R145対応ボディマウントカプラーポケット






開発の経緯



 またいつの間にか、工場の片隅で、どこかで見たような小物が製造されていたようです。

 事の始まりはSilberlingeの制御室にカプラーを取り付けたときのことです。貨物用側線でマグネマティックカプラーの作動試験をしたところ、R145に乗り入れた中間車が脱線することが発覚しました。どうやらカプラーがバッファに干渉して台車を拘束してしまうことが原因のようです。建設計画線の中にはR145を使用する区間が多く、この問題はなんとしても解消しなくてはなりません。その後の実験で、増設したボディマウントカプラーについてはバッファに干渉していないことが判明します。どうやら同様の構成でボディマウント化することで対応させることができるようです。
 そうと決まれば早速…、のはずが、技術部長が260に搭載する新型入換用制御装置の開発にかかりきりになって、忘れ去ってしまったようです…。




試作開始



 制御装置の試作が一段落したのか、技術部長が思い出したように作り始めたようです。今日は2006.12.16、実に2ヶ月余りも経っていました。
 構造は増設カプラーに準じています。前回は車端部の構造上、カプラーが0.5mm低くなっていたため、正規の高さに戻し、車端部の形状にあわせて台座部分を前進させます。カプラー押さえも形状を改め、渡り板に似せたものを作ってみたようです。
 作ってみると、早速問題発生です…。

 台座中央部はカプラーポケットの形に合わせて刳り貫くことにしていたのですが、設計の段階から、この部分の前後幅が1mmしか残らなくなっていました。当然そんな幅では強度があるわけがありません。削り込んでいる間にあちこちひん曲がってしまいます。これでは作業どころか、そう遠くない将来には崩壊することは必至です。台座後端にt0.5mmプラ板を貼り加えて補強します。
 続いてカプラー押さえを作ります。渡り板に似せた形に切り出し、後端はポケット中央の切り欠きにあわせて整形します。あとは先端の厚みが目立たないように斜めに削ったら完成です。と、組んでみて気づいたのですが、実はカプラー上部と盛大に干渉していました。どうやら開放ピンが刺さっている部分まで延びてしまっているようです。せっかく見栄えするようにデザインしたので、干渉部分を切り詰めたくはないということで、削り込みで対処することに。サクサクカリカリ削っていくと…、意図せずして厚みが0.3mm位になってしまいました。これでは複製量産どころではありません…。ハンドメイド確定…!?

 まだまだ問題は続きます。プラ丸棒から削りだしたカプラー回転軸を立てているのですが、これの形状を調整するためにデザインナイフを突っ込もうとすると、前進させた台座が邪魔でうまく刃が当てられません…。しかも、組み立ててみたところ、カプラーポケット後端の幅が狭すぎてカプラースプリングがまっすぐに収まらないのです。きちんと採寸せずに作るから…。結局削り込みで対処するのですが、やはり狭いの何の…。地道に少しずつ削って何とか収まりました。が、せっかく押さえ板の後端をぴったり合うように整形したのが水の泡です…。


 何にせよ、ようやく形になりました。台車から元のカプラーポケットを切り落として車体に取り付けたら完成です。




運転試験



 何はともあれひとまず形になったので、線路に載せて動作試験です。いきなり問題発生…。マグネット上に来てもまったく首を振りません…。押さえ板を削り込んだり、開放ピンの角度を調整してみてもまったくダメです。台座の締め付けが強すぎるのかと、ネジを緩めてみたり、台座の厚みをわずかに増やしてみましたが、これも違うようです。どう調整しても、カプラーが僅かに動くだけで、遅延解放を行うことができません。
 スプリングを抜いた状態ではきちんと作動するようですので、スプリングに関連する問題のようです。いろいろ調査した結果、前回に比べて微妙にカプラーポケットの全長が縮んでしまっていること、後端が微妙に左を向いていることなどが判明します。ポケット内部の削り込み、短縮化したカプラースプリングなどを試してようやく作動するようになりました。




R145通過試験


 完成を喜んだのも束の間、本来の目的であるR145の通過を試していませんでした…。
 さすがに前回の実績がありますので単純にR145を曲がること自体は問題ありません。が、R145の連続Sカーブとなると話は別です…。あっさり脱線してしまいました。いくらなんでもオーバーハングが大きい、というよりバッファに当たるまでカプラーを曲げても届かないから、というのがその理由です…。どうやら間に110mm直線を挟んでおかないといけないようです。計画線に連続Sカーブが生じないよう、設計変更しなくてはならなさそうです。改修します…?





 カプラーポケットとして一応の形にはなったのですが…、レジンで量産できる構造にするというもうひとつの目標は…。本当にこれ、複製可能なんでしょうか…?










 改修しました。