●依頼No.712 依頼者:NOVAうさぎさん(04/02/07)

高階良子・『ドクターGの島』について


20年以上前になかよしコミックスで出ていた『ドクターGの島』は文庫化されていないのでしょうか?同時代のなかよしコミックスの他の作品は結構文庫でみるのですが…。シャム双生児や人体改造が扱われているんで、もしかして内容的にNGなんでしょうか?ご存知の方、教えて下さい。

 
● >NOVAうさぎさん

こんばんは。お答えではないので恐縮です。ほんと、文庫版では見かけないですね。なかよしKCを読み返して見ました。NOVAうさぎさんが感じられている様に、私も当時活字になっていた言葉や表現が現代では差別用語などとされて確かに再出版するには問題な部分があると感じます。この作品に限らず、他の作家さんの場合でもあると思います。

これは私の勝手な想像ですが、原作は江戸川乱歩の傑作で、言葉や表現を変更したり、削除することで原作そのものの内容の変化にもつながるような気がします。多分、文庫化は慎重な判断が必要なのではないのでしょうか。昔は「五体満足に生まれて・・」なんてものの言い方がありましたが、ハンディを持っていることが不満足か?と疑問が生まれて来ることでしょう。不自由な体をお持ちで、健常な方以上に立派に生活して世の中に貢献されてる方は多いと思います。

作品自体は『ドクターモローの島』を連想させるような面白さがあります。

美内先生の『赤い女神』も絶版とされてましたが、文庫化されましたので、高階先生のこの作品も良い形でまた再出版されるといいなあなんて思います。(恥さん・04/02/12)

●恥さん、情報ありがとうございました。他のマンガでも文庫化するときにセリフが変えてあったりしてますよね(はみだしっ子のアンジーが「松葉杖のチビ」になっているとか)。表現方法は時代によって変わるのでそれは仕方ないんでしょうが、元の漫画のセリフを覚えているとやっぱり違和感があるものです。

『赤い女神』が絶版となっていたのは人を食べるシーンがあるからなのかしら?まさか人種差別?(でも作品は「皮膚や言葉で人を差別するのはおかしい」という立場なので問題にはならないと思うんですが…不明)。恥さんのおっしゃる通り、良い形での文庫化を気長に待とうと思います。ありがとうございました。 (NOVAうさぎさん・04/02/13)

●『黒とかげ』文庫化の時に『血とばらの悪魔』が同時に選ばれただけかと思っていたのですが(ページ数や発表年代的に)、確かに内容に問題があって文庫化されていない、と考えるのが妥当でしょうか。『地獄でメスがひかる』も相当ヤバイと思うのですが文庫化されていますし、今の乱歩ブームで発行企画されないかしら、と心待ちにしている私です。 (なかよしKCで持っているんですが(笑))『ドクターG』は主人公の性別を変えたことで、すごく上手に少女マンガ化していて大好きなのですが(勿論原作は原作で大好き)。もしや逆に今それがネックに?御存じの方、宜しくです。

「赤い女神」文庫化されたんですね!探してこなきゃ!ちなみに『はるかなる風と光』も人食いシーンがあり、「再販は無理かなあ」と思っていたのですが、そのシーンの絵と台詞は修正されて文庫化されました。うーん、ビミョーな気持ち(^_^;)。『赤い女神』はどうなのでしょうか。(ゆっこさんさん・04/02/14)

●どうにもすっきりしませんでしたので、講談社編集部へ直接、問い合わせをしてみました。お答えは文庫化はこちらの出版社では今後予定はないとのお返事でした。理由はやはり扱われている内容とのことでした。しかし、作家さんとの話し合いで他の出版社から出るかどうかについてはわかりませんとのことでした。個人的には不適切な蔑称が使われているのでこれについては再出版考えると削除されるような気が致しました。でも内容までの変更となると確かに難しいものありますよね。残念ですが。

『赤い女神』の文庫版も入手して新書版と見比べてみました。喰べてますね。同じく文庫版でも。巷では人種差別で文庫化されないと言われていたようですが、私もNOVAうさぎさんと同じく人種差別のような問題点は感じていませんでした。むしろ病気の人を穴に閉じ込めて姥捨て山(口減らしもきつい発想です)と同様に放置した点において、病気への差別はどうなんだろうと思ってました。(病名は文庫版で削除されてます)この病気は最近、厚生大臣が隔離政策の誤りを謝罪したことを連想させます。

『はるかなる風と光』ほんとだ〜。喰べてますが表現がきつくならないよう新版では影でぼかしてますね。

こうして考えると過去、別な問題で表現の自由が裁判で争われたりしたこともなるほどと思いました。童話の『ちびくろさんぼ』もきれいな心温まるお話で大好きでしたが、違う立場で感じられることを認識致しました。 (恥さん・04/02/20)

●ご回答いただいた皆様、ほんとうに有難うございます。特に恥さん、わざわざ編集部にまでお電話いただいて…大感謝です!編集武にも色々しがらみもあるのでしょうが、純粋なマンガファンとしては寂しいですね。『はるかなる…』は未読なので、今度読んで見ます。有難うございました。(NOVAうさぎさん・04/02/21)

●2005年6月4日に文庫版が出るようです。
ぶんか社刊 ぶんか社コミックス文庫
『ドクターGの島』高階良子著 定価500円

表題作の他、収録作品については不明です。ネットでの予約は始まってないようですが、6月の予定表に上がったままなので、チェックしてみて下さいませ。(銀猫さん・05/05/26)
 
●>銀猫さん、良かったです〜。楽しみです。私も講談社版と比較してみたいです。ありがとございましたー。(^v^)(恥さん・05/05/27)

●今更書いても遅いですが、去年「ミステリーボニータ」の付録についてましたね。(○さん・05/06/04)

●予定通り6/4に文庫版が発売されました。定価は600円+税。収録作品は『ドクターGの島』『堕天使の人形』『白い旋律』となってます。
恥さん、○さんレスありがとうございました。(銀猫さん・05/06/05)