●依頼No.839 依頼者:いちごさん(05/03/20)

 1990年頃・幽霊になってしまった女の子の話について

1990年頃の「ホラーハウス」という月刊誌に、流水凛子さんの『失われた旋律』という前後編のマンガが載ったのですが、たぶんそれと同じ号くらいにもう一つ前後編のマンガが載っていました。

父親は医者で、母親は頭痛持ち(?)で、どちらも娘には無関心。窓から見える貧乏ないとこの一家を少し羨ましく思っていました。親へのあてつけに自殺未遂をするのですが、その日も母親が頭痛でベッドに近寄ってこなかったので、そのまま死んでしまいました。女の子は中学生くらいで、幽霊になってしまうのですが、その子が触れた人は具合が悪くなったりするのに、いとこだけは強い子でなんともないんです。

どんな終り方だったのかも思い出せませんが、ずっと探しています。ご存知の方、教えてください。

●『「失われた旋律(ララバイ) : ロング・ロング・アゴー』は1988(S63)の10・11月号に掲載されたものです。 この号には、他に前後編作品はないので、その前後の号数ではないかと思います。(紙魚図さん・05/04/18)

●紙魚図さん、情報ありがとうございます。そんなに前の作品だったんですか・・・。マンガの内容が夏休みの話で、自分も夏に読んだような記憶があるので、もしかして8・9月号あたりに載っていたのかもしれませんね。(いちごさん・05/04/24)

●さて、最初にあやまっておきますが、いちごさんがお探しの作品は、ご記憶どおり『失われた旋律』掲載の「ホラーハウス」に載っておりました。すみません。

 >もう一つ前後編のマンガが載っていました。

 とお書きになっておられたので、わかりませんでした。 この作品は前後編ではなく、一話読みきり。

 掲載誌は「ホラーハウス」’88年10月号
 作者は瀬川乃里子
 作品名は『逮夜(たいや)』です。

 以下、お詫びです。

 沙也は死ぬつもりはなかった。その朝は、母の持病の頭痛がひどく、睡眠薬のビンにも、机の上の遺書にも気付かれず、そのまま、間違って死んでしまった。

 医者の父は忙しく、母は頭痛もちで小さいときからあまりかまってもらえなかった。

 ひとりでいることが多かったから、たまに誰かに話しかけられても、どう応えていいかわからず、そのうち誰も私には話しかけなくなった。

 隣に住む、いとこの亜季美はつよい。
 私は彼女のようには生きられない。

 父の病院を手伝うことになった橋口。
 そんな私にやさしい言葉をかけてくれた、彼に沙也は恋心を抱く。
 だが、橋口と亜季美が、楽しそうに仲良く歩いているところを見てしまう。

 死んでしまった沙也は、亜季美を祟るが、他の人と違って、彼女には心の隙がなく、沙也の力は一向に効かない。

 今度こそ。
 沙也は亜季美の部屋へ。
 狭い部屋。ビデをもコンポもない。
 毎年、エアコンで快適な私の部屋から、汗だくで勉強している彼女がいた。
 私は彼女が、そのカーテン赤毛のアン家みたい、といってくれた部屋からそれを見ているだけだった・・・。

 私は?

 私はいったいなに?

 亜季美の部屋から離れ、夜の町をさまよう。

 生きてたときも、死んだ今も同じ・・・。
 誰も私の存在に気づいてくれない・・・。

 いつか自分の姿かたちが思い出せなくなったら、私も意識だけの塊になってしまうのだろうか・・・。

 さびしい

 私はここにいるのよ
 私を見て
 私に気づいて

 さびしい
 さびしい
 さびしい

 どうして人はこんなにさびしいいのだろう
 どうして人はこんなにも人を想うのか
 なぜ人間は孤独ではいられないのだろう

 カラカラカラ
    恐山のかざぐるまが回っている
               カラカラカラ

 ふと、沙也は誰かの視線を感じる。
 そちらに目をやると、一人の小さな少女がこちらを見ていた。
 「あぁ もう誰もかれも自分のことばかり考えて 少しもこっちのことはわかってくれやしない」
 少女の母は誰かと、そんな話をしている最中である。
 母の服を引っぱる少女、母は静かにしておいでと、たしなめる。
 少女はじっと沙也を見つめている。
 沙也は少女にやさしく話しかける。

  私が見えるの?

 少女は手に持っていたキャラメルの箱を沙也の前に出す。

  食べる?

 沙也の頬に涙がつたう。

 わかってもらうことばかり考えていた
 誰もわかってくれないと恨んでばかりいた
 人にやさしくしたのは、やさしくしてもらうため
 人を気づかったのは、気づかってもらうため
 いつも自分のことしか頭になかった

 ・・・でも
 今は存在に気づいてくれただけでこんなにも嬉しい・・・
 
 やがて
 あなたは私が見えなくなるだろう
 私の存在に気がつかなくなるだろう
 
 それでも 私はあなたを守ってあげる
 いつでも あなたをわかってあげる

 それが今の私にできるたったひとつの存在証明だから・・・

……という、おはなしでした。単行本に収録されているかどうかは不明ですが、東京三世社の本が怪しそうです。古本屋で見かけたら、目次をチェックしてみるといいかもしれません。A5判です。ちなみに、『逮夜』とは、死者が幽界から西方浄土への歩みを始める日、その出発日のことをいいます。
 
●紙魚図さん、本当にありがとうございます!!まさにその作品です!!どこを探してもわからなかったので、感激です!!前後編ものではなかったのですね(^^;作者の名前も今の時点では聞いたことのない方ですが、これから頑張って探してみます。ありがとうございます。

それともう一つホラーハウス関係で探しているマンガがあるのですが、それに関してはまた新たにスレを立てます。もしご存知でしたら、そちらのほうもよろしくお願いいたします。(いちごさん・05/04/26)

●紙魚図さんへ
調べましたところ、『天使のクライブ』というコミックスに収録されているみたいです。最初、出版社に問い合わせましたら、瀬川さんの本は発売中止になっているのでわからないとのことで、もう見付からないかもと思っていましたが、しつこく聞いてまわってやっとわかりました。10年以上ずっと気になっていた作品です。紙魚図さんのおかげでまた読むことができます。本当にありがとうございました。(いちごさん・05/04/27)