●依頼No.828 依頼者:つばささん(04/12/21)
巴里夫・『つるハ○○ムし』について
巴里夫『つるハ○○ムし』のあらすじをご存知でしたら教えていただけますか。宜しくお願い致します。
●>つばささん、こんばんは。
『つるハ○○ムし』は母一人子一人の親子の物語です。主人公道子は早く父親を亡くし、母は女手ひとつで生計を立てる為、行商をしています。中学を卒業した道子は集団就職が決まり、故郷の九州を離れることになり、母との思い出を回想する形で物語が始まっています。道子は同級生の男の子に酔ってお酒をすすめたり、自分をタネに商売をする母のことをがさつで下品で教養がないと恥じています。けれど荷物を背負いながら古いことわざで物事を教えてくれたり、無知で無学な母が幼い娘に絵を描いてとせがまれ”つるハ○○ムし”で人の顔を形にして見せます。(つが頭、ハは眉毛、○○は目、ムは鼻、しは顎です。)道子は「おかあちゃんのためにかなしい目にあったり、はずかしい思いをしてばっかり」と言ってますが”つるハ○○ムし”はやさしくしてくれた思い出だとも言ってます。
母は授業参観で娘を応援したつもりが逆に傷つけたり、ひもじい思いの幼い道子がよそのつるし柿を盗んだとベルトで打ったりします。(他人からするとひどい折檻に思えるのですが、母なりの道徳の教え方でした。)道子は夜店で下着をも売らされたとうらみがましく語るのですが、実はこれも母なりに学芸会の主役になってひるむ道子に自信をつけさせるための方法でした。また、車の前に飛び出した道子をかばい相手のトラックに弁償するため、コツコツ貯めた洋品店の開店資金を弁償金に当てた話があり、母から口止めされていた老人からきかされます。さらに盗みの濡れ衣を着せられた娘の無実を晴らし、学校の前に座りこみをして汚名をそそぎます。最後に祇園祭の山車に乗った藤娘のわが子を本当に誇りにしていると母は語ります。東京行きの道子の乗った列車を見送る母達の姿を見ながら、母に教わったことわざを道子が反芻する場面で終わりです。
昭和の中学、高校卒業者が金の卵と呼ばれた時代のお話だと思いますが、本当に時代を良く表現した素晴らしいお話です。マーガレットレインボーコミックスの同名で発行されてますが(掲載誌は「りぼん」です)巴先生の本は本当に入手が難しい名作揃いです。このお話も昔の母の気骨が感じられて感動で涙が出ます。是非子供達にも読ませたいと思うお話ばかりです。お役に立てましたでしょうか。(恥さん・04/12/25)
●恥さま、こんばんは!
とても詳しく教えていただきありがとうございました。巴先生の作品は、やはり素晴らしいです。なかなか入手が難しいようですが、いつか読んでみたいと思っています。この度は大変お世話になりました。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。(つばささん・04/12/25)