ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その１０３

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

六

ⅶ

　辿りついた先は喫茶店だった。

麻里は高松の後ろについてタクシーを下りる。

　「香夢異」と記された看板と、

蔦に覆われたレトロなイメージの外観を眺めながら扉を開ける。

中へ入ると、薄暗い店内の一番奥に佇む男性が目にとまった。

「え、あの人って、梅畑市長！」

「なんだ、知り合いかい？」

　驚いて声をあげると、高松が驚いたように振り返ってくる。

「いえ、初めてお会いします。

でも選挙ポスターとかではよく見かけるので」

　梅畑雅秋(まさあき)。

この黄梅市の市長がなぜこんなところにいるのだろう。

首をかしげるこちらをよそに高松が顎に手をあてる。

「なるほど。ならなおさら知っていておいてほしいな。

紹介するから、いくよ」

「あ、はい」

　高松の言葉に気後れしながら首肯すると、

雅秋のほうへ向かう彼の後ろに付き従った。

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