注意:この話はちょっとネタバレで、我愛羅救出途中に尾獣の話が出た後を想定しております。

 

 

 

 

 

ヒメミコとビジュウ

姫巫子と尾獣

 

 

 

 

 

 かつて『神威』と呼ばれる伝説の術を伝える一族がいた。神威とはその名の通り神様の威を借りるという意味である。その身に神を降臨させ、力を振るう。言わば巫術師としての能力である。一族初代の長は降ろした神を支配し、その力を自在に操ったという。それどころか、精霊や自然の気まで支配下に治めていたという話まであった。彼ら一族は歴史の陰に隠れ、その存在はわずかな口伝と書物に残るのみ。そんな一族であったが、彼らはある日を境に滅亡することになる。よって神威は、その継承者を失い、幻の術として姿を消した。一族の存在を聞き知っている者達すらそう考えていたのだが・・・。

 

 

 

 カカシ達に尾獣について説明された後、サクラは無言で何か考え込んでいた。チラリとナルトの方へ目を向ける。尾獣が一つ、九尾の狐がその身に封印されているはずの少年。

『ねえ、ナルト。』

『何だ、サク。』

サクラはナルトに話しかけた。他の者に感づかれないよう念話で。古の契約により結ばれたお互いであるからこそ、このような形で意思が伝え合えるのだ。

『その、尾獣ってやつ、あんたと我愛羅も含めて全部で九匹いるのよね。』

『ああ。』

『後、七匹か・・・。正直言ってそんなに多いと鬱陶しいんだけど。』

『言ってくれるな。』

『懐かれるのはあんた達だけで充分だわ。』

『フン、お前に触れるのは俺だけで充分だがな。』

『言ってくれるわね。』

ナルトの言葉にサクラは内心苦笑する。

『それにしても暁の連中、尾獣なんて集めてどうするつもりなのかしら。』

『・・・ひょっとしたら、神威に関する情報が漏れたのかもしれないな。』

『それって、誰かが書物か何かに書き記してたってこと?』

『元々、俺達の力を支配しようと考えてる連中はいたからな。どこぞの研究資料でも発見したんじゃないか。』

『できるの・・・?』

『まあ、無理だろうな。尾獣を支配できるのはお前だけだ。なあ、神威の後継者。』

『別に支配する気はないんだけどね。』

『それでもお前は俺たちの支配者なんだよ。』

ナルトは言う。

『・・・いっそのこと、暁に全部集めさせた所で命令下すのはどうかしら。それなら一気に殲滅できるし。』

『俺は御免だな。すでに九尾とうずまきナルトの魂は融合しちまってる。今更引き剥がされても困るぜ。』

『それもそうね。ナルトが壊れるのも嫌だし。』

そして二人は会話を打ち切ると再び前を見て進み始めた。

 

 

 

 かつて『神威』と呼ばれる伝説の術を伝える一族がいた。神威とはその名の通り神様の威を借りるという意味である。その身に神を降臨させ、力を振るう。言わば巫術師としての能力である。一族初代の長は降ろした神を支配し、その力を自在に操ったという。それどころか、精霊や自然の気まで支配下に治めていたという話まであった。彼ら一族は歴史の陰に隠れ、その存在はわずかな口伝と書物に残るのみ。そんな一族であったが、彼らはある日を境に滅亡することになる。よって神威は、その継承者を失い、幻の術として姿を消した。一族の存在を聞き知っている者達すらそう考えていたのだが・・・。

 

 

 

 

 

 一人の少女の手によってそれがすでに復活していることを知る者は、当事者達と彼らの真の姿を知っている者のみである。

 

 

 

 

 

<後書き>

 短いですが、一度やってみたかったスレサク話です。もちろん相棒はスレナルですよ。スレキャラというのは簡単に言えば、普段のさえない姿は仮の姿で本当は滅茶苦茶強いという設定のキャラのことです。性格もスレちゃってる場合が多いかもしれません。一応基本設定は『四天演技』から来てまして、そこではナルトとサクラが暗部なのです。それを知っているのは火影を含む一部の人のみ。普通設定ではサスサクだけど、スレ設定ではナルサク派な水無月です(笑)

 

 

 

2005/05/09 UP