子どもの死の現状

 子どもの発達段階に応じて事故の種類は異なるものの、不慮の事故が圧倒的に多い。以下に示す表1と表2は、厚生労働省 統計調査結果「平成19年人口動態統計月報年計(概数)の概況」 によるものです。男女別に示してみました。表3は 厚生労働省 「平成15年人口動態統計年報主要統計」によるものです。 ※注意(表1・表2共通)

1) 乳児(0歳)の死因については乳児死因順位に用いる分類項目を使用している。
2) 死因名は次のように略称した。
  心疾患←心疾患(高血圧性を除く)
  先天奇形等←先天奇形,変形及び染色体異常
  呼吸障害等←周産期に特異的な呼吸障害及び心血管障害
  出血性障害等←胎児及び新生児の出血性障害及び血液障害
3) 0歳の死亡率は出生10万に対する率である。
4) 総数には年齢不詳を含む。


男の子の年齢層別死亡原因

平成19年 人口10万人に対する 男の子の死亡原因(表1)

年齢 第1位 第2位 第3位 第4位 第5位
0歳 先天奇形等
522人(93.2%)
呼吸障害等
188人(33.6%)
乳幼児突然死
症候群
96人(17.1%)
不慮の事故
76人(13.6%)
出血性障害等
68人(12.1%)
1~4歳 不慮の事故
112人(5.1%)
先天奇形等
84人(3.8%)
悪性新生物
52人(2.4%)
肺炎
28人(1.3%)
心疾患
27人(1.2%)
5~9歳 不慮の事故
93人(3.1%)
悪性新生物
61人(2.0%)
先天奇形等
20人(0.7%)
肺炎
18人(0.6%)
心疾患
16人(0.5%)
10~14歳 不慮の事故
84人(2.8%)
悪性新生物
64人(2.1%)
自殺
31人(1.0%)
心疾患
23人(0.8%)
先天奇形等
13人(0.4%)
15~19歳 不慮の事故
419人(13.2%)
自殺
285人(9.0%)
悪性新生物
101人(3.2%)
心疾患
57人(1.8%)
先天奇形等
22人(0.7%)

 1歳以上の子どもにおいては不慮の事故が圧倒的に多くなっています。0歳児においても第4位になっております。0歳児において乳幼児突然死症候群(SIDS)が第三位になっている点も特徴です。また思春期になると自殺が増えているのが気になるところでもあります。身体のケアのみではなく心のケアが必要になってきます。

女の子の年齢層別死亡原因

平成19年 人口10万人に対する 女の子の死亡原因(表2)

年齢 第1位 第2位 第3位 第4位 第5位
0歳 先天奇形等
519人(97.9%)
呼吸障害等
187人(35.3%)
出血性障害等
53人(10.0%)
乳幼児
突然死症候群
不慮の事故
49人(9.2%)
1~4歳 先天奇形等
75人(3.6%)
不慮の事故
65人(3.1%)
悪性新生物
心疾患
33人(1.6%)
肺炎
31人(1.5%)
5~9歳 不慮の事故
58人(2.0%)
悪性新生物
35人(1.2%)
肺炎
19人(0.7%)
先天奇形等
16人(0.6%)
心疾患
15人(0.5%)
10~14歳 悪性新生物
47人(1.6%)
不慮の事故
41人(1.4%)
自殺
16人(0.6%)
先天奇形等
15人(0.5%)
心疾患
13人(0.4%)
15~19歳 自殺
171人(5.7%)
不慮の事故
118人(3.9%)
悪性新生物
59人(2.0%)
心疾患
27人(0.9%)
先天奇形等
13人(0.4%)

1歳以上では不慮の事故の割合が多いのが特徴です。0歳児において乳幼児突然死症候群(SIDS)の割合が多いのも見逃せません。また、思春期になると自殺の割合が高まり、15歳以上においては第1位となっており、心のケアが非常に大切です。

家庭内における主な不慮の事故の種別と年齢層別死亡数及び割合
平成15年(表3
年齢 転倒・転落死 溺死・溺水 窒息死 火傷死 熱傷死 全体(100%)
0歳 6(5.4%) 5(4.5%) 92(82.9%) 4(3.6%) 0(0%) 111(100%)
1~4歳 18(17.6%) 20(19.6%) 35(34.3%) 22(21.6%) 3(2.9%) 102(100%)
5~9歳 9(20.5%) 5(11.4%) 12(27.3%) 17(38.6%) 1(2.0%) 44(100%)
10~14歳 5(16.1%) 10(32.3%) 6(19.4) 9(29.0%) 0(0%) 31(100%)

 0歳から4歳までの死因では窒息が高い割合を占めます。このなかでも食べ物による気道閉塞が最も多いとされています。また、1歳~4歳では火傷や溺死・溺水などの割合も増えてきます。これは行動範囲の広がりと発達との関わりが大きいとされています。年齢とともに外出が増え、交通事故などの屋外での事故が増えてきます。