ここでは、長年サイトを管理してきて、その中でよく受ける質問について、私なりの答え方をさせて頂きました。いろんな考え方もある質問もありますので、他のクローン病の人とは、全く違う考え方の場合もでてきますが、御了承下さい。

質問1、どのような職種が良いですか?

 この質問をよくされるのですが、非常に難しいです。体力消耗を考えると、事務系とも言えますし、在宅でもできる可能性があるからIT関係とも言えますが、痔瘻の人は座りっぱなしの事務はきつい時がありますし、IT関係は、締め切り等があると、徹夜続きという事もあったりするでしょうし。そして、事務職といっても、A会社とB会社とでは、仕事のきつさというのが違ってくるので、一概に、この職種とは言えないです。反対に、体力仕事でも、前やっていた事務職よりも楽だという人もいて、本当に会社or部署によりけりです。
 従って、一番無難なのは、若いのなら公務員を目指されるのが、一番無難だと思います。公務員でも、きつい部署はありますが、平均的にみれば、会社に比べれば仕事のきつさの差というのはバラつきは少ないと思います。また、入院した場合でも、解雇される可能性が、企業に比べるとわりかし低いというのがあげられます。

質問2、就職や進学で、病気の事を言った方が良いですか?

 この質問も、多く受けます。これも、本当に様々です。基本的には、再燃しやすい人は、会社側(或いは学校側)に知っていてもらった方が良いと思います。反対に言わないと、通院を全くできなくなったり、調子が悪くても入院できなく、仕事(学校)も休む事ができない事になります。
 ただ、病気である事を言うと、採用されない(不合格)場合が多い事も事実です。会社としては休まれては困るし、学校(特に専門学校等)としては就職率等に響いたり、すぐに退職or退学する可能性が高い等があります。
 従って、これも、どうすれば良いという答えはないですね。正直に言った事により、その気概に人事部の人が動かされて就職できた人もいますし。ここは、自分の中で考え方が揺れ動く分野だと思います。生活していくには働かないといけないですし、かといって、黙って就職した事により、無理して悪化し、結果的に手術時期が早まってしまったりする事も考えられます。だから、何度も就職活動をしていく中で、自分の中で自分なりの考え方をまとめていくしかないですね。
 あと、障害者手帳を所持している人は、障害者枠での就職活動と言うのも考えられるので、そちらの方も挑戦してみると良いと思います。

質問3、実際に同病の人と会って(話して)みたいのですが?

 同病の方と出会える機会というのは、病院・患者会・講演会・ネットのオフ会・身近にいる場合の5点が考えられます。以下、それぞれについて答えたいと思います。

病院の場合
 通院や入院中に会える場合があります。通院では、主治医が何人ものクローン病の人を診ている場合は、待合室に座っている隣の人が、クローン病の可能性があります。しかし、いきなり話し掛けるのは、勇気がいります。入院中は、40歳以下でIVHをしている人は、クローン病の可能性があります。この場合は、朝の洗面時や団欒室で一緒になった時等に話し掛け易いですね。しかし、必ずしも、あなたと同じように、相手が同病の人と触れ合いたいと思わない場合があるので、その場合は、迷惑にならないように潔く引きましょう。

患者会の場合
 最近では、だいたい全国に患者会があります。無い場合でも、隣県ならある場合があるので、これを活用してみても良いですね。しかし、患者会に関しては、活発な会とそうでない会、フレンドリーな雰囲気だったり、真面目な雰囲気の会というのがあります。雰囲気に関しては、参加してみれば、すぐにわかると思います。活発な会かを見極める方法は、最初に行った時に、会がある度に何度も参加される人が多いかどうかですね。活発で無い場合は、あなたと同じように、入会したばかりで、初めて或いは2回目という人ばかりという場合が多いです。また、患者会の場合は、本人ではなく、家族(主に両親)がきている場合も多いです。

講演会の場合
 最近では、炎症性腸疾患の講演会が多くなりました。こういうのに参加し、会場で知り合う場合があります。開演までの待ち時間や、帰宅時の電車で一緒になった場合は、さりげなく声をかけてみても良いかもしれません。

ネットのオフ会の場合
 オフ会というのは、パソコンの電源を切った状態で会うから「オフ会」というと言われています。最近では、あまり掲示板等のオフ会を開いているというのを聞かなくなりました。私の所では、東海地区限定掲示板でのオフ会を年に1回くらいはやり続けていますが、今後も続けていけるかはわかりません。しかし、こういうオフ会を開催された場合は、参加してみても良いと思います。
 また、オフ会がない場合は、個人のホームページやブログを運営している人が多くなりましたので、その運営者と会うという方法もあります。最近は、本当にこのさようなサイトが多くなりましたので、同じ県内にはいなくても、隣県くらいには住んでいる場合が多いです。
 ただ、掲示板のオフ会にも言える事ですが、いきなり参加したいor会いたいと言われても、相手側のモチベーションが低いと実現は薄いです。掲示板に何度も書き込みor運営者にメールをする事により、相手側にも会いたいと思わせる事が大切です。患者会とは違うという事を念頭におく必要があると思います。


