2020年 新春企画

4Kプロジェクタ

2020' 1/20

120インチ・スクリーンにして4年になる.輝度やコントラストなどに不満を感じて55インチ4K有機液晶TVも使ってみた.4K有機ELパネルはピーク輝度やコントラストなどは優れているが,画面の物理的なサイズが持つ被写体の現実味は大スクリーンならではのものがありプロジェクション・システムに分がある.HD短焦点型プロジェクタも積算通電が8,000時間を超え輝度低下が否めない.オリンピックに備え4Kプロジェクタにリプレースした

 

X10-4K / ビューソニックジャパン
2019年12月の最後に登場したLED光源搭載の4K短焦点モデルだ.高圧水銀光源の泣き所「消費電力の大さ」や「寿命の短さ」さらには「一定輝度に達するまで時間がかかる」などの不満は払拭できそうだ.天井に設置すれば120インチ・ スクリーンを4K推奨距離2.1mでの視聴がプロジェクター真下で可能となる短焦点モデルだ.「立ち上がった時自分が影になる」や「視界にプロジェクタが入る」などの不満がない快適な設置が可能だ.

頭上設置が可能な短焦点モデル

 

インカミング・チェック
2020年1月6日に大きな梱包で届いた.ソファに乗せてざっくり使ってみた.電源ONから画面出しまで日本語選択からネットワーク設定などを経てリモコン操作でたどり着ける.ほぼスクリーン一杯に映るようにソファにざっくり置いての動作確認だったが,台形補正やフォーカス調節などデフォルト設定のまま全自動でやってくれる.使い勝手はすこぶる良さそうだ.

パフォーマンス・チェック

 

スキーム
寸法が大きな3次元空間への取り付けだ.光学系公差3%のX10-4K型はズーム機能が無く取付に工夫が必要だ.手間をかけて取り付けて細かく調整して,取り付け直して,また同じ繰り返しは避けたい.ソファに乗せたままスクリーン一杯に表示させてプロジェクタ前面からスクリーンまでをレーザー距離計で計ったところ221cmだった.微調整は天吊り金具の天井に密着する台座部分のあおり角度で行うことにした.

レーザー距離計

 

設置イメージ

 

インストレーション
現用のシアターハウスKG-SP2B型天吊り金具 を使用して設置 した.X10-4Kはレンズがメインフレーム・センターに配置されているためセンター位置出しが容易だ.ドッキングして台形補正をしたところ高さがスクリーンよりわずかに大きかった.スクリーンの高さに収めるためにKG-SP2B型の支柱の天井台座の4.2φ取付ネジを30mm長に変更して支柱を前方に倒してプロジェクタをスクリーンに近づけた.

KG-SP2B型天吊り金具をX10-4K型の底面に取付

 

KG-SP2Bの支柱を天井に取付

 

ドッキング

 

長ネジで支柱台座後端を浮かした

 

3Dファンクション
ビューソニック10X-4K型4Kプロジェクタの3D機能も機種選定のポイントだ.撮りためた3D映像が生かせるのはありがたい.手持ちのアクティブ・シャッター型のBenQの3Dメガネが使えることを確認した.スクリーンから大きく手前に飛び出して見えるさまは,手を伸ばせば映像に触れるさまは,左右に視点を動かせば側面まで見えるさまは3Dならではの醍醐味と言えるし更に映像が実物大ならひとしおだ.

3D Glass U, BenQ

ミラーキャスト
ビューソニック10X-4K型4KプロジェクタはいわゆるアンドロイドTV(スクリーンがないのでTVの表記は妥当ではないが)だ.多機能でネットからのストリーミング視聴が単体で行える. サポートされる機能の一つミラーキャストを,エクスペリアXZプレミアムで接続する操作を探った.エクスペリアXZプレミアムは手順書と異なりHOME画面でGoogle Homeのアイコンをロング・タップして表示されるメニューをタップすることで行える.この操作でスクリーンが切り替わるので簡単だ.

ロング・タップ

  メニューをタップ

エバレーション
フォーカスの精密さは群を抜く.画面の隅々まで結像するさまは完璧と言ってよい.光学系はズーム機構が無い分有利と思われる.視聴距離は2.1mだ.120インチ・スクリーンで画素が見えないとされる4K推奨距離スクリーン高x1.5だ.

パソコンの解像度をHD1920x1080倍率100%とした場合と解像度をUHD3840x2160倍率200%とした場合の文字の大きさやオブジェクトの物理サイズは同じだ.ところが粗さの違いは明確で1画素が見えないとされるUHD3840x2160の画面は圧倒的に滑らかだ.1/4インチのデジカメ2機種,1/4インチのアクション・カメラ,1インチ4Kムービー,APS-Cサイズミラーレスで収録した同じ3840x2160の画素数の映像品質の違いがそれぞれの映像素材から見えてしまう.撮像素子の物理サイズは一般的に大きいほうが優れているとされるが確かにAPS-Cサイズ・ミラーレスで収録した映像が圧倒的だ.

 

コンクルージョン
オーディオは「あの日あの時の演奏会場にいるような」を求め続けて来た.ビデオ収録も「ベータムービー」から「Hi8」「デジタル8」「HDTV」とNTSCアナログ・コンポジットからSDTVコンポーネント,アナログ・ハイビジョン,デジタル・ハイビジョンを経て今のUHD4Kへと映像フォーマットの変遷も追い続けてきた.ソースも含めて全部4Kになって初めてスクリーンがあたかも窓でその向こうリアルな世界が見えているのではと勘違い出来る.4K放送でもそんな錯覚をもたらしてくれるプログラムに出会える喜びがある.

おしむらくは,オーディオ・マニアなら誰でも(ほかの人も同じと思うが)感じる不満,プロジェクタの 廃熱ファン・ノイズだ.至近で唸るファン騒音とともに音楽ソフトは視聴する気になれない.この課題は家庭用プロジェクタの存在価値がなくなる次世代のファンレス100インチ超パネルが商品化されるまで「おあづけ」かも知れない.