怪物退治

H.P.ラヴクラフト&R.H.バーロウ


 レーンの騒ぎは大変なものだった。というのも、竜の丘に煙が見えたからだ。その煙の意味するものは怪物の蠢動に違いなかった──熔岩を吐き、地底で身をよじるたびに大地を震撼させる怪物である。そしてレーンの人々は合議の結果、怪物を斃すことにした。怪物の炎の吐息が自分たちの光塔の都を焼き払い、雪花石膏の丸天井を倒壊させるのを阻止しなければならないと人々は誓ったのだった。

 ゆうに百人の小さき人々が松明の灯りのもとに集まり、秘められた堅牢な巣窟に潜む魔神と戦う準備をした。夜がやってくると人々は不揃いな隊列を作り、燦爛たる月明かりに照らされながら丘の麓へと行軍を開始した。前方では紫色の薄明を通して燃え上がる雲がはっきりと輝き、目的地への道しるべとなっていた。

 真実を伝えるために記録しておかなければならないが、敵を見かけるずっと前に彼らの心は重く沈んでいた。そして月が朧気に光り、けばけばしい雲が夜明けの到来の前触れとなると、竜がいようといまいと我が家に引き返したいという思いがかつてなく募った。しかし日が昇ると彼らはやや元気になり、槍を打ち振って残りの遠路をてくてく歩いていった。

 硫黄臭い煙の雲が帳のように世界を覆い、そのせいで朝日さえ翳っていた。怪物の口から吹き出る陰気な息によって煙は絶えず補充されていた。飢えた炎の小さな舌のせいでレーンの人々は熱い石の上をすばやく移動しなければならなかった。「でも竜はどこにいるんだ??」ある者がささやいた──怯え、竜がその問いを挑発と捉えないことを願っていた。空しく彼らは見回した──斃すことができるほど実質のあるものは何もなかった。

 そこで武器を肩に担ぎ、人々はくたびれ果てて帰途についた。そして、次のような趣旨の言葉が刻まれた石板が建立された──「獰悪なる怪物に悩まされて、レーンの勇敢なる市民はその征伐に乗り出した。そして、その恐るべき巣窟にて怪物を屠り、国土を恐怖の運命から救ったのである

 熔岩の散らばる太古の地層深くから我々がその石板を発掘したとき、これらの言葉は判読しがたいものであった。