●依頼No.773 依頼者:こくんさん(04/08/19)

かみそりの刃を口にくわえて自殺を図る話について

かれこれ20年位前かと思いますが、食事に行ったときにおいてあったマンガなのですごくうろ覚え、だけどかなりインパクトあり、引っかかった小骨のように気持ちが悪い。こちらでなら見つかりそうなので、かいてみます。

覚えていることといえば

・どこかの施設の子供たちの話
・両腕の使えない子供がいる
・かみそりの刃をくわえて、全身に傷をつけ自殺(未遂かも)する

こんなシーンが今でも思い出されて かなり衝撃的だった。 同時収録作品に、知能指数が254ある子の話が載っていたような・・・。

たった此れだけの手がかりでわかってもらえるかは解りませんが・・・ 。よろしくお願いいたします。

 ●こくん様、はじめまして。お探しの作品は、汐見朝子さんの『春の足音』だと思います。1974年の「りぼん」4月号に掲載された作品で、後に『春の足音』のタイトルでコミックス化されています。そのコミックスに、確か『254くんが恋をした』というような作品が載っていたような気がします。

残念ながらそのコミックスは所有しておりませんが、『春の足音』が載っている1974年の「りぼん」が手元にありますので、あらすじをご紹介しますね。(実は、小さな頃私もこの作品に強いインパクトを覚えたのです!!)

幸子は、ある日カオルくんという小さな男の子と知り合います。カオルくんは小児マヒが原因で両手が動かず、言葉も少し不自由です。やがて幸子はたんぽぽ園という施設でアルバイトを始めます。そこには、カオルくんのように手や足が不自由な子供達の姿が。くりからもんもんの入れ墨をしたアル中の父親と二人暮らしのカオルくんは施設にも学校にも入れてもらえず、捨てられていたボロボロの教科書を何度も読み足の指で鉛筆を持ちながらひとりぼっちで勉強しているカオルくんの姿に胸打たれた幸子は、カオルくんを何とかたんぽぽ園に入れてあげたいと願います。

しかし、ろくに仕事もせず酒浸りの父親とは、話し合いすらまともに出来ません。そしてある日。父親がカオルくんを田舎へ預けると言い出すのです。自分は父にとって邪魔者であり、たんぽぽ園に入って勉強したいという夢も叶わない…。そんな絶望感から、とうとうカオルくんはカミソリを口にくわえて自分で全身を傷つけてしまいます。父親が発見し病院に運ばれますがカオルくんは既に虫の息…。ようやく改心した父親が「お前のことはどこにもやらねえし、たんぽぽ園にだって入れてやる。」と泣きながら叫びます。嬉しそうにうなずき父親の腕に頬をすり寄せたあと、カオルくんは幸子に向かって「サァチコさんは、ずっとずっとボクの友らちらね(友達だね)…。」との言葉を残して死んでしまいます。

ラストでは、幸子がたんぽぽ園で足を動かす訓練を投げ出しそうになった女の子に対し「あなたにはカオルくんの足の力がついている」と言って励まし、女の子が杖なしで歩くといったエピソードがあります。

コミックスは現在絶版で入手困難だとは思いますが、りぼん本誌ならヤフオクなどを時々チェックすれば出てくるかも知れませんよ。 少しでもこくん様のお役に立てたなら嬉しいです…。 (乙女座のジュンさん・04/08/22)

●乙女座のジュン様

もう十数年も気になって仕方がなかったこのマンガの名前がわかるなんて、感動してしまいました。
内容も、そのときまだ小学生であった私に 激しい何かを残したわけが今解った気がします。そんな切ないお話だったんですね

本当に感謝いたします。 本のほうも、出来うる限り探してみたいと思います。 (こくんさん・04/08/24)

●検索したら、ありました。たけのこ書房というところに・・・嬉しい限りです。早速注文しました。状態がどうであれ、もう一度読んでみたい。切な過ぎる内容ですが、当時を振り返りつつ感傷に浸りたいと思います。

この度はありがとうございました。(こくんさん・04/08/24)

●こくん様!
もう見つかったのですか…!?おめでとうございます♪そのサイト、私も以前利用した事があります。
数冊注文したら、一足違いで2冊ほどが既に品切れとなっていたという、ちょっぴりがっかりした経験が…。オークションサイトなどでも、りぼん時代の汐見朝子コミックスはなかなか見かけないので、ラッキーでしたね〜(^▽^*)

大人になってから読んで、より一層胸に迫る作品だなぁと私もあらためて思いました。 (乙女座のジュンさん・04/08/25)