●依頼No.1 依頼者:鈴木めぐみ
大島弓子・『戦争はおわった』について 「週刊マーガレット」70年33号〜39号
というわけでまずは私から。すでにあちらこちらで「読みたい!」と言いまくっている作品なのですが、雑誌掲載時にこれ1話分だけ読んでるの。と言っても覚えているのは「船上にいる少年(少女かも?)が頭から血を流して倒れるシーンがコマ落としで描かれていた」って事だけ。いったいどういう話だったんだろう、とかあのシーンはどういうシーンだったの?とか疑問でいっぱいなんです。大島弓子作品はほとんどコミックス化されていて、それなりの長さがあるのに未収録なのはこれだけ。残念ながら選集にも入ってなかったし(あとがきでこの作品について「頭で描いてしまった」という趣旨のことを書かれていたので、気に入っていないのかなぁ)、この先読める確率は限りなく少なそう(;_;)。と言うわけで情報待ってます。
●『戦争はおわった』すでに知っているかもですが、80年に出た「トップレディカラーシリーズ・大島弓子」という本に、これまでの掲載マンガの一覧が出ていて、そこには確かに『戦争……』記載してあります。(コレみると金子が読んでいないマンガ結構ある。)コミックス収録されているかどうかは不明です。(これじゃあ答えになっていないネ)朝日ソノラマ「大島弓子全集」には収録ないよね。小学館フラワーコミックス『ジョカへ…』『さようなら女達』収録ないです。(この他にフラワーコミックスから出てるコミックある?)昔の小学館マンガ文庫「大島弓子傑作集・珠玉名作集等」(ちゃんぷに『雨の音が聞こえる』貸したあのシリーズ)にも収録なし。現在白泉社から出ている文庫シリーズはノーチェック。あとは、昔朝日ソノラマ・サンコミックのほうで『誕生』『F式蘭丸』などが刊行されているのね、そのコミックは一部しか持っていないのでなんとも言えないですが、収録あるとすればソレが最後の望みかなぁ・・ちなみに『F式』『いちご物語』『ミモザ館』『野いばら荘園』は収録なしです。それから、この一覧表見ると70年代当初は小学館より集英社で結構描いてるのね。昔のマーガレットコミックから刊行されているものってある?あれば、その辺はもろに怪しいかも。大島弓子って同じマンガがいろんな形でダブってコミックに収録されるけど、ないのはとことんないんだよねー。私も読んで見たいと思っているのだけど。…本人が頑なにコミックにするの拒否してるのかなー?( ユズコさん・99/2/12)
●マーガレット1970年33号を入手致しました。そう、『戦争は終わった』の連載第1回が掲載された号です。奇跡的です〜。取りあえず1冊ですが……。消化不良になると判っていても読まずにはいられない!雰囲気をお伝えします。表紙にわたなべまさこ先生の描かれた浴衣姿の女の子。「少女週刊誌の女王さま」のキャッチ。新れんさいまんが『戦争は終わった』大島弓子『朝は6時30分』/池田理代子。大ひょうばんれんさいまんがには『アタックNo1』『ガラスの城』『チビでも選手』『放課後あつまれ』『スマッシュをきめろ!』『美人はいかが?』すげー豪華です。表紙をめくると、人気まんがシャツのプレゼント。十代の藤圭子が忠津先生のシャツを着ている!しかもどう見ても直筆だ〜。他に丘けい子先生、本村三四子先生のもー。今この世に実在するのか?このかわいいシャツたちよ!
