その1:『つくばエクスプレス』初乗り 

 小鉄息子にとって、今年の夏休みの一大イベントとは何かと言えば・・・・『平成17年8月24日開業/つくばエクスプレス』であろう。数ヶ月前から自分で勝手にHPにチェックを入れまくり、「あと何日。」とカウントしていた。(ま、まさかなあ・・・。)と少々不安に思っていたのだが、いつ頃からか「つくばエクスプレスに乗る。」と言い出した。さあそうなったらもう“こだわり”の始まりである。「開業日に乗らなくてもいいじゃない。いつでも乗れるし、当日は混むよ。」との警告もなんのその、息子の頭の中では、『開業日にこの電車に乗る』ことが最重要ステイタスになっていた。・・・しかし、その息子の“熱望”を誰が止められようか?というか、ワタシ自身が自らに問いかける。「果たしてお前に息子の“情熱”を止める資格(?)があるかい?映画の初日のチケットをゲットする為に密かにオークションで熾烈な戦い(大げさ)をしていたお前が?(詳細は過去の思いつき日記にありますが(汗))」

 新しい鉄道の開業日にその電車に乗るなんてことは、多分一生に一度の機会だろう。ならば・・・・願いを叶えてやるしかあるまい。当日どんな目に遭うか、またはいつ何時息子のカンシャク・パニックが出現するかヒヤヒヤものだったが、(ホントはこの日、とある著名な児童精神科医の勉強会に参加する予定だったが、その御方の勉強会はまたいつか参加できるだろうと諦めて)、小鉄息子に付き合うことにした。

 『つくばエクスプレス』に効率よく乗る為にはと、近距離にあるA区のジイチャン宅へ母子3人で前の日に転がり込んだ。(ちなみに、妹には今回は遠慮してもらった。だってどれ位人が集まるか予測がつかなかったから)ルンルン息子はHPで時刻表にチェックを入れて、“始発駅(秋葉原)の○○時の電車に乗る”とまでサクサクと決めていた。【ホントにこいつって“自分の興味の対象”にはすばらしい集中力を発揮するわい】と内心感心するやらあきれるやら。これが“自分の興味外”だと「イヤダー!」とわめくんだよなあ・・・。(注:全てのAS(自閉症スペクトラム児がこういうキャラではない。悪しからず。)   路線図を見ていたらある事に気が付いた。どうやらこの『つくばエクスプレス』の停車駅のいくつかはA区にあるらしい。A区はこの機会に活性化を目指しているらしく、『る○ぶ』まで発行し、オリジナルTシャツも売り出すとか?(←少々値が張るので、買わないが)

 さて、当日秋葉原駅(あの、『電車男』で注目を集めているオタクが多く出現する所)に降り立った。で、まず改札口の様子で「うわっ」ときた。「こ、混んでる〜!」一昨日つくばエクスプレスフリーダイヤルに問い合わせをしたら、「この電車は通勤電車ですから、通勤ラッシュを過ぎればそれ程混まないのでは?」と係りの方が言っていたけど・・・・「うそつき。」とワタシはつぶやいた。カメラを抱えた“鉄”(マニア)がいっぱいいっぱいいるではないか!!それ以外にも、ウチラと同じような感じの親子や、(興味があるから乗っちゃった)って感じの年配者、一見らしくはないけど実は“鉄”らしき人。ともかく人、人、人の行列〜。さあ、行列嫌いの息子の第一試練が勃発した。「どうするよ?さあどうする?」どうやら切符購入の為に自販機の所で皆が並んでいることが判った。ならばといきなり千円札数枚だしてパスネットを直接駅員さんから購入した。(自販機は利用せず) ちなみに『愛の手帳』を見せると公共の交通機関は割引になる。

 息子は電車に乗る際はいつも、(一番前)か(一番後ろ)と決めている。どうやら『運転席』を眺めているのが楽しいらしい。「今日のつくばエクスプレスは、一番後ろにしておくれ。前は絶対混むから。」と頼んだら、スンナリ了解してくれた。それ(一番後ろ)でも、大人の“鉄”が結構並んでいた。彼らのじーっと運転席を眺めている様は、「息子も将来こういう風な方達になるんだろうな〜。」と思わせた。ある大人の方なんぞは手に『メロンクリームソーダ』のジュース缶を持っていたが、その姿は(メロンソーダ好きの息子)の未来予想像のようだった。

 当日の電車の様子をデジカメに撮ってみた。平成17年8月24日の『つくばエクスプレス』である。さあご覧あれ!

