もし、クローン病の患者数が多かったら?

(まえがき)
 クローン病は、難病に指定されており、患者数もまだまだ少ない病気です。そこで、反対に、クローン病患者が多かったらという事を考えてみました。


学校編

登場人物

A先生・・・クローンの権威
B母親・・・C少年の母親
C少年・・・クローンを発病する患者
D少年・・・クローン歴3年の患者
E・・・・・・・同級生(クローン)
F・・・・・・・同級生(クローン)
G・・・・・・・同級生(クローン)
H・・・・・・・同級生(クローン)
I・・・・・・・・健康な同級生
J担任・・・・C少年達のクラスの担任


200X年12月2日
教室にて
C少年
「最近、下痢が続いて、熱があるんだよ」

D少年
「それって、クローン病やないか?一度、病院で診てもらえよ。俺も、3年前の高校受験の最中に、発病したから、お前も、この大学受験のストレスでなったのかもな」

C少年
「もし、クローンだと、お前と一緒に、昼にあの不味い液体を飲まないといけないんやろ?それは、嫌やな。学校帰りも、買い食いとかできんしな」

D少年
「でも、俺も、EもFもGもHも我慢しとるんや。まあ、クローンだとしても、これだけ仲間が多いんやから、心強いやろ。とりあえず、手遅れになる前に、病院に行ってこいや」

200X年12月5日
病院にて

B母親
「先生、検査の結果はどうでした。やっぱり、息子はクローン病なんですか?」

A先生
「間違いないですね。まあ、今の若者の5人に1人は、クローンと言われていますからね。やっかいだけど、決して、珍しい病気じゃないですからね。分かっているとは思いますが、脂肪や刺激物は避けて、低残査の食事をとるようにして下さい」

C少年
「あ〜、やっぱりクローンか。これで、ハンバーガーともおさらばか」

家にて

B母親
「ちょうど、今日の6時からの「料理バンバンザイ」で、クローン食特集だって。あと本屋でも、「クローン食献立365日」という本を買ってきたし。これで、勉強しないとね。とりあえず今晩は、Cはまだ調子が悪いから、豆腐とエンレンタールね」

C少年
「これで、毎日が地獄やー!」

200X年12月6日
教室にて

D少年
「昨日の検査の結果、どうやった?」

C少年
「やっぱり、クローンだってよ。今日は、体調が悪いから、エレンタールを持ってきた」

D少年
「まあまあ、他にも仲間がいるんだし。これで、お前もエレン族やな」

J担任
「おい、C!お母さんから、聞いたぞ。お前もクローンになったってな。そしたら、お前をストレスがかかる学級委員から外して、黒板消し係にしないといかんな。でも、お前で、俺のクラスから6人目か。本当に、多くなったな。おい、I!お前が、代わりに学級委員をやってくれ」

I少年
「え〜、でもCが、クローンになったら、しょうがないか」

C少年
「悪いな、I。」

I少年
「いいって、いいって。気にするな」

C少年
(みんな病気の事を知っているから、助かるな)と思って、感謝した。



会社編


登場人物
A先生・・・クローンの権威
B社員・・・クローンを発病した会社員
C社員・・・B社員の同僚
D上司・・・B社員の上司


200X年5月2日
検診車にて
B社員
「会社の定期検診は、嫌やな〜。最近は、定期検診に検便やるし、採血も一杯血をとるからな」

C社員
「癌検診は歳をとってからやけど、クローン検診は若い内からあるもんな」

B社員
「去年の会社の定期検診から、クローン病が5人見つかったみたいやしな。俺も、気をつけんとな」

200X年5月30日
会社にて

D上司
「おい、B君。どうも、血液から炎症反応と便から血便が出たみたいで、再検査の通知がきたぞ!」

B社員
「本当ですか!」

D上司
「とりあえず、今度は病院で、大腸の内視鏡みたいやぞ」

B社員
「うげ〜!」

200X年6月2日
病院にて

A先生
「内視鏡の結果、潰瘍がありますね。この潰瘍の出来方から見ても、クローンでしょう。今後の指導もしないといけないし、しばらく点滴で腸を安静にしたいので、入院をして下さい。まあ、クローン病といっても、早期に見つかったので、今後しっかりやれば、手術をしないでいけますよ」

B社員
「やっぱり、クローンでしたか。これから、何も食べられないのですね。入院は、きっと2ヶ月以上ですよね。一度、上司に聞いてみます」

200X年6月3日
会社にて

B社員
「やっぱり、クローンでした。入院しないといけないそうです」

D上司
「そうか。まあ、うちの会社には、福利厚生で難病休暇があるから、まだ良いよな。ここは、とりあえず体を休めて来い」

B社員
「それでは、すいませんが、あとはよろしくお願いします」



(あとがき)
 今回の”if”は、クローン病患者が多かったらという事ですが、若い内に発病する人が多くなると、根治しないので、社会にはクローン病の人が溢れる事と思います。
 まず、学校編ですが、ポイントは、学校の中で、一緒の病気が多いので、クラスメートに遠慮しないで、エレンタールを飲めるという事。そして、クローン病の治療方針が、一般的に知られているという事。そして、テレビや本屋で簡単に情報が入るという事。更に、何よりもクローン病に対して理解があるという事です。

 次に、会社編ですが、ここのポイントは、現在の定期検診は、中年以降の成人病と癌を重要視していますが、ここでは、検便と採血でCRP等も調べる事で、若い内からクローンを調べる検査をするという事です。このおかげで、早期にクローンを発見できると思います。そしてここでは、「難病休暇」というのを出していますが、クローンを始めとした難病患者が増えれば、社会復帰に重点を置いた、育児休暇のようなものが出てくると思います。

 いずれにしても、クローン患者が増えれば、今よりも周りの目というのが暖かくなると思います。