2013' 06/30
突然不調になり調整を依頼していたMG100HR-Sが、2本とも真新しいダイアフラムに交換されてフォステクスから帰って来ました。ダイアフラムはスピーカ・ユニットそのものです。リファレンス・システムを更に改善する良い機会です。とりあえずMG100HR-Sを初めて我が家に迎えた時同様に、このダイアフラムの特性をおさえて改善すべきポイントを探っておきたいと思います。

測定環境
球型エンクロージャ、カウンター・ウェイト、吸音材などのスピーカシステムと軸上100mmの測定マイクロフォン設置などは同じにして、メイン・アンプと入力電力を1Wに変更しています。
メイン・アンプは高周波スイッチング電源による250W/DクラスPWMアンプ、入力電力は1W/8Ω相当の2.83Vrmsとしました。UA101(44.1kHz)とMySpeakerの組合せによる特性です。

周波数特性
調整前と比して5〜6kHz近辺のディップが無くなり1kHzから10kHzまでフラットと別物といえるほど大幅に改善されています。1kHzまでの低域と10kHz以上の高域は補正が必要です。

MG100HR-S(fixed)周波数特性(1W入力)

インピーダンス特性
インピーダンスは 1kHzで正規化しています。調整前と比して大幅に改善され、最低共振周波数におけるインピーダンス上昇が小さく、インピーダンスカーブがなめらかになり、高域に向かっての上昇傾向がバラつきなく2本とも同じになっています。

MG100HR-S(fixed)インピーダンス特性(1W入力)

歪率
2本ともよく似通っています。250Hz以下は2次歪、3次歪とも増加していますが、最低共振周波数近傍では激増していないことが分かります。また、1kHzを超えたあたりは2次歪だけが、5kHzを超えたあたりでは2次歪、3次歪とも微増が認められます。すべて改善したいところです。

MG100HR-S(fixed)歪率(1W入力)

サインショット
150Hz以下では入力信号よりも短い周期の固有の音響出力となります。2.17kHzの立上りに高域共振の成分が認められます。周波数が高くなるに従いこの成分が支配的になり、やがて、周波数が6.95kHzを超えるあたりから立上り時間が頭打ちになり振動が残るようになります。良好と言える応答は200Hz〜2kHzまでで、可聴帯域全域で入力信号と相似になるような改善が必要です。

サインショット(fixed)(1W入力)

エピローグ
物理特性とそのスコアはすべて客観的な音の評価です。スピーカ・ユニット(システム)固有の特性は測定することは出来ても、エンクロージャやダイアフラムなどの共振系に由来する低域や高域の応答や歪率などスピーカ・ユニット固有の特性の改善は不可能でした。

リファレンス・システムや3chプレシジョン・システムの構築を通じてスピーカ・システム固有の特性の改善を実現して来ました。MG100HR-Sによるリファレンス・システムを再構築する過程で、ひとつひとつの項目を飛躍的に改善していきたいと思います。