ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その１１０

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

七

ⅶ

「蜂万（はちまん）神社？

聞いたことはないけど柚祈ってことは獣人たちの場所ね……」

「そうなんですよ。

だからお義兄さんから聞いたことあるかなって思って」

　直実が人差し指でツンツンと種を触る。

興味があるのかと気を利かせて義姉へ手を近づけるが、

彼女は手を横に振りながら拒絶してきた。

（やっぱりこんな普通の種じゃ本物かどうかも疑わしいのかしら）

　律子は直実の態度に少しだけ落ち込む。

それが義姉にも伝わったようだ。

「ごめんなさい。そんなつもりじゃなかったのよ。

蜂万神社のことは今日、

大輔さんが帰ってきたら訊いておいてあげるから許して、ね？」

「本当ですか、ありがとうございます。良かったあー」

　慌てた様子で取り繕う直実の提案に、

律子は一にも二にもなく飛びついた。

諸手をあげて喜ぶこちらに眉を下げていた彼女の顔に笑みが戻る。

「ええ、もちろんよ。それじゃ、そろそろ行くわね」

　直実が門扉に手をかける。

律子は義姉が開いた扉を引き取りながら彼女を外へ促した。

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