ピロリ菌は胃の中で生息する細菌です.
一般に強酸である胃酸が分泌されている胃の中ではほとんどの菌は生息できませんが,
ピロリ菌はアルカリ性であるアンモニアを作り胃酸を中和することにより胃内で生息することが可能です.このとき産生されるアンモニアが胃粘膜を傷つけて慢
性胃炎を引き起こし,放置しておくと胃潰瘍や十二指腸潰瘍になることも分かっています.このピ
ロリ菌を除菌することにより胃炎が改善し,胃十二指腸潰瘍の再発率が著明に低下します.
また一方でピロリ菌が胃がんの原因であることも証明されており,ピロリ菌に感染している人は未感染者と比べて20倍以上胃が
んにな
りやすいことも分かっています.ピロリ菌を除菌すると胃がん発生率が約1/3に下がりますので,ピロリ菌の除菌治療は胃がんの予防にも有効です.
以上のような理由から,本来であればピロリ菌に感染している方全員が除菌治療の対象となるべきですが,現時点ではバリ
ウム検査か胃カメラで胃十二指腸潰瘍の診断を受けた方,もしくは胃カメラで胃炎の診断を受けた方のみ除菌
治療の保険適用が認められています.
当院では外来でピロリ菌チェックおよび除菌治療を実施していますので,ピロリ菌の検査・治療を希望される方はぜひ当院にご相
談ください.photo credit: cnicholsonpath
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