そして核心の新連載!「激しい戦争の中で愛に生き愛に死んだ少女の物語!!」とキャッチコピー。1ページ目の右スペースには、「悲劇をかいては日本一の大島弓子先生が、悲さんな戦争を背景に、心をこめておかきになった、愛の感動まんがです!!」大島先生でなくとも 「マーガレット」から逃げ出したくもなるっちゅうもんですナ。第1回は14ページの掲載でした。(発見してちょっと興奮しました。20年来の願いだったもんね)(カウカウ大臣さん・99/4/1)
●『戦争は終わった』、神保町にて35号と39号をパラパラと見て来ました!立ち読み…というところまでもいかなかったので、絵柄とキャラを見るだけにとどまりましたが、35号で登場していた子供(主人公の兄弟なのかな?)が、多分私の記憶に残っていた頭から血を流して倒れていく少年だと思います。見た限りでは私の記憶してるシーンはなかったので、問題のシーンは36号〜38号のどこかに載っているのね〜。あ〜、読みたいよ〜。でも、状態がメチャメチャ悪いのに1冊800円〜1000円もしてしまうのね(;_;)。それって神保町だったから?(めぐみ・99/4/20)
●大島弓子の『戦争は終わった』についてですが、大島弓子選集bP『誕生』の巻末作品リストによりますと、「週刊マーガレット」70年33〜39号(105P)となっていました。おまけに、同じ巻末エッセイを見ると作者自身あまり自信のない作品というニュアンスの事を書いておりますので単行本化はちょっと難しそうな感じです。(トテさん・99/5/6)
●さて、「教えて!」にあった、大島作品のことなのですが、戦争物で、「週マ」連載っていうと私が最初に読んだ大島作品がそうだったです。かなりうろ覚えなので、ストーリー的に自分で都合よくすりあわせてるかもしれないけれど、
1.主人公は白血病か結核のお嬢様、戦争で家をなくし、療養所の手伝いをしている。
2.幼なじみで恋人?の少年が戦地で爆撃を受けて片目と片手か片足を失って、「ここは悲惨です、うんぬん」と主人公に手紙を書いている時に爆撃を受けて死亡。
3.いよいよ戦局も押しつまり療養所にいる人々がいっそのこと、ここにある劇薬で死のう、と言い出したときに、主人公の同僚の看護婦が突然、「死ぬ、っていうのはこういうことよ!見ておきなさい!!」と言って、一瓶まるごと一気のみして、血を吐いて死亡。一同、死ぬのをやめる。
というシーンがあったと思います。2と3は小学生にはかなりトラウマになってますけど、主人公がどうなったかとか覚えてないです。これが『戦争は終わった』という作品なのかどうかわからない(鈴木さんの印象に残ってるシーンを覚えていないんですよね。)上に、この3つのエピソードは他の大島作品と混じっているかもしれない(特に1が半信半疑なんです)ですが、一応送ります。この作品(『戦争は終わった』ではなくても)もいちど読みたいです。怖いもの見たさに。(pearl657さん・99/6/22)
※その後pearl657さんから下記のメールを頂いたので、第1回を持っているカウカウ大臣さんにうかがってみました。以下がそのお応えです。1回目の血を吐いて云々…というのは『詩子とよんでもう一度』では?という気もしたんですが、これって前後編だったと思うし、戦争物ではなかったし…。
●早速お返事ありがとうございます。でも、わたし、これが本当に『戦争が終わった』かどうかわからないんです。ただし、週マに大島弓子が描いた戦争物、という点だけは保証します。1回目掲載誌を買った方に離れに隔離されている?主人公の少女が血をはいていたか聞いてみてください。またhpのぞきにいきます。(pearl657さん・99/6/22)
●内容は第1話だけの判断では別作品のような気が致します。問題の第1話は以下の通りです。
日本人のパパとアメリカ人のママの間に生まれたサチとみちはるは「敵国人との混血だ!」といつもいじめられます。今日も近所の子にいじめられて泣きながら帰ってきたみちはる、仕返しをして意気揚揚と帰ってきたサチ。そんなサチのケンカの先生健とそのお母さん(サチの家の家政婦さんか?)がみちはるの誕生日を祝いに来てくれました。バースデーパーティーもこれからという時、憲兵が外務省審議官であるお父さんをスパイ容疑で連行してしまいます。ママからパパとの素敵なロマンスを聞きながら、帰りの遅いパパをみんなで待ちます。寝入ったみちはるをベッドに寝かそうとしたとき、玄関からサチの悲鳴が・・・。パパは無実を訴えながら銃殺され、玄関に横たわっています。非難するママに暴力を加える憲兵。たまらず止めに入った健、とそのお母さんをも銃殺すると壁に立たせる憲兵たち。涙をためて見つめるサチの目の前で、冷酷な銃声が!
