ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その１０５

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

七

ⅱ

「ただいまー。やっとついた……」

　律子は家に着くなり、玄関にへたり込んだ。

まだお昼を少し過ぎただけだというのに色々なことがありすぎた。

肉体的にもそうだが精神的な面での疲労が多い気がする。

（とりあえず次の神社の名前はわかったけど……って、あら？

うちにこんな靴あったかしら？）

　うなだれた視線の先に、見慣れない靴を見つけ首を傾げる。

長女の靴にしてはつま先が細く大人っぽい焦げ茶色の靴を

眺めていると、背後からドアが開く音が聞こえてくる。

「母さんおかえりー。直実（なおみ）伯母さんが来てるよ。

土と野菜持ってきてくれたんだって」

　居間の扉から顔だけを出し告げられた翔の言葉に

律子は慌てて立ち上がった。

「え！　嘘。ちょっとなんで電話してこないのよ」

　大急ぎでスニーカーを脱ごうとするが、

なかなか脱げずにイライラする。

「だって伯母さんがしなくてもいいって言ったし」

「しなくていいって言ったとしても、しなさいよ、まったくもう」

　律子は四方へ靴を飛ばしなんとか脱ぐと、

小走りで部屋の中へ入った。

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