イースの夢

ドゥエイン=W=ライメル


T

峻険なる連峰の向こう 彼方なるイースにて
遠く離れ 世俗の眼にさらされぬ島々で
古々しき星の深淵より来たる影が探し求める
洞窟にて金切り声で叫び挑発するものを
その毛深き住民は語る
ぬらつくソトーが横たわりし深き穴より
されど夜風がその場所を這い回るとき
彼らは逃げ去る――ソトーには人の顔などなし!

U

時すら及ばぬ霧深き混沌の中にありて
永劫の流れ去る中 氷の下にて沈思する
太陽の谷の彼方にて
長らく待つ より明るき より暖かき気候を
幻影あり 我は虚しく垣間見ようと試みる
そは狂気 隠蔽されし朧なる次元なる
太古の墳墓より いつか這い上るに違いなし
すべての角度を押し戻す――蓋を開け放つ狂気!

V

かつて栄えし都の傍らに蛇行する
そは黒くのたうつ腐敗の川
大地に刺さりし崩れたる尖塔を映して
漂う霧を通して塔は輝く そこより迷い出る小道が
死せる門に行き着くこともなし かつて見出されたるは
棲み着きたるものを連れ戻すであろう秘密
そして今なお漆黒の流れは渦巻く
イースの銀門の傍ら 干上がりし海底に至るまで

W

旧支配者の知る 雲に覆われし永劫を閲して
そびえ立つ円塔に
夢見人の目せしことも稀なる触腕により
摩耗し尽くしたる銘板に
宙に吊られしイースにて のたうち崩れ 新たに建つ
汚らわしく湿りたる壁面に
とある似姿が彫られたる されど神よ! その眼は
菌性の眼柄の先端にて揺れる 鉛色の空に向かいて!

X

古々しく待ちかまえる暗き影の場所
高くそびえるは 切り立った蛋白石の壁
夜間 惑星の招きにつれて動く
正気なるもののありえざる衰亡の領域へと
弱々しき光の下 その壁を闊歩するのは不死の衛兵
涙にむせび 叫びを星々へ放つ
されど導く足音のあるべかりき小道
盲目にして膨れ上がりし巨頭が転がりぬ

Y

我らの清浄なる地球の陸地と海を遠く離れ
毒の苔も枯れる朧なる丘の直中に
恐るべき悪夢の影が踊る――太古に生まれたる
ねじくれし鉤爪が卑猥に投げかける影なり
狂える笑声が谺する魔神の寺院を過ぎて
立ち並ぶ柱の列に落ちる影なり
その領域において 正気の眼にては決して見えぬ――
なんとなれば黒き光が漆黒の空より流れ出るのだから

Z

黴びた墓所にて待つものども
秘められし主に祈りの言葉を呻き呟くものども
時を経て摩滅せし救いの鍵を今なお待つものども
その群を押しとどめる奇異なる山々に
番人が住まいして
古さびたる洞窟に侵入者を通すことなし
されど いつの日か夢見人は道を見出すやもしれぬ
妖精の塗装せし灰色の小道へと通じる道を

[

曲がりくねりたる人気なき街路の上
常に傾ぎたる不浄の尖塔を過ぎたところ
朧なる隠れ家の秘密を覆い隠す
壁と銀幕の遙か彼方に
定命の者の眼には触れぬ荒唐無稽なる幻影にて
見た者もいるという真紅の細道ありて
その薄れゆく小径を恐れおののきて逃げるは
奇異なるものども 夜に身悶えし急ぎぬ

\

漆黒の空高く 鱗ある翼にて
蝙蝠の如き恐怖の獣が舞い上がる 灰色の塔を越え
曲がりくねりたる通廊に寝そべりしものどもを
貪欲なる羨望の眼差しで睨めつける
身の毛もよだつ飛翔が影をもたらすとき
住まいしものどもは霞みたる眼を泥土より上げれど
眼球には再び重く目蓋が被さるのみ
彼らは待つ――ソトーが扉を開け放つ時を!

]

今や 騒然たる幻影の帳が深々と垂れ下がり
錯乱せし日夜を通じて我を悩ます眠りの領域へと
暗黒をくぐり抜けて至らしめる秘密の道は
我の眼には見えぬものとなれど
我は感じる 朧なる小径ありて
ソトーの戯れたるイースでの逢瀬は可能なりと
ついに我は認む 光り輝く小塔を
我は来る 鍵は我のものなれば!