明日そして明日も

オーガスト=ダーレス


この早朝に 鴎は河の上を飛ぶ
陽光を胸に抱いて 丘は東に
人類が歩みし前より古々しく在りて
2月の空気に冬はなお凜烈たり

私は起床して窓辺に立つ
未だ眠れる貴方を後に残して
夜が明けて
鴎が飛んでゆく
私は思う どこか戦禍の中で
腐敗と疫病の直中で
息絶えつつある人々のことを 私は思う
死の最中に生きている人々のことを
我が吐息の淡き蒸気が窓ガラスに作るのは
そこにいる貴方の姿
そして私は思う 胸を 腕を
貴方の唇を 暖めつつも凍えさせる愛を

この暁の空を鴎が飛ぶ
緩やかに舞い上がり 去りゆく夢の如し
私は思う 燃え上がる都市を 餓えて痩せ細った子供を
砲弾の破片や銃剣が突き刺さったまま
朽ちてゆく亡骸を──そは意匠
愛にグロテスクを課するが如く課されたる死の意匠

丘と鴎と昇る朝日──
我らは二人きり
荒涼たる場所に二人きりで眠る
平和な寝顔は
骨に貼りついた脆き仮面
至る所で世界が死に絶え
太陽に見捨てられた石から熱が引いていくが如し
壁の時計が規則正しく時を刻むのに合わせ
人が死んでいくのだ
まさしく一秒ごとに それだけのこと
彼方にて 容赦なく 喜びも悲しみも関係なしに
無情にも

                 明日そして明日も
                 そして明日も
                 明日そして明日も
                 そして明日も

                 明日そして……