「舞、自信の方は?」

「バッチリ!……多分」

 今日は中間テスト一日目。

 現在3時間目の休み時間で、4時間目は問題の英語のテストだった。この日の為に必死

で勉強してきたという自身はあるが、それでも100点という壁は厚い。



「どうしよう、弘人…。なんか緊張してきた」

「あはは、トイレ行ってきたら?」

「そ、そうだな。一応行っとくか」

 そう言って舞は、ガタンと音をたてて立ち上がり、その勢いで椅子はハデな音と共に後ろ

に倒れた。

「……。じゃ、じゃあ、行ってくる」



(舞……、お見合いするんじゃないんだから……;)









(あ〜どうしよ、マジで緊張してきた。…とりあえず出すモン出してすっきりさせるか)

「あ…」

 舞が生徒用トイレのドアを開けると、トイレの隅でたむろしていた男子生徒の一人が声を

発した。



(ゲッ……)



 そこに居たのは4人の一年生で、そのうちの3人は先日千歳にからんでいた生徒だった。

「うわぁスッゲェ偶然。今、お前の事話してたトコだぜ?」

「ムカツク〜、って」

 ニヤニヤと笑いながら近付いてくる4人に背中を向けてトイレを出ようとするが、一人に腕

をつかまれた。



「なに逃げてんだよ?3対2なら向かって来るクセに、4対1じゃ逃げんのかよ。まーく

ん≠サれはイタダケネーよ?」

「都合の良い理屈言ってんじゃねーよ。テメー等こそ1対1じゃ何にも出来ねークズのくせ

に。つか、まーくん′セうな」

「ほらな、生意気だろ?」

 先日は居なかった一人に、バカにした様な顔で確認するのに、ムカッと腹が立つが、今は

こんな所で喧嘩している場合ではない。

「今日はテメー等の相手してる暇ねーんだよ。離しやがれ」



「そんな事言われたら余計、離す訳ねージャン。バカじゃねーの?お前」



「!!」









(舞……、長いな…)

 まさか大きい方か…?などと弘人が考えていた事は、舞には内緒にしておいた方が良い

だろう。

(それにしても、そろそろ戻って来た方が良いと思うんだけど…)

 時計の針は、もうすぐ休み時間が終わる事を示していた。









「誰かぁ!!出してくれっ!!」

 その頃、舞はトイレの掃除用具室で力いっぱい叫んでいた。しかし、トイレの両隣は廊下

と空き教室で、テスト期間中という事もあり廊下に人気は無く、舞の声が誰かに届く事はな

かった。

「クソッ!ふざけんな!なんでこんな時に…っ」
                     こころ
 用具室のドアに体当たりをしようと試みても、体育座りのような形で両手と両足をベルトで
        し
一まとめに締められている為に、ほとんど身動きがとれない。



(ちーちゃん……っ)




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Fallin'

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