」
D・アルルの言葉にラグナスが言った。その視線はどこか夢見るようで、シェゾから離れなかった。良く言えば熱い、悪く言えば粘着質な視線である。視線にさらされた当の本人であるシェゾは気づいていなかったが、それに気づいたアルルとD・シェゾは密かに、だが最大限に警戒した。D・アルルは気づいていたが話の腰を折らないために言葉を続ける。
「して、その心は。」
落語か何かのような問いかけにラグナスは爽やかな笑顔でこう答えた。
「シェゾの水着姿が見たいから!」
『は?』
ラグナスと彼の真の意図を理解していないシェゾを除いてその場の空気が凍りつく。その間にもラグナスの妄想は展開していた。
「日焼けしていない白い肌も捨てがたいけど、やっぱ鎖骨だよな〜。それから水着の隙間から見える腰骨v くぁ〜、たまんねえ。痕つけてやりてぇ・・・。」
『あ、あ、あ・・・阿呆かぁああああああああ!!?』
「グハッ」
アルルとD・シェゾは怒りのあまりにラグナスに殴る蹴るの暴行。
「お、おい・・・?」
「放っておきなさい。一種のスキンシップよ。」
「しばらく見ない内に随分と過激になったんだな。」
彼らの態度に戸惑うシェゾにD・アルルは言った。自分が海外にいた間、彼らに何があったのだろうか。少々カルチャーショックというかギャップを感じずに入られないシェゾであった。
「ま、まあラグナスの馬鹿の言うことは置いといて、海に行くのも悪くないよな。」
「プールもテーマパークの屋内プールなら気温や設備も快適だよね。」
「・・・・・・。」
「・・・多分誤魔化しきれてないわよ。」
D・シェゾとアルルは笑顔で誤魔化したが、お茶を濁すにはちょっと苦しかった。
「じゃ、じゃあそれについてはおいおい考えるとして、シェゾは何かリクエストないの?せっかく日本に戻ってきたんだし、行きたい所とか、やりたい事とか。」
「それもそうだね。あんまり遠いと難しいかもしれないけど、近場で出来る範囲で何かある?」
アルルの提案をD・アルルも賛成した。
「行きたい所・・・?」
彼女達言葉にシェゾは首をかしげた。D・シェゾといつのまにか復活したラグナスも彼に注目する。
「・・・ゲームセンター?」
何故か語尾を疑問形にしてシェゾは言った。
「ゲームセンター!?」
「何でまた・・・。」
四人にはシェゾの意図が理解できなかった。
「に、日本のゲームは新作なんだ・・・ろ?」
【か、可愛い・・・!】
照れくさそうに言うシェゾに不覚にもアルル、ラグナス、D・シェゾはそう考えてしまった。一方D・アルルは何やら得心を得たかのように口を開いた。
「ああ!日本のゲームの方がアメリカより進んでるもんね。シェゾはゲーム好きだったの・・・というか、よくやるの?」
「向こうの友達が持ってたからたまに。日本のゲームは結構人気あるぞ。」
「じゃあ、今度みんなで行ってみようか。僕はあんまり行ったことがないけど、D・シェゾやラグナスは詳しいでしょ?」
「そんな詳しいって程じゃないけどな。」
「最近は部活が忙しくて行ってないしね。」
「それじゃ、今度みんなで遊びに行こうね!」
アルルの言葉に今度こそ全員が合意した。夏休みはまだまだ長い。
<コメント>
この間ラグシェサイトさんを拝見したせいか、妙にシェゾが誘い受けっぽく・・・(死)
そして特にヤマもオチもない・・・801か?意味は別の話の繋ぎとしての存在でしょうか。つまり80・・・?訳分かりませんな。書きたい話が後につかえているのでジャカジャカ続きを書かなくてはいけません。それにしても何だか幼馴染五人の構図が見えてきた気がします。天然シェゾに兄バカD・シェゾ、妄想ラグナスにクールなD・アルル、そして我儘な恋する乙女のアルル。DシェDアルが全然出てきてませんね、今回は。前提として存在しているのですが。ふと思ったのですが、アメリカは同性愛者が少なくないと聞くのに何でシェゾは気づいていないのでしょうね。きっと狙われてはいたのだろうけど(笑)
2005/09/01 UP