●依頼No.974 依頼者:ねこパンチさん(06/09/08)

恋人が強盗団の一人ではないかと疑う女性の話について

タイトル、作者名が思い出せず、苦しんでいます。お心当たりの方のお力をまたお借りしたく、お願いいたします。単行本に収録されていた読みきりのように思います。同時期に佐々木淳子さんの『WHO!』や堀泉下さんの『全部で四人』を読んでいたので、東京三世社のマイコミックスのシリーズかもしれません。これらはA5のハードカバーでした。手放してしまいましたが、初版を読んでいたなら、1982年ころのことでしょう。

主人公は髪の長い元気な女性です。ときは春、山にある家で、ハンサムな男性と一緒にいます。主人公はテレビのニュースで昔の強盗犯人のことを知ります。犯人は複数で、鼻のぶつぶつが目立つ眼鏡をかけた男のほか、背の低い美少年がいました。その少年の顔立ちが自分の恋する男性とよく似ていることから、主人公は彼の過去に疑いを抱きます。

そこへ、おかしな顔の男がたずねてきます。強盗が奪った宝を、山に隠したかもしれない、そしてそれを取り戻しにきたかもしれない、と主人公は考えます。少年が強盗に加わったときの回想シーンがあり、雪のなかで凍えながら「この実は食べられる…」など苦労した様子が少し描かれます。そして結局は、客の男が昔の美少年と同一人物であったことが判明します。成長して、顔がすっかり変わってしまった、というオチでした。

明るい野原で「ぼくは宝をみつけたよ」「どこで!?」「ここで…」という会話があり、恋の成就を感じさせるのですが、最後のページに仕掛けがあります。主人公の恋人が部屋に持ち込んだつぼには、土と一緒に鼻つき眼鏡が入っていて、それが強盗の変装道具であったものだということが読者にわかるのです。

作者は「主人公がとびはねた結果、コメディのふりをしたサスペンスという摩訶不思議なものになりました」というようなコメントをつけていました。作者は女性で、誕生日が書かれていて、おひつじ座生まれであることがわかったことを覚えています。絵柄と内容からいって、読者を男性や子どもには想定していなかった作品ですが、どういう雑誌で活動なさった方なのかはわかりません。手がかりをお持ちのかた、よろしくお願いいたします。

●東京三世社のマイコミックス『全部で四人』、持っているので見てみたところ、お尋ねの作品が収録されてました。タイトルは『めぐれば春』、作者は堀泉下さん(当然ですね;)です。ほぼご記憶どおりのストーリーですが少し補足すると、

・ヒロインは都会の学校を卒業して故郷の村に帰ってきた。
・その帰郷の際に列車で乗り合わせた若い学者が、ねこパンチさんいわく「ハンサムな男性」
・「おかしな顔の男(客の男)」は、ヒロインの父親が彼女の夫にと考えている地元の教師。
・ヒロインの家は山地主で、「跡継ぎの娘の結婚相手は地元のインテリでないと!」と父親は考えている。

 その相手を気に入らないヒロインが、列車に乗り合わせたハンサムな学者を「彼のほうがいい!」とアタック→最終的に学者と結婚といったところです。(ころさん・06/09/11)

●>ころさん
さっそくのお返事、ありがとうございました。おかげさまでやっと落ち着きました。『めぐれば春』の可能性を考えてはおりましたが、確信がなかったので悶々としていました。私のつたない文章でもご理解いただけて、嬉しかったです。補足してくださった部分がやはり思い出せないという事実はなかなかに厳しいものですが、次回のお楽しみ、と思うことにいたします。このたびは大変お世話になりました。本当にありがとうございました。(ねこパンチさん・06/09/11)