 あと、掲示板に投稿される時のハンドルネームは、街角で声を掛けられても、恥ずかしくないものにしましょう。オフ会で会うと、本名でなくハンドルネームで通常呼び合います。ガンダムが好きだから「ガンダム」というハンドルネームにすると、「ガンダムさん」と場所を選ばず呼ばれます。(笑)また、掲示板に書き込むと個人が特定されるのではないかと思われるかもしれませんが、ホームページの管理者はプロフィールを公開していたりするので、周りの人に見つかる可能性はありますが、掲示板は、投稿したものが流動的なものなので、クローン病同士の知り合いには知られる可能性はありますが、自分の周りの人には知られる可能性は少ないです。また、クローン病のサイトも多くなりましたので、更に、投稿されても見られる危険性はかなり少なくなったと思います。

身近にいる場合
 最近、クローン病も増えてきた為に、意外に身近にいたりする事が多いです。例えば、会社内・学校内等です。近所にいる場合もいますし、同じサークル内というのもあります。私も、話してみたら、同病の人だったというケースが、何件かありました。

質問4、同病の友達を作りたいのですが?

 これは、質問3と似ていますね。知り合うきっかけは、質問3と同じです。ただ、上にも書きましたように、相手がその気がないとダメです。また、クローン病という病名は一緒でも、性格は様々です。合う合わないというのはあります。 
 しかし、多くの同病者と知り合えば、その中で、自分に合う友達はできると思います。中には、クローン病の人=暗い人というマイナスイメージが先行して、同病の友達を作りたくないと思われる場合もありますが、そういうあなたも暗い人ですか?という事になります。本当に性格は様々です。探せば、同じ車好き・バイク好き・スノボ好き・釣り好き・アニメ好き・ロボット好き等、アウトドア派からオタク系まで趣味が合う人は、3万人くらいの患者数がいるのですからだいたい見つかると思います。自分に合う友達ができれば、食事やトイレ等の病気の事をよく理解し合っているし、付き合いやすいと思います。
 また、私の経験上では、年齢重視よりも、性格重視でいった方が良いですね。若い方は、なかなか歳が離れた人と付き合った事はないと思いますが、性格が合えば、自分の父親or母親くらい歳が離れていても大丈夫です。会社やサークルに入れば、歳が離れている人と付き合うのは当たり前というのと同じです。
 決して、同病の友人ばかり作れとは言いませんが、普通にこれも自分の友達を増やす方法のひとつだと軽い気持ちでいけば良いと思います。

質問5、結婚できますか?

 これも、多い質問です。結果論から言わせて頂きますと、もちろん結婚できます。私も、ネット歴が長いので、多くの同病の人と知り合ってきました。その多くは、知り合った当初は、独身だったのですが、今や、多くの人が既婚者になり、独身は私だけと思いたくなるくらいです。(笑)中には、「私は、絶対に結婚できない」と断言していた人も、その後結婚した人が何人もいます。そういう事で、異性と知り合い結婚はできます。
 ただし、病気持ちというのは、なんらかの障害をもたらす可能性があるのは事実です。まず、病気というだけで、相手から距離をおかれたり、相手の両親に結婚を反対されるなど。ただ、病気と言うのは、全く絶望的なものではなく、外見が良くない・短足・背が低い・いびきをかく・おならをよくする等と同じようなもので、前述したように、多くの人が結婚されていますので、可能性は無限にあります。ただし、その為になんらかの努力や運は必要でしょうね。

質問6、友人を含めた周りの人に、クローン病の事を伝えた方が良いですか?

 これも、時々受ける質問です。基本的には、自分がしたいようにすれば良いと思います。あくまでも、病気の事は、プライバシーに関する事なので、言う必要も全くありません。ただ、オープンにする人は別として、隠している場合は、大変な事も出てきます。まず、友人と一緒にいる場合、食事の問題が生じます。会社では、付き合いの飲み会等があるので、よく再燃しやすい人は、意味も無く断り続けると、人間関係上支障をきたすかもしれません。従って、アレルギーがあるような言い方をするのも、ひとつの手だと思います。ただ、入院も多い病気なので、そうなった場合は、知られてしまう事になりますが。
 私の場合は、「食事制限をしないといけない消化器の病気を患っている」とだけ言っています。病名をいきなり出す事はなく、聞かれれば言うというスタイルです。どちらかというと、オープン派でしょうか。理由は、昼は、食べずにエレンタールを飲む事が多いですし、これからも一緒にいる友人だったら、長い目でみた場合、知っておいてもらった方が良いと思うからです。ただ、賀状だけのやり取りの人など、あまり深く付き合う事もない人には、わざわざ言いません。

質問7、病名をどうやって伝えたら良いでしょうか?

