ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その１１

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

一

ⅹⅰ

　風の吹いてきたほうへ視線を向ける。

そこには青々と生い茂った草木の真ん中に細い梅の木が立っていた。

「あ、あれだ。きっとあのそばに植えればいいんだわ」

　最初の種は梅の木の隣へ、と高松からもらった説明書にも書いてあった。

麻里は梅の木の前へ立ちその隣を手近な棒で掘りおこす。

硬い地面に何度かへこたれそうになりながら掘ると、

やがて種を植えられるくらいの窪みができた。

「つっかれたー」

　手に豆ができてしまったらしい。

痛む手を擦りつつパッグから種を取りだす。

「きちんと出てよーいい子だからー」

　念じながら種を植え、多島からもらった土をかける。

「こんなもんかな？」

　かけた土にペットボトルへ入れたまいまいず井戸の水を撒き、

変化が起こるのを待った。

「……あれ？　なんにも起きないじゃない」

　困った。失敗だろうか。

　高松の怒号を想像して肝を冷やしていると、

不意に強い風に全身を煽られた。

「うわっぷ！」

　息もつけないほどの激しい風に瞳を閉じると、

何やらまぶたに明るい光を感じる。

おそるおそる目を開けてみると、そこには膝丈ほどの梅の木がはえていた。

　麻里はしゃがみこんだまま、その木をまじまじと見つめる。

「なんだろう？　あれ」

　奥のほうにきらりと光る物が見えた。

麻里は手を差し伸べその光っている物を取る。

するとまたしても突風が吹き荒れ、

次に目を開けた時、そこにはたった今まであったはずの梅の木は

跡形もなく消えていた。

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