●依頼No.957 依頼者:ねこパンチさん(06/10/11)

「カトルストン・パイ」という詩が出てくる話について

おそらく1970年代の「別冊少女フレンド」掲載作品だと思います。絵柄から、作者は高畑梨絵さんだろうと見当をつけたところです。ある読みきり作品のあらすじを思い出してみます。

ぼろアパートに、小説家志望の青年が住んでいます。青年はタイプライターで「ジェニィ ジェニィ ぼくのジェニィ」と打つ、内気な人間です。彼の片思いの相手、ジェニィがヒロインです。孤児院出身の、明るく気さくな少女です。(もしかしたら名前はジェインだったかもしれません)ふたりともお金がないながらも、隣室どうし助け合っています。

ところがある日、ヒロインがじつは大富豪の孫娘、セシルであることがわかります。遺産の取り分を増やしたいと思う親戚たちが登場して騒動が起こります。「でもどうしてあの子、ジェニィだなんてへんな名前を…」といぶかるおばさんもいました。セシルは幼いころ船の事故にあって、行方不明になっていたのです。そのあとは私の記憶はないに等しいのですが、トラブルから抜け出すために、たしか青年がヒロインを助けたはずで、最終的にセシルは遺産を受け取りました。

もうアパートには彼女は戻ってこないだろうな、と諦める青年のところにセシルが「人違いだったのよ」といって帰ってきます。ふたりが恋人どうしになり、ラストページの「遺産? ぜーんぶ寄付しちゃった だってあたしにはお金よりも大切なものがあるんですもの」という、彼にはナイショの、読者への言葉でお話が終わります。

この作品のタイトルはわかりません。
ところで、そのことよりも気になっていることがあります。ここからが本題なのですが……

あるヒロインが「くまのプーさん」の本を路地でみつけて、その中に出てくる「カトルストン・パイ」という詩を読んだとき、どんなパイなのかいろいろ想像したわ、と誰かに告白するシーンがあります。私の記憶にある絵柄はやはり高畑さんのもので、ヒロインが子どものころ貧しかった少女であることも同じです。
しかし、この少女がセシルという名前であったかどうかがはっきりしないのです。パイの話を回想するシーンだけが別個のもののようで、前後からストーリーが続いていきません。

私がひとつのお話をきちんと覚えていないだけなのか、記憶している高畑さんのお話が複数あるのか、どちらかなのだと思います。もし作品が複数あるのなら、カトルストン・パイの出てくるお話のあらすじ、タイトルも知りたいのです。手がかりをお持ちのかた、情報をお知らせいただければ幸いです。。

●初めまして。私は70年代の「少女フレンド」を集めているのでお力になれるかも知れません。

1977年10月号『カトルストン・パイ焼けた!』と言う作品が掲載されています。簡単なあらすじは富豪の令嬢のロティが旅先でお金を落としてしまい、そこで助けてくれた堅物青年のアレックスの研究所でバイトをする事になります。やがてアレックスはロティが富豪だと知り騙されたと思って拒絶しますが、
実際は彼女は養女でずっと淋しい思いをして来た事がわかって二人は結ばれます。

この作品の「くまのプーさん」の本を路地で見つけるくだりは回想シーンです。アレックスの家で彼の母親の焼いてくれたパイを見たロティは、「カトルストンパイって知ってる?」と言ってパイの詩の話をします。「どんなにステキなパイかしら…幸せのおまじない…夢のパイ」と想像しますが、すぐに現実に戻って「でもそんなものありはしないのよね」と淋しそうに言い放ちます。

それから他の号に掲載されている高畑さんの作品も確認してみました。残念ながら私の手持ちの中では該当する話は見つけられませんでしたが、1975年7月号の予告に『ピンチ★ピンチ★ジェニィ』と言う作品がありました。字が小さくてジェニィかジュニィかはっきりしないのですがご参考になればと思います。(アイネさん・06/10/20)

●>アイネさん
とても丁寧なお返事をありがとうございます。
たしかに主人公が「くまのプーさん」の本を路地で見つけたことは、回想シーンにおいて描かれます。
パイの話をするとき、ヒロインが寂しげだったというところも私の印象と同じです。幼いころは貧しかった少女、と私が思っていたのは、富豪の養女になったからその後は金銭に不自由しなかった、という認識に基づいていたためでしょう。タイトルに、このパイの名前もあったように思います。まちがいありません。探していたのは『カトルストン・パイ焼けた!』です。ヒロインはやはり元気なセシルではなかったのですね。

『ピンチ★ピンチ★ジェニィ』についてもお知らせくださってありがとうございます。この作品が掲載された号を調べると、目次に見覚えがありました。私が読んだことは、ほぼ確実です。おそらくコメディ色の強いセシルが登場するのが、こちらなのでしょう。

高畑梨絵さんのコミックスは数多くはないようですが、国会図書館で作品を読む機会もあるでしょう。
おかげさまで、安心して探すことができそうです。ふたつの作品のいずれもメジャーではないと思っていたので、貴重な情報をいただけたことは望外の喜びです。このたびは大変お世話になりました。改めて御礼を申し上げます。(ねこパンチさん・06/10/20)