ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その１０２

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

六

ⅵ

「遅い！」

　開口一番睨まれて身をちぢこませる。

「すみません。少しいろいろありまして」

　必死の思いで詫びるとふと視線を移した高松が、

こちらのバッグを見てふと目元をなごませた。

「……鍵を見つけたようだね」

「あ、はい。実は……」

　説明しようと口を開くが高松に遮られる。

「その報告は今はいい。今はそれより先に用事があるのでね」

「どちらかへ向かわれるのですか？」

　首をかしげると高松が重々しく頷いた。

「ああ。君もついてきなさい」

「はい。あ、あの、私自転車なんですけど」

　麻里は遠慮がちに告げる。

律子から借りたものなので粗末にはできない。

かと言って、２人乗りすると法律違反になってしまうだろう。

覗うように高松へ視線を向けると、高松が渋面を作った。

「それは置いておいてくれ。タクシーを使うから」

「……はい。わかりました」

　麻里は頷いた。

（律子さん、ごめんなさい）

　本当なら押し切ってでも自転車を持っていきたいが、

上司の機嫌を損ねるわけにはいかない。

麻里は内心で律子に詫びを入れつつ、高松に従いタクシーに乗りこんだ。

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