 これは、クローン病がまだまだ認知されていないのと、「クローン病」という病名なので、わかりづらいという事があると思います。「クローン技術のクローン?」と聞きなおされたりもします。そこで私の場合は、クローン病とは言わずに、「炎症性腸疾患」と言っています。これだと、漢字的にも「腸に炎症ができる病気だな」とわかりやすいと思います。時々、病気の事に造詣が深い人がいますが、そういう人には、直接「クローン病」と言う事があります。

質問8、友人との食事は、どのようなところで食べますか?

 これも、よく受ける質問です。うどん屋、ファミレス、寿司屋、定食屋、どんぶり屋、居酒屋、牛丼屋の朝定食というところでしょうか。他にも喫茶店とかでも、うどんとかをおいている店はありますので、情報誌に目を通したりすると良いですね。ちなみに、再燃中は、ファミレスか、居酒屋にしてもらっています。ファミレスでは、ドリンクバーだけにして、居酒屋ではウーロン茶だけにしています。質問6に書いているように、友人には病気の事を伝えているので、自分はドリンクだけでも、向こうは気にせず食べてくれます。一番辛いのは、自分に合わせて、食べないでいてくれる事ですから。人が食べているのを見ているだけなのは慣れました。(笑)

質問9、栄養剤は、経管経腸と経口とどちらで摂取したら良いですか?

 どちらでも良いです。とにかく、栄養剤を摂る事が大切ですね。ただし、経口だと一気に飲むので、下痢しやすく、経管経腸だとゆっくり落とすので、栄養の吸収も良いです。それと、再燃等でエレンタールの量を増やさないといけない時は、時間的に昼間の経口だけではきつい事もあります。やはり、寝ている間に栄養摂取できる経管経腸は便利です。特に、会社や学校に行っている人は、経管経腸も経口でも、栄養剤を摂取できるようにしておいた方が、社会生活をおくりやすくなると思います。

質問10、民間療法は、どうでしょうか?

 発症間もない方から、よく受ける質問です。発症直後は、絶対に治したいという想いから、このように思われるのも、よくわかります。民間療法というのは、数多くの種類がありますが、ほとんど効く事はないでしょう。効くなら、どんどん病気が治っていき、患者数も右肩上がりという現象は起こらないですから。少なくても、クローン病のサイトを持っている人は、現在もクローン病という訳ですから、民間療法で治ったわけがないという事です。(笑)
 という私も、発症直後は、いろんな民間療法を試しました。総投資額も、コンパクトカーなら買えるかもしれないくらい費やしました。結果は、再燃を遅らせる事もできませんでした。しかし、中には、本当に治る民間療法もあるのかもしれません。あくまでも、自己責任という事ですね。あと、治ったと思っても、長期的な緩解期に入っているだけかもしれないので注意が必要です。

質問11、栄養剤や薬が余っているのですが、どうすればいいですか?

 掲示板で「栄養剤いりませんか?」という書き込みもかつてありました。栄養剤を自宅に余らせている人も多いみたいです。栄養剤や薬が余っている場合は、主治医に余っている事を伝えて、処方をストップしてもらいましょう。私も、数年間かけて、積もりに積もって、かつてエレンタールのダンボールを11箱家に積んでいた時がありました。なかなか、主治医に余っている事を伝えづらかったのですが、捨てるのも良心が痛み、ある時、思い切って伝えてみたらあっさりと処方ストップができました。4ヶ月間、処方をストップしてもらったら、11箱のエレンタールもきれいになくなってしまいました。
 特定疾患の自己負担も、最初は無料だったのが、そのうち1ヶ月2千円になり、今は収入に応じてですが、多い人は月に1万4千円もの自己負担が生じています。処方されている栄養剤によって値段が違いますが、1包当たり300円だとしても、300円×1日4包×1ヶ月(30日分)×1年(12ヶ月)×3万(クローン患者数)=129億6千万円(社会保険と特定疾患受給分)です。もし、全員、栄養剤を捨てていたら、膨大な医療費を無駄にしている訳になり、今後、また自己負担が増えても自業自得という事になります。私達も、身近な事から、医療費削減に努力しましょう。