いつに間にか悲鳴も聞こえなくなった頃、ルーンロードを怒突き倒し(?)随分とすっきりした表情で顔を上げたのはシェゾ。いかにも一仕事やり終えましたといった充実した笑顔である。Dシェゾとサタンは暇だったので家からチェス台を引っ張り出し、高度な頭脳戦を繰り広げていた。実はサタンたちも初めはルーンロードを冷やかしていたのだが、事細やかに描写するとR指定がつきそうな残虐シーンの連続に、いい加減飽きたのである。正直彼らはスプラッタなんて見飽きていた。そうやって戦い抜いて生きてきたのだから当然と言えば当然である。それにしてもシェゾは相当ルーンロードを恨んでいたようだ。テレビ放映だったらモザイクシーン確実な状態となったルーンロードの肉体(仮)が脇に転がっている。

「おい、サタン。これもう持って帰っていいぞ。」

「ん?どれどれ・・・。」

ちょっと気持ち悪いくらい爽やかな笑顔で話しかけてくるシェゾにかなり後退したい気分になりながらも、ルーンロードの様子を見遣るサタン。そして後に続くDシェゾ。

『・・・・・・。』

そこにはお食事中の方には果てしなく申し訳ない光景が鎮座していた。これ以上このことに触れるとこの作品が奈落行きになっちゃいそうなので以下自粛。

「それで、サタンからのプレゼントには満足できたのか、オリジナル。」

「まあ、それなりにな。」

「そ、そうか・・・。」

表情を引き攣らせるサタンたち。

「ではこれは私が引き取るとしよう。」

 サタンがパチンと指を鳴らすと、元ルーンロードの体(仮)であった汚物が消え去った。今回唯一まともなサタンの見せ場かもしれない。

「それからこれはついでだ。」

そう言って再び指を鳴らすとシェゾの持っていた闇の剣がドロンと変化を起こす。急に手から離れた感覚に眉を顰めるシェゾ。モクモクとした紫色の煙が晴れると、そこに立っていたのは一人の青年だった。褐色の肌に白色の髪、瞳の色は黒。シェゾやDシェゾのような黒装束で身を包んでいる。マントは無いが。青年は呆然と立ち尽くしていた。

「誰だ貴様は・・・。」

「あ、主・・・。」

驚愕の色を浮かべてシェゾを見遣った青年の声には聞き覚えがあった。いや、聞いたと言うよりは昔からシェゾの頭の中に響いていた声だ。

「お、お前はまさか・・・闇の剣・・・か?」

「・・・・・・。」

恐る恐るシェゾが尋ねる。対する青年は混乱しているのか無言だ。そんな中でDシェゾがサタンに目を向ける。

「人間の形態はどうだ?闇の剣よ。」

「サタン!」

「魔王・・・やはりおぬしの仕業か・・・・・・。」

「剣の姿では何かと不便だろう。今夜はせいぜいお前の主を祝ってやるといい。」

サタンの言葉に青年こと闇の剣とシェゾが睨みつける。

「心配せずとも、零時を過ぎれば元に戻る。では、さらばだ!」

「あ、ちょっと待てサタ・・・。」

呼び止める暇を与えずにサタンは姿を消した。残されたのはシェゾとそのドッペルゲンガーと闇の剣(人型)である。

「それでどうするのだ、オリジナル。」

「我はどうすればいい、主よ。」

どうすればいいかと聞かれてもシェゾだって困る。

「あー・・・とりあえず、飯にするか?」

「わかった。」

「・・・我も食すの・・・か?」

シェゾの言葉に頷くDシェゾと首を傾げる闇の剣。

「いいんじゃないか?何事も経験だぜ、相棒。」

「そうなのか・・・?」

シェゾが闇の剣の肩を叩くと、家に入るよう促した。この世に存在して●年、生まれて初めて自らの足で大地を踏んだ闇の剣であった。ついでに口で食事をするのも。

 

 

 

 その日シェゾの家では夜遅くまで賑やかだったようである。

 

 

 

 

 

 

結論=今回の闘いの勝者は・・・Dシェゾと闇の剣(そしてある意味サタン)