●依頼No.30 依頼者:セサミさん

西谷祥子小鳥と暮らす少女の話について

私も西谷祥子作品には大変思い出が多く、別マやデラマ、セブンティーンなどで愛読していました。ところで、どうしてもタイトルと詳しいストーリーが思い出せないものがあるのですが、どなたかご存じないでしょうか?

セブンティーンかデラマに掲載されたものだと思うんですが、「ドームのような温室に木がいっぱいあって、小鳥たちも暮らしていてそんなところに女の子が育てられていたんですが、そこの管理者も女の子もいなくなった後、女性学者がそこを訪れて、小鳥たちが餌がなくて飢えているのを見て『そう言えば、バッグにビスケットの残りが』と言ってビスケットを砕いて手の平にのせたら『ピイーーーッ』と小鳥たちが集まってきてそのビスケットを夢中で食べるんです。女性はそれを見ながらはらはらと涙をこぼす」 という・・そんなシーンがあった作品なんですが。ちょっと美内すずえの『ひばり鳴く朝に』に設定が似ていたような気がします。どうぞ、情報お願いします。(ぺこり)

●打てばひびく・・・かな?セサミさん、はじめまして。6月から、こちらに立ち寄らせてもらっている齋藤です。おたずねの件ですが、……わたし 知ってます。(笑)おたずねの作品は昭和45年(1970)にデラマ春の号に掲載された読切り作品『行ってしまった小鳥』です。こんなお話でした。

「一人の若者が広大な温室の中で小鳥と小鳥のような少女を育てていた。あるとき、外に出た若者は事故に会い、帰り着くことが出来ず死んでしまう。若者は名家からはじき出され隠された存在だった。事故ではじめてその存在を知った、妹にあたるヒロイン(彼女は若くして財閥の家を切り盛りする冷徹な実務家)は収拾するため温室をおとずれる。そこで見たものは若者の帰りを待っていた小鳥のようにさえずる事しか出来ない少女。少女はヒロインの手を逃れるように飛び、死んでしまう。後日、温室に残された若者の日記を読んだヒロインは、日のあたる路を歩んできた自分の身と引き比べ、若者と少女の絆を思い悔悟の念に泣き伏す。」

『行ってしまった小鳥』はだいたい、こんなお話でした。<ああああ、われながら文章力と記憶力が足りない!(笑)>この作品については、情報としゃべりたいことがあるのですが、2時を回ってしまいました。今宵はこれくらいにしとうございます。(笑)午前様にHP junkai ha kiken desu.(齋藤いつきさん・99/7/17)

※齋藤いつきさん、さっそくありがとうございました。文字通り「打てば響く」お答えでした!情報&しゃべりたいこと、またぜひカキコお願いしますね。(めぐみ・99/7/17)

●まさしくその作品です。こんなに早くお返事がもらえるなんて。か、感激ですううう。

>この作品については、情報としゃべりたいことがあるのですが、

是非おしえてくださいませ。どうぞ、よろしくお願いします。(セサミさん・99/7/17)

●斎藤いつき様、さすがですね。セサミさんのHPで最初にこの作品の捜査依頼を見たときから解答できるのは斎藤さんしかいないだろうとは思っていたのですが、脱帽です。(トテさん・99/7/18)

●この作品は傑作でした。読み返した時[西谷さんは明るさも暗さもキチンと描くことの出来る作家さんだったんだなー]という思いを一層強くしたものです。楽園と現実、生と死。作中、若者の残した日記の1節、[赤ん坊を手に入れた。元気でよく笑ういい子だ。]というのがありました。 そこから、小鳥や樹木とともに楽園をつくっていったのですね。ドキッとします。うーん、あぶないです。(笑)じつはあぶなくて、そして美しく悲しいお話でした。西谷作品の短編群の中で必ずベストテンに入る傑作だと思っています。(齋藤いつきさん・99/7/23)

●「赤ん坊を手に入れた。よく笑う元気のいい子だ」

この印象的セリフによって、朧気ながら30年前の記憶が浮かび上がってきました。セリフが極端に少なく、ほとんどモノローグばかりの話だったような…。若者は少女の為の買い物をしていて事故に遭ったように覚えていますが…。とてつもなく前衛的で耽美的な話だったわけですね。それにしてもこの時期の西谷祥子の仕事は量も内容も超人的としか言いようがありません。出かける時間になってしまいました。もっと書きたいのですが続きは夜にでも。(トテさん・99/7/25)