旅の途中 沈みゆく太陽は、たたずむ黒い衣の遊牧民を、草をはむ羊の群を大地を 空気を金色に染めてゆく。 ミニバスに乗ってまっすぐな道をひた走る。流れる音楽に自分が 異国にいることを実感する。 中東と呼ばれる彼の地は自分のイメージとは違い、おだやかな 時間が流れている。 バスの中でリンゴを差し出したおかあさんの、遺跡で手を振っていた 子供たちの、スーク(市場)で香油を売っていたおじさんの笑顔が よみがえる。 無言で道案内をしてくれた少年のはにかんだ笑顔が忘れられない。 遠きのこの地で願わずにはいられない、彼らの笑顔が失われないことを。 そうして、いつかまたどこかで、あの笑顔にあえる気がして 次の旅の支度を始める。
(C)Y. H
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