長くなりましたがこんな感じです。このまま女・子供を銃殺するとは思えませんが、物分りの良い憲兵の上司でも登場するのでしょうか?また、唯一家族をかばえるパパが死んでしまった後、敵国人のママはどうなるのか?14Pでこの展開なので、まったく先が読めません。(カウカウ大臣さん・99/6/29)
●『戦争は終わった』はセサミさんのBBSにも以前書いたことがあるのですが、忘れられない作品です。あらすじ等、またメールいたしますね。ここのところ、季節労働者として肉体労働してまして、書きたいこといろいろあっても書けない状態です。ちなみに、大島さんのコミックス未収録作品『その日まで生きたい』『人形の家』『こちらFUJIX号全員無事』等のあらすじも語れてしまう、berryでございます。(berryさん・99/9/9)
●『戦争はおわった』のあらすじなど教えていただけるとの事、思わず感動に震えてます。教えて!の記念すべき(?)依頼bPもついについに解決です!(感涙…)ありがとうございます!!!お忙しいようですし、お時間が出来た時にでもよろしくお願いします〜。berryさんの思い入れもぜひ語って欲しいです。以前出版された大島弓子選集が全集ではなかった事が返す返すも残念!なんとか未収録作品もコミックス化して欲しいです。他の未収録モノのあらすじもよかったら教えて下さいね! (めぐみ・99/9/10)
●わたくしが覚えている『戦争は終わった』のあらすじを書かせていただきます。歳がバレますが、わたくしが小6のときの記憶でございます。(^^;)
連載初回はカウカウ大臣さんが詳しく書かれておられますので、その後のあらすじです。憲兵が発砲したシーンの続きですが、確か空砲で、「フン、今回は許してやる」っていうような捨て台詞とともに立ち去ったように思います。父親を失った一家は、戦時中のこと、なおさら困難な生活を余儀なくされます。そして、空襲が激しくなる中、防空壕へ避難することすら「敵国人の母子」は差別を受けるのでしたが、何とか防空壕の中へ入れてもらえます。防空壕の中で(夜中です)、一人の婦人が産気づくのですが、赤ちゃんを取り上げられる女性がいません。ただ一人、サチのお母さんが産婆役を買って出ます(憎んでいたアメリカ人に助けてもらうというシチュエーションです)。そして「お湯がいる」というお母さんのために、サチと健は家に戻ってお湯をわかし、防空壕に運びます。ところが、もうちょっとで防空壕というところで、敵機の銃撃があり、ころんでしまった娘を助けるためお母さんは飛び出し、サチの上に覆いかぶさります。お母さんの背中に銃弾が……。無事生まれた赤ちゃんと死んでしまったお母さん、それぞれの思いで立ち尽くす人々に朝が訪れるのでした。
その後東京は空襲が激しくなり、サチは弟と一緒に疎開する船に乗り、そこで弟を亡くすのだと思うのですが、このあたりの記憶が定かでありません。確か、とてもとても可哀相な死に方だったと思いますが、具体的な記憶が……あぅあぅ。当時 「週マ」を毎号買っていたはずのわたくしが、1回だけ買いそびれたことがあり、確かこの頃だと思います(親の逆鱗に触れたか何かの事情だったと思う)。友人に借りて読んだはずなのですが、記憶がいまいち……めぐみさんが一番知りたいシーンを書けなくて、誠に申し訳ございません。m( )m
一人になってしまったサチは、野戦病院で看護婦(多分見習い)として働きます。ひどい怪我をした兵士たちが運び込まれるのに、薬品も輸血用の血液も足りず、サチも自分の血をぎりぎりまで患者に上げながら、必死で働きます。そんなとき、瀕死の兵隊から水を求められ、急いで持っていったサチはその人を見て、呆然とコップを落としてしまいます。それは、父親を殺した片目の憲兵だったのでした。彼もサチが誰かわかり、苦しい息の中、告白を始めるのでした。彼は生まれながらの片目でいじめられて育ったこと、ただ一人母だけが彼を愛し、可愛がってくれたこと。母のために努力した彼は憲兵となり、それを母がとても喜んでくれたこと。そして、スパイ容疑で殺されたサチのお父さんは無実で立派な人物であり、彼はそれをわかっていたこと。それなのに何故父は殺されたのかと問い詰めるサチに彼は、あの日自分の母親が危篤との連絡があり、時間を焦っていた彼は、サチのお父さんを無理やりスパイとして殺してしまったのだと言います。告白が終わったところで、憲兵は自分を殺せとサチに言いますが、サチは医師に自分の血を上げてこの人を助けてと叫びます。そのとき銃声が響きます。憲兵が持っていた銃で自殺したのでした。
舞台は沖縄に移ります。豪放磊落な隊長とその娘(ナヲさんという名前だったような・・・)と出会ったサチはその温かい人柄に触れ、つかの間の心のやすらぎを得ます。そして、この地には幼なじみの健も兵士として従軍してきていました。戦闘が激化する中で、ナヲさんのお父さんも戦死していきます。いよいよ追いつめられたサチたちに、米軍から降伏勧告がされます。ところが、降伏などとんでもないと兵士が言い張り、青酸カリを飲んで玉砕しろと皆に迫ります。その時、皆を助けるためナヲさんが兵士から青酸カリのビンをひったくり、一人で飲んでしまうのです。驚くサチ。「吐いて、ナヲさん、吐いて」とサチは叫ぶのですが、もちろん間に合いません。ナヲさんは「見なさい、死ぬというのがどういうことか、よく見なさい」と言い残し、血を吐いて死んでしまうのでした。米軍からはなおも降伏勧告がされます。出てこない場合は攻撃するとの最後通告です。サチは皆を助けるために兵士に逆らい「今、出ていきます」と必死で飛び出していきます。しかし、半狂乱の兵士に背中を撃たれ、サチは倒れてしまいます。「シッカリシナサイ」とアメリカ兵に助け起こされるサチ。「あの人のもとへ」とサチは指さします。それは、戦闘で死んだ健でした。健のところへ連れていってもらうと、サチは息を引き取ったのでした。