 

 電車が通過する度に、各駅に陣取っている“撮り鉄”(電車の写真を撮影するのが好き)がカメラを抱えてベストショットを狙っていた。つい(自分の顔が写ったらどうしよ)なんて頬に手をやってしまう。(笑)にしても、“鉄さん達”の情熱の熱さにあてられそうだった。抱えているカメラも高そうだった。いいカメラで撮影した『つくばエクスプレス』は誰かに見せなければこの楽しみは分かってくれないのでは?・・・果たして、ワタシみたいに、マイHPで当日の事をUPした“鉄さん”はいるのだろうか?

秋葉原から終点のつくばまで快速だと本当に45分で着く。「は・速い!この45分で東京ー埼玉ー千葉ー茨城と一都三県通り抜けるのか!こんなに速くて便利すぎだ!」と感心した。しかしなんといっても、電車が通る時の周りの風景が自然がありすぎ!の所が多かった。終点に近づくにつれ、ひたすら田園風景が広がる。ここがいつかは住宅地に造成され、人々がいっぱい移り住むのだろうか?にしても、田園風景を見ると、「ああ、旅にでたんだなあ〜。」という気になる。うん?この『つくばエクスプレス』は通勤電車だよなあ。旅客車扱いしてはいかんか、そもそも(予約席)はこの電車には存在しないのだから。

 つくば駅に母子は初めて降り立った。「ここが学園都市か。」数年前(いつだっけ?)は“つくばエクスポ”があった筈だ。駅前は開業日に合わせてイベントらしきものをやっていたが、たこ焼の出店はあるのに、まだ商売を始めていなかった。駅には人がいっぱいいる=“鉄”が多いのだが、一歩外に出てつくば駅周辺を見るという考えは、どうも薄いらしいな“鉄さん達”は。「ちょっと歩いてみる?」「うん。」・・・にしても二人とも、ずーーーと立ちっぱなしで運転席を眺めていたから、くたびれた。ズンズン歩いて、かつてのエクスポ跡の施設まで行ってみて、フツーのお昼を二人で食した。『つくばエクスプレスランチ』でもあればウケルのにねえ・・・。

↑なんでしょうね?何か意味はあるのでしょうが

○ケモン・アトラクション(駅前のイベント)

 駅前の出店で妹にお土産を買ってあげようとしたが、思ったより目玉商品はなかった。『つくばエクスプレス最中』でもあれば買ったのになあ・・・。

 帰りの電車も相変わらず運転席を眺めて立ちっぱなしだったので、やっぱりえらくくたびれた。

 そしてA区の祖父宅に戻ってきたのだが、(次の日大雨だろうから早めに今日中に帰ったほうがよい)との事で、ふらふらになってT市の自宅に戻ってきた。

「『つくばエクスプレス』の開業日に乗りに行った。」と知人に話すと大概の人が「へえ!」と驚く。やはり【うわっ!大変そう!】て感じなのだろう。達成感はあるが、疲労感と抱き合わせのセットにはなっているな。つくづく自分が若くない事を痛感した夏休みではあった・・・。

小鉄息子は「今度はパパとこれに乗る。」とのたまった。「・・・・勝手にしてくり。」と母はつぶやいた。 

 (完) 

PS:9月10日(土)日本テレビ/午前9時30分放映の小鉄息子愛着電車番組『ぶらり途中下車の旅』に、どうやら『つくばエクスプレス』が出るらしい。(途中下車?どこで?) 予告を見た息子は「やったね!」とはしゃいでいた。案内人は誰でしょうな?ダニエル・カールか?(ルイルイ♪)太川 陽介か??

 

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