霧ケ峰高原
霧ケ峰は主峰車山(1925m)を中心にして噴出したアスピーテ型(楯状)火山で、東西10km、南北16kmの広がりを持ち、そのほとんどは草原で、標高1500mから1700mかけて、ゆるやかな起伏が展開されている。この草原の雄大さとすばらしい眺望・景観は、わが国でも屈指のものとされている。
気候は、表日本型と裏日本型の影響を受け、大陸的である。夏の最高気温は25℃前後、夏の平均気温は12℃〜15℃で、北海道の稚内の気温に等しい。また南または南南西の上昇気流のために霧の発生が著しく、1年を通じ毎日のように霧が発生している。
このような地形、気象条件は、植物相を極めて豊かなものにし、分布上注目すべき植物が多く、生態的にも特異現象がみられる。わけても草原の中にある八島ヶ原、車山、踊場の三つの高層湿原及び沢筋凹地にある樹叢は原生的な自然状態をとどめ、学術的にも貴重なもので、これらは草原の一部とともに、昭和14年に国の天然記念物として指定を受けている。
夏には百花が競う
霧ケ峰の草原は、主峰車山の西側に展開され、標高からみても中部山岳地帯の亜高山帯(1,500〜2,500m)の下半分に属することになる。本来ならば針葉樹林が発達するべき地帯であるが、地質や地形、特に風の影響が強いため、沢筋や凹地を除いてほとんど樹林らしい林や森はみられない。
草原の春はおそく、生命の息吹きを感じるのは、年にもよるが5月半ばである。6月に入るとレンゲツツジの群落が花をつける。7月上旬から8月上旬の1ヶ月は、ニッコウキスゲの花が全草原をおおい、百花が競う最高の季節である。8月半ばを過ぎると早くも初秋の気配、マツムシソウが開花しその群落があちこちに目立つ。やがて9月、草原の緑は色あせて、今まであまり気づかなかったススキが白銀の穂をつけ波うつ。紅葉は10月に始まり、日毎にふもとへさがっていく。
霧ケ峰・八ヶ岳の植物より)
池のくるみ
踊場湿原とも呼ばれ標高1540mにある国の天然記念物です。カボッチョ、蛙原などの山に囲まれて長い盆地状の断層によって形成された東西280m、南北100mの湿原です。湿原の中には踊場の池(別名アシクラの池)がある。