最後のシーンは、大きな樹が1本描かれていました。「柿の木は今も繁っているが、その木に登る子供らはもういない」というようなナレーションだったと思います。多分初回のおてんばなサチや腕白な健、泣き虫のみちはるたちが遊んでいた柿の木のことだと思います。(カウカウ大臣様、ご確認を)
以上のようなあらすじが記憶として残っております。登場人物すべてが次々に死んでしまうというつらい物語でした。マーガレット時代の大島さんはヒロインを死なせてしまうストーリーが多くありましたが、雑誌を移られてからはそれがなくなりましたね。わたくしが思いつくかぎり、あとは『いちご物語』ぐらいです。そのへんについて語りだすとますます長くなってしまいますが、マーガレットではご自分が描きたいテーマで描かせてもらえないので少女コミックへ移ったという当時のインタビューがありましたから、マーガレット時代の作品には不本意な部分があり、単行本化されない理由の一つになっているのかもしれません。わたくしが覚えていたあらすじだけでは、欲求不満がつのってしまいそうですね。BBSに書きこみして めぐみ様をヌカヨロコビさせてしまったかなぁと、メールを書きながら思ってしまいました。どなたか、わたくしより詳しく覚えている方、雑誌を持っている方、出てきてくれますように!!そして めぐみ様がこの作品を読める日がきますように!! (願わくば、わたくしにも)(berryさん・99/9/22)
●berryさん『戦争はおわった』レポありがとうございました!詳細に渡って書いていただいて感謝感激!さっそく今夜にでもコーナーにUPします。私が記憶していた部分、やっぱり弟が亡くなったシーンなんでしょうね。35〜36号にあたる部分かしら。なんとかここを読めるように私も探してみます。無事読めた暁にはレポ書きますね。(めぐみ・99/9/22)
●掲示板でもちょっと描きましたが、キララ文庫さんから週マ34、35、38号を購入しました!!改めて35号をじっくり読みました。35号のあらすじを書きますと…。
母を亡くしたサチとみちはるは、健親子と共に疎開船に乗ることになります。ところが、出発当日に健に召集礼状が!健をひきとめようと、「闘うことはない、一番大事なのは命よ!」と叫ぶサチ。その言葉を聞きとがめた兵士たちは、彼女を袋叩きにしてしまう。サチを助けた軍医から、逃げずに戦争と闘えと言われたサチは、健の母とみちはるだけを疎開船に乗せ、自分は怪我人を助けるためにその場に残る。看護婦となる決意をしたサチの元に、弟の乗った疎開船が撃沈し、全員が死亡したという悲報が届いて……。
あー、このなりゆきだと私の記憶にある問題のシーンは、十中八九36号ですね。あともう一息なんだけどなぁ…。(めぐみ・00/7/7)
●読んでまいりました!国会図書館初体験で、ウロウロして係の人にも色々聞いて、まずは目的の本を借りた後、週マを借りました。30分の待ち時間の長い事!冊数制限があったので、36号と37号の2冊を借りるつもりだったんですが、5冊ごとに装丁してある関係で、最終回の掲載された39号まで読めてラッキー♪でした。
ドキドキしてなかなか目的のページをめくれなかったんですが、やはり!私の記憶にあったのは、この36号のシーンでした。主人公の弟が乗った疎開船が爆撃された!?という知らせを聞いて、ショックを受ける主人公……というところで終わった35号。そして、36号では、その疎開船のシーンから始まります。弟みちはるは爆撃のショックで頭を怪我して血が流しています。同行していたおばさんが倒れ、混乱の中、頭の傷のせいもあって、亡き母の幻影を見ます。(私が覚えていたのはこのシーン!)爆撃から逃れた人達は避難ボートに乗りますが、取り残されたみちはるは、ひとり甲板でいるはずのない母を捜します。ボートの人々の声も虚しく、みちはるは疎開船とともに海に消えてしまいます…。この後の展開は、すでに「おしえて!」でも情報をいただいていますので割愛しますが、なんにしても記憶のシーンを再び見る事が出来て幸せ!です。1970年なので、実に30年ぶりに読めてすっきりしました。当時私はみちはると同じくらい(もちょっと上かな?)だったはず。それだけにこのシーンはすごく印象に残ったんだと思います。記憶していたよりは、展開が早かったんだなという事も感じました。なんにしても、この依頼もついに解決!という運びとなりました。色々な情報を下さった皆さん、本当に本当にありがとうございました!!また、今回週マは創刊号から所蔵されている事がわかったので、次は、創世期の週マを読む!をライフワークにしたいなぁと思ってます。こちらの野望は、おチビが保育園or幼稚園に入ったらちょっとずつすすめていきたいです。(めぐみ・00/8/8)